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時代刺激人-ジダイシゲキビト-経済ジャーナリストの辛口メッセージ

Vol.296

2017.09.29

団塊の世代を軸にした超高齢社会の制度設計、
システムづくりが出来ていない

 日本は、世界でも人口の高齢化のスピードが最も早く、その一方で国民皆保険制度や医療保険制度、介護システムなど世界の先進モデル事例になる要素を持っている。それだけに、日本が、よく言われるように「課題先進国」として課題解決の先進モデル事例をどんどん出していけば、間違いなく世界で大きな存在感を示すことができる。
 実は、日本は、歴史という長い時間をかけて、人口の高齢化に対応した制度設計、さらに社会システムづくりをしてきたはずだが、すでに申し上げたように、ここ10年以上、団塊の世代の高齢化などへの対応が遅れ、成熟社会国家に見合ったシステム設計が後手後手になっているのが問題だ。

 しかし、中国やタイなどの国々が日本とは違った形での人口の高齢化に苦しみ始めている。つまりこれらの国々は、経済成長に弾みがつき、中進国から、もう一段の高みの先進国への道を歩むところまで来たにもかかわらず、人口の高齢化スピードが速まり、それに伴う医療費や介護、年金などの財政負担が必要になって、言ってみれば経済成長の果実をそちらに回さざるを得ず、そのあおりで「中進国の罠」という政策ジレンマに陥っている。その点では日本は、そのレベルを過ぎており、逆に先を進んでいる「先進国」として、高齢社会化のさまざまな問題について、アドバイスできる立場にある。

人生年齢は8掛けの発想、
「健康寿命よりも就労寿命を伸ばせ」の発想が重要

 ここまでは総論の話だ。問題は、いま70歳前後の800万人に及ぶ団塊の世代という巨大な人口の塊の世代をどうやってアクティブシニアにするかが最重要課題だ。私はかねてから人生年齢に関しては8掛けで、プラス思考でとらえるべきだ、という持論でいる。それでいくと、まだ56歳前後という計算だ。
 それともう1つ。私は、健康寿命という言葉の使い方に、どこか抵抗があって、働くことに生きがいや意欲を持つことが結果的に健康につながるという意味で、健康寿命に代わる就労寿命という言葉がいいな、就労寿命を伸ばせばいいのだと思っていた。そうしたら同じような発想をされる方がおられ、医師の石蔵文信さんがやはり「健康寿命りも就労寿命」という形で同じような問題提起をされているので、うれしくなった。この言葉も、団塊の世代の人たちにぜひアピールしたい。
 要は、病院治療や介護に頼らず、健康体で、しかもこれまでの企業の現場で培った知見や技術などをうまく生かしてアクティブに仕事をし、それによって「俺たちは時代のお荷物ではない。税金をもらうどころか、担税力を持っていて支払う側にある。見損なうなよ」と啖呵を切ってもらう元気ぶりを発揮してほしいのだ。

大企業OBと中小企業の間の人材マッチング
「新現役交流サポートの会」が面白い

 そんな問題意識でいたら、最近、うれしい取り組みを知った。一般社団法人「新現役交流サポートの会」という会で、大企業を定年退職したりしたあと、大企業に勤めていた時代に培った経験やノウハウをうまく活かしれないままでいる人たちと、その一方で、中小企業の人たちの間では、さまざまな人材を必要としているのに人脈ネットワークがなく、ビジネスチャンスも失うといった現実をうまくマッチングしていこう、という取り組みを行っている。会は生保OBの保田邦雄さん、それに経産省・ジェトロOBの塚本弘さんらが中心になっている。

 この問題に関心を持って取材している友人の共同通信OBの経済ジャーナリスト、中西享さんから「ぜひ取材したらいい」とアドバイスを受け、最近、東京都内の6つの信用組合と「新現役交流サポートの会」が共催の形で、大企業OBの人たちと中小企業をつなぐ人材マッチングの会合に参加させていただいた。
 結論から先に申し上げれば、なかなか活気があって、よかった。中小企業の側は、技術経営などの面でアドバイスをしてもらえる人材ニーズが非常に強く、また「新現役交流サポートの会」の人材登録した大企業OBの人たちもフルタイムでなくても自らの経験やノウハウの活用先を、と探し求めていた人たちが多かった。これまでなかなか機能していなかったシルバー人材センターに代わるものになること間違いなしだ。応援したい。

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