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時代刺激人-ジダイシゲキビト-経済ジャーナリストの辛口メッセージ

Vol.297

2017.10.31

大企業が壊れつつある?原因は重度の組織病
活力生む「品質ダントツ世界一」経営をめざせ

 「なぜ不正が起きるのか?」「何が起こったのだ?」「信じがたい」。誰もが異口同音に口に出すのがここ数年、相次いで起きる製造現場での品質データ改ざん、経営の粉飾決算まがいの利益ねつ造など、さまざまな大企業の不祥事だ。神戸製鋼、日産自動車、三菱自動車、東芝など、数え上げればあそこも、ここも、とおびただしい数になる。それが名だたる大企業だから事態は深刻だ。

 中堅・中小企業ならば、あっという間に、世の中の厳しい批判や指弾を浴びて企業淘汰、端的には市場からの退場を余儀なくされる。しかしこれら大企業ともなると、巨大企業だけに、よほどのことがない限り、淘汰はあり得ない。とはいえ株式市場や取引先企業や金融機関、消費者などから厳しいペナルティ評価を受け企業業績の悪化は避けられないが、最大の問題は信用失墜だろう。企業という社会的な存在の信用失墜は重大問題だ。率直に言って、今や大企業が壊れつつある。最近の神戸製鋼など大企業の動きをみていると、明らかに組織の歯車がどこかで狂い始めている。重度の組織病と言っていい。

「ジャパンアズナンバーワン」で、
米国は日本から学ぶものあり、と評価得たが、、、

 なぜ、こんな事態に陥ったのだろうかと思いながら、ふと何気なしに、エズラ・ヴォーゲル氏の著作「ジャパンアズナンバーワン」「ジャパンアズナンバーワン再考――日本の成功とアメリカのカムバック」(いずれもTBSブリタニカ刊)、「ジャパンアズナンバーワン――それからどうなった」(たちばな出版刊)の3冊を本棚から引っ張り出して読んだ。
 ヴォーゲル氏は3冊目の著書で「日本が世界一の経済大国だと主張した覚えは一度もない。ただ、日本は数多くの分野で成功を収めており、その成果はナンバーワンであると書いただけだ」と述べ、同時に米国政府、そして企業は慢心してはならず、日本から学ぶものがある、と書いている。しかし、私が改めて興味を持ったのは次の記述だ。

 「アメリカの消費者たちは、耐久性と性能の面においても、日本製品が信頼できることを発見した。消費者の頭の中で『日本製』という言葉は『高品質』を意味するようになってきた」というくだりだ。かつて米国でも高い評価を得ていた日本の「高品質」が今、品質データ改ざんなどに陥っている現実を知った場合、米国に限らず世界中の国々が日本をどう受け止めるだろうか、という点が本当に気がかりになった。

日本はまだ捨てたものでない、
企業リーダーが危機感持ち大組織病手術に取り組め

 結論から先に申し上げよう。日本は、政治二流でも、経済が技術革新力ある企業を軸に一流、と言われた時期もあった。そんな中で、主力の企業には今回のような組織病を含めて克服すべき課題が間違いなく山積しているが、まだまだ日本の企業には潜在的なパワーや知見、優秀な人材は豊富にあり、捨てたものではない、と私は思っている。

 ただ、日本の大企業が組織病に至った現実をしっかりと見極めることは極めて重要だ。その意味で、企業経営リーダーの責任は重大だ。「わが社は問題があるはずがない」などと決めつけないこと、そして過去の成功体験や古いビジネスモデルにしがみつかず、強い指導力で時代を画する大胆なイノベーションに取り組むこと、組織が肥大化して硬直的になっているとしたら何が原因かをチェックし、事業部門の分社化、あるいは横断的な風通しのいい組織に変えるなどの組織改革も課題だ。しかし、私の最大の主張ポイントは、モノつくりの製造業を中心に経営、現場双方で絶えず緊張感を持ちながら、活力を生む「品質ダントツ世界一」となる企業経営をめざせと言いたい。キーワードは高品質経営だ。

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