DXで変革する世の中でも変わることのない「顧客第一主義」で、つながる・ひろがる世界を実現
株式会社オービックビジネスコンサルタント
代表取締役社長
和田成史
「『賢者の選択』に出演したのは2013年でした。当時から時代は大きく変わりました。世の中でDX(デジタルトランスフォーメーション)による変革が始まっています。まさに第四次産業革命のまっただ中です。車の自動運転を見てわかるように産業構造も大きく変わってきています。IT業界も今まではハードとソフトがコンピューターで一体だったのが、デバイスはパソコンとスマホ、そして、ソフトとデータはデータセンターというように、集中と分散の変化が起きました。それにより、ビッグデータが蓄積されるようになり、この巨大なデータが世界を変えていきます」
当時、番組では、中小企業向け業務支援ソフトの市場規模は1000億円程度でそのうち約200億円を同社の奉行シリーズが占めていると話していた。
「クラウドの登場で世界とつながることになり、市場規模が巨大になりました。例えれば、箱根の芦ノ湖が太平洋になったようなものです。世界のメーカーも日本市場に参入してきます。自分たちの能力には限界があるので、その中でどこをフォーカスして、何をやるかという選択と集中がすごく重要になります。OBCは中小企業向けの業務支援をクラウドで提供することを始めました。このクラウドでのサービスはこれまでの延長線上にある戦略でなく、非連続な新しいサービス提供の仕組みです。この新しい仕組みは番組に出たあたりから約4年間、開発に関わる全社員約400人で研究開発を進めていました。そして、今はほぼ全製品がクラウドになっています」
番組でもクラウドを中心にしていくと会社の方針を明らかにしていた。
「当時、今ある製品はそのうち無くなっていき、5年後には売り上げがゼロになるかも知れないという危機感がありました。新しい製品の研究開発は会社を存続させるためにも必要でした。そして、マイクロソフト社がAzureを開発したことによって、これまでの製品のクラウド化への全面移行が可能になりました。すべてをクラウド用に作り直すのですから、色々な細かい研究が必要になり、苦労しました。しかし、全社員が頑張って、スピードも速く、機能が豊富で使いやすい製品が完成しました。入力したデータを自動処理して、法人税の計算なども簡単にできます。大変な努力が必要でしたが、世界で戦うためにはそれくらいの努力をしないといけないと思っていました」
全製品のクラウド化を実現したOBCはAPI連携にも積極的だ。
「これからの時代は販売するだけでなく、つながって、広がっていくという世界だと思います。なので、APIでソリューション同士のつながりが非常に大切になります。現在、連携しているソリューションパートナーは数百社の約338システムあります。これからもどんどん広げていきますが、OBCの役割を限定して、パートナーと一緒にお客様の役に立とうとの思いで進めています」
少子高齢化も社会に与える影響は大きいが、OBCはどう考えているのか。
「少子高齢化は二つの面があります。一つは定年のイメージが変わることです。人生百年時代と言われていますが、高齢であっても働く時代になっています。もう一つは人口減少社会です。これらにおいて、大切なのは生産性をいかに上げるかです。その基盤になるのがDXと考えています。例えば、年末調整はこれまで手書きで申請を書いていましたが、今ではスマホで簡単にできます。扶養者や生命保険も前年と同じだったら、ワンタッチで数分で完了します。まさにデジタル化して生産性が上がる仕組みです。生産性を上げながら、一人あたりの付加価値があがっていく。こういう社会を目指すのがDXです。第四次産業革命とも呼ばれる所以ですが、OBCのミッションはこういう社会に貢献することですし、それが生き残るコツです。SDGsはこれからの企業成長にとっての方向性ですし、その実現を目指していくことが企業のミッションと感じています」
会社の基本方針の一つに「採用と教育」を掲げるOBC。独自の人事戦略を明かしてくれた。
「毎年、新卒で約1万3000人の応募があり、70人前後を採用しています。離職率は他社に比べて低いと思いますよ。弊社はIT会社として変わっている部分があります。一般的に採用枠はSEと営業でしょうが、弊社にはSEも営業もいないのです。営業は100%パートナー企業経由です。API連携でパートナーとともに企画したり、コンサルを行いながら、セールスを拡大していきます。なので、パートナーの支援がいわゆる営業のミッションです。開発部門は、ほぼプロダクトマネージャーです。自分が作った製品をお客様と直接会話してサポートをし、製品をより良くしていきます。そのため、お客様へのサポートセンターは社内にあり、全社員が毎月複数回、サポートセンターに入ることで常にお客様と接触をします。その頻度は入社すぐだと週1回程度で、在職期間が長くなるにつれ減っていきます。お客様の声が一番大切なので、全社員でお客様の声を忘れないように、お客様のサポートを非常に大事にしています。正社員がみんな対応しているので、お客様の求めているものが隅々までよく分かります」
そして、DX化は止まることなく今後も進展するが、大切なのは社会への貢献と和田は強調する。
「2000年にITバブルがありましたが、現在のDX化の流れはITバブルとは全く違うと思っています。ITバブルは社会の求めるレベルが当時のIT技術の限界を突破したことで泡になりました。しかし、現在はIT技術のレベルがかなり高く、社会の求めるレベルがそこに追いつけていないと感じます。つまり、やろうと思えば何でもできる環境で、それをお客様が受け入れてくれるかがポイントです。何に貢献できるのか、どういう役割を社会に果たすことができるのか、と言う貢献社会に変わるのではないでしょうか。社会にどう貢献するのか、その役割を明確にすることで色々な成果が得られると思います。こういった観点で、本当に何が大事であるかを判断し、選択と集中をしていけば、日本の未来は明るいと思います」
出演者情報
企業情報
関連コンテンツ
カテゴリー別特集
リンク