Vol.173
2012.02.22
日銀「インフレ目標」に実効性ある?
需要の新創出はやはり政府の役割
我が国の中央銀行である日銀が、デフレ脱却に向けての金融政策のカジ取りを一歩、強めた。2月14日の金融政策決定会合で、これまで頑なに拒んできた「インフレ目標」政策を事実上、導入したからだ。と言っても、「物価の番人」が代名詞でもある日銀が突然、宗旨替えしてインフレ政策にカジをぐいと切り替えたわけでない。
バブル崩壊後、20年間も続く物価の下落、所得の落ち込み、成長停滞など日本経済のデフレ状況から脱却するため、日銀は今回初めて、金融政策面でめざすべき物価の前年比上昇率を示すことにし、その目標値を1%メドにする、としたのだ。そして、日銀は、この目標実現に向け金融緩和政策を一層、強力に進める、と明言した。
- 頑なに拒んだ「インフレ目標」設定は
金融市場で大サプライズに -
「頑なに」という言葉に、えっ?と思われる方もおられるかもしれないが、これがキーワードだ。日銀が政策変更を公表した2月14日昼、金融市場では「サプライズ」と受け止められ、動揺も加わってか為替レートや市場金利が大きく変動した。
その昔、今や死語に近い公定歩合という政策金利を、日銀が何の前触れもなく突然、政策変更の形で発表すると、その意外性によって、金融市場が大きく動き、政策効果をもたらす、ということがあった。
しかし、今や長いデフレのトンネルに入り、金利はゼロに張り付き、あとは非伝統的な金融政策と言われる量的な金融緩和をどこまで行うかだけ、という状況のもとでは、金融政策の効果も限られるはず。にもかかわらず、今回の日銀の政策決定については、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙も「日銀が金融緩和で不意打ち」と報じたほどだ。
- 現場で聞く日銀総裁の
「デフレ脱却に向けた取り組み」講演は面白かった -
そんな矢先、日銀の白川方明総裁が2月17日、日本記者クラブで、「デフレ脱却に向けた日銀の取り組み」に関して講演するというので、躊躇(ちゅうちょ)なく参加した。やはり現場は重要だ。日銀総裁のナマのメッセージ発信や政策変更の背景を聞くことができて、それなりに面白かった。日銀が今、何を考えているかがある程度、わかったからだ。
私のように、生涯現役の経済ジャーナリストを公言してフリーランスの現場取材活動にこだわっている人間にとっては、何としても、政策決定変更直後の日銀総裁の記者会見に参加したい。ところが、現在の記者クラブ制度のもとでは、日銀も、金融記者クラブもなぜかフリーランスのジャーナリストには門戸を制限して閉鎖的なのだ。すでにかなりの記者クラブが変わりつつあるのに、記者会見に主導権を持つ日銀自身までが流れに背を向けているのは何とも理解しがたい。その点、日本記者クラブはジャーナリストOBの立場で、参加は問題ないので参加できた。それを少しレポートしよう。

