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時代刺激人-ジダイシゲキビト-経済ジャーナリストの辛口メッセージ

Vol.232

2013.12.11

本格始動した「クールジャパン」は大丈夫?
アジアで見聞の「クールコリア」はしたたか

 いま日本の食文化が海外で評価を受け、存在感を見せているのは、とてもうれしいことだ。実は、私が最近、タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマーのメコン経済圏諸国、それにシンガポールに調査旅行で歩き回った際、いくつか立ち寄った日本食レストランで、興味深い光景に出会った。

アジアで日本食レストランが現地の人たちに大好評、
存在感をアピール

 どの店も、現地の人たちが数多く食事に来ていて、しかもおいしそうに談笑しながら食べていた。むしろ日本人駐在員や旅行客の姿を見つけ出すのに苦労するほどだった。すっかり現地の人たちの間で定着していると言っていい。これはかつてなかった現象だ。

 「日本食はおいしいから来ている」だけでなく、安全・安心、清潔、品質のよさ、それに「いらっしゃいませ」といった元気のいい声が店内に響き渡るなどサービスのよさに対する評価だ、という現地の人の声も聞いた。日本食文化は単なるブームではなく、定着してきたな、存在感を見せているな、と率直に感じた。

お寿司、日本ラーメンなど専門店が目立つ、
味だけでなく安全・安心、清潔が評価

 もちろん、ブームにあやかって日本食レストランの看板を出しているな、という店も数多くあった。メニューを見るまでもなかったが、話のタネに、いざチャレンジしてみると、案の定、日本食が持つ繊細さ、味へのこだわりなどにはほど遠く、見よう見まねの日本食だった。これが日本食だとみられると、イメージダウンだなと思ってしまう。かつてカナダ―のバンクーバーや米国西海岸のロサンゼルスなどでも、同じような店に出くわした。

 しかし、今回のアジアの訪問国のうち、タイ、ベトナム、シンガポールでちょっと驚いたのは、日本食ならば何でもありのごちゃまぜメニューの日本食レストランではなくて、専門食メニュー、端的には「寿司」「天ぷら」「日本ラーメン」「そば・うどん」「焼き鳥」などを前面に押し出していた点だ。言ってみれば、現地の人たちには日本食への選好度がいろいろ高まっているわけで、それに見合った出店形態なのだ。間違いなく日本食の存在感が出てきた、と言っても、決して言い過ぎでないほどだった。

官民連携の「クールジャパン機構」は巨額資金つぎこみ何をやるのか興味津々

 さて、前置きが長くなってしまったが、実は、今回のコラムで、ぜひ取り上げたいと思ったのは、この日本食文化のような形で、日本の存在感をアピールするにはどうすればいいか、という問題だ。11月25日に発足した官民連携の株式会社「クールジャパン機構」(正式には「海外需要開拓支援機構」)というユニークな組織が、このアピールの仕掛け人になる、というので、その新組織の問題にからめて、日本を力強くアピールするには何が課題かなどを取り上げてみようと思っている。

 この新組織は、クールジャパン、つまり日本のアニメや漫画にとどまらず日本食文化や伝統工芸、ファッションなど「かっこいい」「かわいい」にあたる英語の「クール」という言葉を使って、現代日本の強みの部分を世界中にアピールしようというものだが、この新組織が最終的に20年間で700億円から1000億円ほどの巨額の資金を使って、さまざまなプロジェクトに投資、あるいは事業支援する、という話なので、いったいどんなことをするのか、本当に効果的なことをやれるのかな、と思っている。

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