ホテル業界のLCCを目指す?貸し会議室のフロンティアが言う、マルチタスクの重要性とは
株式会社ティーケーピー
代表取締役社長
河野 貴輝
インターネットで借りられる貸し会議室。近年はホテル事業にも手を伸ばし、取れるリスクは取っていくという、株式会社ティーケーピー 代表取締役社長 河野貴輝が訴えるマルチタスクの重要性とはなにか。その真意を探る。
リーダーにとってのビジネスの原点、大切な思い出、賢者のオリジン。
白石番組では、企業のトップとして活躍している皆さんの、ビジネスの原点を象徴する思い出の品をご持参いただいているのですが、河野社長は、今日は何をご持参いただきましたでしょうか。
河野今日はこの創業の時に使っていた鍵の束です。
諸星要するに会議室というか、部屋の鍵ですよね。
河野部屋の鍵ですね。ほんとに入り口の鍵から部屋の鍵から色々入っています。消防の鍵まで。
諸星これはこの数だけその部屋があるわけですね。
河野そうです。この数だけ最初から部屋がありました。
諸星最初からこのぐらいの物件を。
河野そうです。最初1年目からもう50室ほどやっていましたので。
諸星でもまさか、ご自分で行かれて開けられていたわけではないですよね。
河野最初は自分で開けていましたよ。自分で開けて、掃除をしてゴミを捨てて、また鍵を閉めて帰るっていう。本当にもう、そういったところからスタートしました。
諸星まさに起業家なのですね。
白石そうですね。そもそも河野社長のベンチャー精神というのは、どちらで養われたのですか。
河野ベンチャー精神、今思い返しますと、私の祖父が大分県の別府というところで事業をしていたのですが、こちらでもう夏休みになりますとすぐ祖父の家に遊びに行ってお店の手伝いをしたり、夏は海の家を出していましたので、海の家でも、そちらでも店番をしたり、色々手伝っていました。
諸星ということは、やっぱりお商売が好きというか、一国一城の主ということは、やはりご自分の中にあったのでしょうね。
河野そうですね。商売は面白いと思いました。やはりお客様が集まってきて、実際、お店が開くんですね、スポーツ大会とかがありますとお店を開いてお客様が買い求めに来るのです。でもちゃんと吟味して買っていくと。値段だけではないですし、売るのも。値段でも当然買っていただけるお客様もいますけど、それ以外の色んな、知っているからとか、これ欲しいからという緊急性で買う人もいますし、見ていて飽きないのです。本当に商売って面白いなって子供心から思っていました。
諸星それプラス、自分の企業、自分が思い通りに出来る。そこに魅力を感じていらしたんですよね。
河野そうですね。やはり自分で自己完結できるっていうのは一番魅力と言いますか、支配されない感じで。
諸星そうですよね。世の中、今就活をやっている学生たちから見れば、夢みたいな企業に就職して、それから銀行を立ち上るなど色々と、本当に中枢を歩いてこられたのですね。でもそこは全部使われている身だったのですね、ある程度は。
河野そうですね、使われている身だったのです。
諸星そこにぐっと、おじいちゃんの海の家が思い出されたのでしょうね。
河野やっぱりストーリーがないのです。一個一個が初めての体験、初体験です。そうするとワクワクドキドキするのです。こうしたらもっと売れるんじゃないかとか、こういう商品を売ったらもっといいんじゃないかとか、そんなことを毎日試行錯誤してやっていたのです。
だから僕の原点は、やっぱりそこでワクワクしたい、ドキドキしたいっていうところが一番のモチベーションでして、そういう意味では会社を作って全く分からない新しいことをどんどんやっていく、もしくは新しい知らない世界に出ていくことが、結果として探求心がありますからどんどんワクワクドキドキして、結果として会社が成長していく礎になってきているのかなと思います。
リーダーが立案した次なる変革、そのキーワードとは。
白石では、2つ目の変革、そのキーワードは何でしょうか。
河野「ホテル業界のLCC」です。
河野貴輝が掲げる、次なる変革のキーワード、ホテル業界のLCC、その事業戦略の全容に迫る
白石現在運営します会場の数、そして顧客数を教えていただけますか。
河野会場の数は全国に700、そしてお客様の数は7万2000社で、1か月に6000社のお客様が使ってくれています。6000社と言いますと、だいたい、1社あたり100名ほどお客様を連れてきていただけますので、結果60万人のお客様が、だいたいうちの会議室のどこかにいるような感じです。
諸星すごいですね。全国に700とおっしゃいました?全部47都道府県ですか?
河野まぁ政令指定都市がメインですけれども、札幌から熊本までですね。
諸星ホテル業界のLCC、LCCと言いますと、安売り航空会社というイメージですね。
河野そうですね、格安航空会社のイメージがありますけれど、ホテル業界と言いますと、ほんとに今やラグジュアリーなホテルか宿泊型のホテルと分かれてきまして、ちょうど真ん中のシティーホテル、宴会場と宿泊が伴っているシティーホテルっていうのは、どんどん今衰退していっているのです。
僕は人が集まるホテルをもう一度復活させていきたいなと思いまして、今僕たちが抱えています6000社、毎月使っていただいているお客様に、そういった宴会場、企業のスペースとして、ブライダルというよりも企業のイベントスペースだったり、会議室のスペースだったりそういったスペースで使ってもらって、そして、本当に人が集まるホテルに変えていきたいなと思っていまして。
諸星昔からのホテルは宿泊だけでは必ずやっていけないわけですから、宴会があってってことで、それでブライダルがあるわけですよね。
河野僕としては、宴会場を本当は個人のお客様に貸し出すだけではもったいないと思っているのです。平日の昼間は、僕たちが今まで築き上げてきた貸し会議室として使っていただいて、夜は企業のパーティーとか懇親会で使っていただいて、土日は試験会場とか展示会とか、またブライダルで使っていただいて、そういった形の三毛作ですね。
そういった形で宴会場を使うことで今までのデッドスペース、土日しか使わないとか、結婚式しか使わないというようなホテルの宴会場を生き返らせていきたいなと思っているのです。
諸星なるほどね。僕は大学の教員だからってこともあるのでしょうけど、およそ世界中のいろんな学会に行きますが、もちろん日本もそうですけど、ほとんど学会はウィークデイの昼間にかなりのある程度のホテルでやるじゃないですか。そういう意味じゃ、結構、そういうことはホテルがご自分で営業してやっていると思っていたのですが、そうではないのですか。
河野結構、受け身なところもありますし、ホテルのホスピタリティーがあるのです。僕たちがホテルと違うところは、プロフェッショナルとして企業の人事部様向けであるとか、イベントであるとか、そういったプロフェッショナルな指導と言うわけではないですけど、アドバイスとか、そういうサポートができる、そういった機能を兼ね備えているところがポイントだと思っていまして、それをもった上で、ホテルの宴会場を企業向けのスペースで生き返らせるということを、ぜひやっていきたいなと思っています。
諸星日本にも最近はあると思うのですが、アメリカですと、ほとんどの、ある程度のサイズの都市には、必ずと言っていいほど、コンベンションビューローっていうのがありますよね。会議を呼んでくることによって、ホテルを満杯にしてそこの様々な観光と合わせていますよね。
河野そういうところの対策を、我々はどちらかというとコンベンションセンターの世界ですけど、ミニチュアコンベンションセンターというイメージですね。コンベンションセンターって、幕張とかにありますけど、結構遠いところにあるじゃないですか。確かにモーターショーとかで、何万人も来るときはそういうところでいいのですが、1000人とか2000人とか、それ以下であれば、やっぱり東京都心の一等地のホテルの宴会場をそういったミニチュアコンベンションセンターのように使うことの方が、よほど利便性があると思うのです。企業向けにそういったイベントに、人が集客する場所に変えていくことで、宿泊も増やしていくという。
白石そういった形っていうのは今までにないですよね。
河野そうですね。ホテル業界のLCCと言いますのは、それはほんとにこのホテルの中で、今までホテルを使っていた人たちも、我々の宴会場を使っていただきたいですし、ホテルの宴会場使えなくて、公共施設を使っていた人たちもぜひ使えるような価格で我々が提供することで、このマーケットを作っていきたいと思っているのです。
諸星貸し会議室というのはただの箱だけなのですが、ホテルと言うとかなりソフト的なことも提供しなくてはならないですよね。
河野そうですね。ただ会議室でただ貸すというものではありませんから、やっぱりビバレッジや飲食が伴ってきたりとか、色んな展示とか、大道具、小道具がありますので、そういった意味で綿密な打ち合わせと、このイベントが成功しないとやっぱり意味がないわけですから、この成功するための支援を、コーディネーター役になって細かにやっていくという、こういったことが求められるのです。
諸星そうなってくると、それを誰がやるのですか、そういうことを。ご自分のところの社員ですか。その方々はどこから来られたのですか。
河野基本的には、私も内製化というのにこだわっていますので、なかなかアウトソーシング……我々がアウトソーシング受ける会社ですから、とにかく内製化すると。どんどん内製化して我々の社員としてちゃんと雇っておりまして、そしてそういった方々は今のホテル業界におられた方とか、あとは企業のエージェントと言いますか、企業のサポートをしていた会社にいた方とか、実際に企業の人事部、総務部にいた方を含めて採用していまして、色々入り乱れている集団で、皆さんをサポートさせていただいております。
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