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Business Flash

Vol.41

2012.02.09

人間学で心磨き、甲子園へ


人間学を学び始めた宇都宮清陵高校の野球部員たち。精神力を磨き、今夏、甲子園へ挑む
「人間学を学んで甲子園へ行こう!」を合言葉に、栃木県立宇都宮清陵高校の野球部員25人が、いっせいに人間学の専門書を読み始めた。
 きっかけは『人間学入門』(致知出版社)の刊行。日ごろから人間学を学んでいた同校野球部監督の教諭、斎藤崇さん(40)が購入し、同書の発刊記念イベント「人間学でつくる創作・座右の銘コンテスト」に部員全員で参加することを決めた。甲子園へ行くために必要だと判断したからだ。
「うちのチームは去年、一昨年とも優勝校にあと一歩のところで負けてしまいました。原因は指導者と選手の精神力の弱さです。強豪校には技術だけでは勝てません」と斎藤さん。
「それをどうにかして克服したいと考えていたところに『人間学入門』が刊行され、コンテストがあると知って、これだ!と思いました」という。コンテストは初心者が対象のため、まず書籍を熟読しなければならない。その上で自分の「座右の銘」を作る。

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 同書には哲学者の森信三さんや仏教詩人の坂村真民さんをはじめ、京セラ名誉会長の稲盛和夫さん、作家の三浦綾子さんらの名言や考え方がぎっしり掲載されていて、人間学の〝醍醐味〟を実感できる。
「今の若者は人間学どころか、叱られることも知りません。私が着任したころは、グランドは荒れ、大会に出ればコールド負けの弱小チームでした。この生徒たちをどうしようかと考えたとき、救ってくれたのが人間学でした」
 斎藤さんは大学卒業後、広告会社に勤務したが、夜学に通って教員免許を取得し、高校教師になった。教師こそ、社会の役に立つ仕事だと思った。
 しかし現実は甘くなかった。すぐに指導する難しさを知った。どんなに叱っても、生徒たちは辛いことから逃げてしまう。そして野球部の監督に。長髪に乱れた服装、挨拶もできない生徒たちに直面した。
 そんなとき、石川県星稜高校野球部総監督の山下智茂さんのもとに行った際、人間学の話を聞いた。藁をつかむ気持ちでのめりこんだ。
「私は監督であるとともに、人生の先輩の役目を果たさなければならないと思いました。生徒と真正面から向き合い、態度教育や価値観教育に徹底して取り組みました」
 すると生徒たちが変わった。野球部も実力をつけ、次第にコールド負けが少なくなって、就任2年目の秋に準優勝し、関東大会まで勝ち進んで、県の21世紀枠候補にも選ばれた。
「着実に力がついてきました。あとは精神力です。人間学で心を磨き、今年こそは生徒たちと甲子園に行きたいです」。今夏、甲子園球場で彼らの姿を見るかもしれない。

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