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時代刺激人-ジダイシゲキビト-経済ジャーナリストの辛口メッセージ

Vol.159

2011.11.08

日本農業は守りから攻めへ
TPPは一里塚、輸出含め戦略を

 多くの課題を抱える日本の農業を今後、どういった方向に持っていくべきか、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加をめぐる議論の中で農業が最大のテーマになっている。TPPイコール農業問題になっているのは、ちょっと異常だ、という点は、前回のコラムでも指摘した点だが、今回は、お約束したとおり、農業の現場で新たなビジネスチャンスを求めて農業経営に積極的に取り組む人たちの動き、声を伝えながら、日本の農業をどうするべきか、問題提起したい。

 結論から先に申上げよう。時代刺激人ジャーナリストとして、農政のみならず農業の現場を取材したことを踏まえて、私の問題意識を言えば、日本農業はこれまで守りの農業に終始したが、一転、攻めの農業に戦略転換すべきだ。TPPをめぐる問題は単なる一里塚だ。今後、ASEAN+3(日本、中国、韓国)、それにインド、豪州、ニュージーランドを加えた+6との本格的な経済連携を視野に入れた攻めの農業、グローバル世界でも十分に競争できる農業にすべきだ、というのが私の主張ポイントだ。

高関税での農業保護はマイナス、
6次産業化で農業経営イノベーションを

 農業分野で守るのは農山村の自然や水利、森林、さらに里山、そして土壌などの環境であるべきだ。しかし農業の自給率向上、生産力維持という大義名分のために、輸入高関税で農業すべてを必要以上に保護する必要はない。そのあおりで、農業の現場にイノベーションが作動しなくなったばかりか、グローバル市場で競争する力を放棄しビジネスチャンスも失っている。その点でも攻めの農業に戦略転換すべきだ。

 では、どういった攻めの農業があるか。国内では、私の持論でもある農業の6次産業化でチャレンジすることだ。端的には第1次産業としての農業が市場流通に頼らず、独自の産直ルート、バイパス流通の開発に取り組むことで存在感を高める。そしてカット野菜など食品加工や冷凍加工の第2次産業に手を伸ばすと同時に、レストランやスーパーなど第3次産業にまで、農業が主体的にかかわる。1+2+3で足しても、あるいは掛け合わせても6となる6次産業化によって、生産から流通、消費分野まで、経営の独自センスでビジネス展開していく。農業の企業経営化、産業としてのパワフル農業化だ。

新興アジアのニューリッチや中間所得階層は日本農業のターゲット

 先進ビジネスモデルとなる農業者の人たちの現場を取材して、いろいろな事例を見てきたが、共通しているのは農業経営に自信を持っていることだ。しかも思わずわくわくする人たちばかりだ。こういう人たちには農業保護などは無縁だ。TPPも無縁とは言わないが、受けて立とう、という人たちばかりだ。

 こういった人たちに共通するのは、海外、とりわけ新興アジアのニューリッチといわれる富裕層のみならず中間所得階層をターゲットに、日本の食文化というソフトパワーを携えて、農産物、農産加工食品を積極輸出してグローバルマーケットでの活路を拡げる、ということについて、壮大なチャレンジ心を持っていることだ。

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