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時代刺激人-ジダイシゲキビト-経済ジャーナリストの辛口メッセージ

Vol.294

2017.06.30

新センターが配送先の顧客データを集め、
リアルタイムで配送ナビゲーションも一案

 それによると、これまで宅配企業はドライバーの運送状況を追跡し運送管理していたが、今後は新センターが顧客管理を重視する。配送先の顧客が現在、自宅にいるのか勤め先なのかのチェック、再配送先やその時間確認について、スマホを含めたデジタルテクノロジーを使って把握し、各社ドライバーにリアルタイムで配送ナビゲーションを行う。
ヤマト運輸が一部で事前配送メール連絡などを行っているが、新センターがすべてをシステム化する。新システムがスムーズに機能するには顧客がスマホなどを持っていることが必要。また在宅かどうかのチェックに際して、セキュリティがらみで問題が起きるリスクもあるため、警備保障のセコムなどと連携した仕組みづくりが必要になる、という。

 芦邉さんらは、「ピンチをチャンスに、という発想でいけば、宅配サービスを含めた物流業界にとって100年に1度のチャンス。物流とインターネットを融合したアマゾンのように、業界の垣根を取り外し異業種融合でイノベーションを起こすチャンスだ」と語る。

輸送関連企業が連携分し合い
エネルギー消費のムダなくし国民経済的プラスめざせ

 そこで、私も提案したい。物流にかかわる飛行機、鉄道、陸送トラック、バス、タクシーなどを社会インフラの中核輸送機関と位置づけ、宅配便企業は、それら機関と荷物輸送で連携しネットワークをつくる。宅配便企業は、末端の荷物集荷と配達部分のみを担い、中間部分の輸送は、それら機関に委ねる。地域別、距離別に連携し合う仕組みが重要。
この仕組みが定着すれば、さまざまな輸送関連企業がバラバラに行っていたものを、効率かつ機動的に集約し分担し合える。うまくすれば交通過密・混雑をなくして事故を減らせ、大気汚染防止など環境対策にもなる、ガソリンなどエネルギー消費のムダを減らせ国民経済的にプラスとなる。そして輸送面での社会インフラ構築につなげることも可能だ。

 物流全体を見る司令塔役は、芦邉さんらが提案する新セントラル・コントロール・センターでいい。新センターは、各地の拠点物流センターの状況を全体把握し、宅配便企業が集めた荷物を各地の物流センターでパーコードはじめさまざまなツールを活用して自動分別させる。地域別、距離別に分別した荷物を長距離、中距離の定期便で運んでもらう。あとは、顧客に近いラスト・ワン・マイルを再び、宅配便会社が担うというのが私の案だ。

企業間の競争と共創部分の棲み分けが課題だが、
新社会インフラづくりで意義

 輸送機関連携ではJRだけでなく私鉄にも貨物便を走らせてもらい活用する。高速バスの荷物置き場スペース活用にヒントを得て、路線バスも活用できないか工夫する。長距離トラックも行きの満載便と帰りの空っぽのトラックをスマホで顧客や荷物を探して無駄をなくす。それらシェアリングを広く活用することも必要だ。芦邉さんらも、配送面でのオープンイノベーションとして公共交通機関との垣根をなくすことを主張し、私の提案と同様、路線バスの胴体に、スキーバスのような荷物室を設け移動式宅配ボックスにするのも一案だし、過疎化が進む中山間地域で1日に数回来る路線バスがバス停に止まったら臨時宅配ボックス化し周辺商店が荷物受け渡しでサービス連携する方法もある、という。

 企業間の熾烈な競争部分と、システムを共有し合う共創部分をどう棲み分けするか、課題が残るが、新社会インフラづくり、という点で取り組んでみる価値は十分にある。これらを機動化するには、インターネットやスマホなどのデジタル端末を駆使することだ。

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