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時代刺激人-ジダイシゲキビト-経済ジャーナリストの辛口メッセージ

Vol.294

2017.06.30

菊地さんは宅配システム二極化を予想、いずれ各家庭回るゴミ収集車が新聞配達も

 外食の企業現場を束ねる日本フードサービス協会会長の菊地唯夫さん(ロイヤルホールディングス会長)も日ごろから物流に関心を持つ1人だ。宅配システムに関して、今後、二極化が避けられないという。その場合、受取人不在の家への再配送を含めたフルサービスは差別化が必要で、高サービスに見合って高価にする、一方で、特定の末端共同配送場所にドローンで運ぶ場合とか、コンビニ、鉄道やバスなどの駅、公民館など地域の拠点たまり場といった特定先への配送は廉価にするやり方が考えられる、と述べる。
そして、菊地さんは、今後の人口減少が進めば、物流再編成では追い付かず、ヒト、モノなどを組み合わせた最適化が必要になってくる。その場合、各家庭を確実に回るゴミ収集車に新聞配達を委ねるビジネス連携もあり得る。発想の転換が重要、という。

 確かに、宅配便企業の今後を考えた場合、超高齢社会に対応して、単に荷物を宅配するだけでなくセールスドライバーの現場顧客との接点機能をうまく生かして介護サービス企業や便利屋さん企業などと連携した御用聞きサービスを行い、顧客ニーズをスマホやネットでつなぐこともあり得る。新たなイノベーションは発想すればいろいろ考えられる。

「宅配がなくなる日」の著者、
松岡さんは宅配ロッカーネットワークづくりを主張

 ヤマト運輸の宅配便問題でいろいろな本を読んだうち、とても興味深かったのがフロンティア・マネジメントというコンサルティング&アドバイザリーサービス企業の代表、松岡真宏さんの著作「宅配がなくなる日」(日本経済新聞出版社刊)だ。ぜひ、読まれたらいい。タイトルが刺激的だが、なかなか示唆に富む。新しい宅配ネットワークづくりが必要で、その核にすべきなのは誰でも24時間、自由に利用できる宅配ロッカーだ、という。

 松岡さんによると、この宅配ロッカーは、今のソフトドリンクの自動販売機を想定すればよく住宅地、オフィス街、公共施設などあらゆる場所に、網の目のように配備する。自販機1~2台分のスペースで、荷物を格納する箱の数は20個程度。宅配企業は地域の営業所に集荷した荷物を顧客の近くの宅配ロッカーに置き、顧客にスマホなどで連絡し、開ける際の入力番号を伝える。自販機会社が新たに宅配ロッカーをつくり、宅配会社は使用手数料を支払う仕組みにする。配送依頼した顧客がこの宅配ロッカーの手数料を配送料込みで支払っているので、受け取る別の顧客は追加費用を払う必要がない、という。

 興味深い点は、この宅配ロッカーが広範囲に定着すれば、ドライバーが指定時間内に荷物を届けるために必死で走り回る宅配サービスの必要性は消え、受け取る側の顧客も好きな時間に自由に受け取れる時代になる、というのだ。これもイノベーションだ。

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