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時代刺激人-ジダイシゲキビト-経済ジャーナリストの辛口メッセージ

Vol.291

2017.01.17

今やネット経済が減速中国を下支え?
通販やスマホ決済、タクシー配車サービス

 経済は何が弾みでアクティブに動き出すのか、読めないことが多い。ところが、国有企業改革の遅れによる過剰生産・過剰在庫などで、経済成長の減速が避けられないとみられていた中国で、意外にもインターネットを活用したネット経済の動きが活発化し、サービス消費のGDP(国内総生産)寄与度が上がり、経済を下支えしている、というのだ。

 要は、国有企業などの「旧経済」部門に代わって、パソコンやスマートフォン(スマホ)を活用した消費財のネット通信販売が急増、さらにスマホを介在させたタクシー配車サービス、町の屋台での飲食代金のスマホ決済など、ネット活用の「新経済」が台頭し実体経済に活気を与えている、という。生産主導から消費主導の経済に変わったのだろうか。

アリババのネット通販で「独身の日」に
わずか1日で1.9兆円の売買取引

 メディア報道でご存知のことと思うが、中国ネット通販大手、アリババが2009年以来、毎年11月11日の「1」のつく日を「独身の日」と名付けてネット上で大々的に行っている特別安売りセールが、昨年2016年に、売買取引額が前年比32%増の1207億元、円換算で約1兆8900億円というケタ外れの金額となった。わずか1日でそれだけの消費購買力が若者にある、というところが何とも驚きだ。

 そんな矢先、NHKが最近、特集番組NHKスペシャルで「巨龍中国14億人の消費革命~爆発的拡大!ネット通販」と題して、ネット経済社会の問題を取り上げた。ネット通販による売買額が2015年に円換算60兆円にのぼり、今や米国を抜いて世界一になったという。現場ルポを中心に見ごたえある企画で、一攫千金を夢見る若者たちが起業して、ネット上で通販サイトを立ち上げ通販ビジネスに取り組む生態を描いた。成功してプロジェクト強化に乗り出す若者のケース、逆に思惑が外れて通販用の商品在庫を山のように抱えた若者夫婦が資金手当てつかずで、廃業を余儀なくされるケースなどさまざまだった。

GPSにリンクのサービスインフラ整備で
ネット通販のサービスに魅力、が決め手?

 そこで、ジャーナリストの好奇心で、私なりに中国の現場にいる友人たちとEメールで意見交換、また中国と往来を続ける日本国内の大学やシンクタンクの中国人の人たちにも中国ネット経済の状況を取材した。今回は、それらの話をもとに、「新経済」の現状と課題、また日本にとって学ぶものがあるとすれば何かをレポートしよう。

 取材先の話をもとに、結論から先に申し上げれば、日本のコンビニなど小売り店舗で経験するサービスレベルの高さが中国では十分でないため、消費者がネット通販の出現で便利さに魅力を感じて飛びつき、ネット上の口コミで広がって爆発的に伸びたようだ。しかし注目すべき点は、それではなかった。ネット経済化で新たな社会インフラ、とくにGPS(グローバル・ポジショニング・システム、衛星による地球測位システム)と組み合わせたサービスインフラが急速に出来上がり、それを活用して、たとえば注文後の輸送が今どのレベルにあるか、いつごろ到着するかといったことが消費者に伝えられ、さらにオンライン上での商品クレーム対応などもシステム化されたことが大きい、という。

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