日本列島創生論にある危機感と期待感の共存。「納得・共感」の政治をめざして


衆議院議員
石破 茂

特選インタビュー

その発言が常に注目を集める政治家、自民党の衆議院議員 石破茂。その語り口や人間性に、ファンになる若者も多い。そんな石破が掲げる「日本列島創生論」。石破も尊敬する田中角栄の『日本列島改造論』や、竹下登の「ふるさと創生」など、これまでの地方再生の政策と同じなのでは?という認識を持つ方も多いだろう。しかし人口問題は有事だと言う石破が唱える日本列島創生論はまったく新しく、そして具体的だ。その中身とは? そしてその中身に、共感と納得を感じてしまうのは、なぜなのか。

再生ではなく、創生

蟹瀬石破さんはご著書では日本列島創生論を(唱えていますが)、創生というのは再生とは全然意味が違うと思うのですが、そのあたりに込めた思いにはどういうものがあるのですか?

石破再生というのはリバイバルみたいなもので、昔の良き時代をもう一度とか、昔のにぎやかな地方をもう一度というのはノスタルジックにある話だけれども、それはもう一度同じことはできないですよね。私は鳥取市の育ちですけれども、昭和40年代後半から50年代にかけて、本当に地方の時代が来たと思いました。駅前はにぎやか、シャッター通りがない、農産業村も活気があって、そんな時代がこの国にあった。地方にあった。同じことができないかなと言われても、公共事業と同じものを安く、たくさん、大勢の人で、というモデルで支えていたわけだから、同じことは無理でしょう。だから、再生ではない。新しい価値、そして、潜在力の最大限の発揮。それによって、日本全体を変える。これは再生ではない、創生だと思っています。

蟹瀬この本のタイトルをパッと見たときに、田中角栄さんが1972年 だったかな……、『日本列島改造論』という本を書かれて、列島の隅々まで交通とか、それから通信のアクセスを広めて、日本をもっと豊かにしようということをやられました。それからそのあと、竹下登さんが「ふるさと創生」ということをおっしゃって、あのときは地方の自治体に1億円ずつまかれて、だけどそれがうまく機能しませんでした。
それで今回、石破さんがお考えになられている日本列島全体の創生というなかで、地方を本当にそのように活性化できるのかどうか、僕は疑問を持っている人間の一人なのですが、どうなのでしょうか?

地方創生をやり損なうと国全体がつぶれてしまう、地方活性化に向けた取り組み

石破角栄先生の列島改造論のとき、私は高校1年生でした。日本国中に新幹線、高速道路、夢のような構想でした。だけど、角栄先生の思いとは別に、土地でも、物資でも、買い占めが起こって、オイルショックも重なってものすごく物価が上がった。土地の値段も上がっていった。ですが、角栄先生が考えた、あの時から東京一極集中の是正とおっしゃっていました。その思想は、私は正しかったと思っています。
竹下先生がふるさと創生をやっておられたころ、私は当選一回生でした。どんな町にもどんな村にも1億円、ばらまきの見本みたいに言われましたね。それで、竹下先生があのときに、「それは違う。これで地方の知恵と力が分かる」とおっしゃっていました。思い返すに、間に、大平(正芳)総理の田園都市構想があったのですが、列島改造も田園都市構想もふるさと創生も、あとで揶揄(やゆ)する人はたくさんいますけれども、考え方自体は正しかったと思っています。
でも、これに失敗したら、国がつぶれるという危機感はなかったですね。だから、経済成長と人口増加というのはいろいろな失敗も覆い隠してしまうところがありますね。それで、これから先、人口はとにかく減るわけです。人口が減るなかにあって、経済を伸ばすのは結構大変なことですので、そういうなかにあって、この地方創生をやり損なうと、国全体がつぶれてしまう。列島改造やふるさと創生のときとは違う時代認識があります。

自ら考える、地方の人口減少対策

蟹瀬たとえば、人口減少って大変、大きな問題ですよね。どういうふうにやっていけば良いとお考えなのですか?

石破結局、全国に1718市町村あって、何が一番良い政策なのかというのを霞が関で分かるわけがない。そこの町の経済を子細に分析して、一体どうすればうちの町は良くなるのかというのは、その町が自ら考えてくださいということですね。それに対して国は財政面で、あるいは人材面で、情報面で、めいっぱい支援をします。

蟹瀬それはそれで僕は国としては、ある種、無責任なところがあると思うんですよ。

「おまかせ」からの脱却、やりっぱなしの行政 頼りっぱなしの民間 無関心の市民

石破それはね、「お任せ民主主義」みたいな話で、地方創生が失敗するパターンというのは、やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民間、全然無関心の市民。これが三位一体になると、絶対失敗するわけです。

それは市長さんがやってくれるさ、町長さんがやってくれるさ、俺たちは一票入れておけばいいんだよね、……ということだとどうにもならないわけです。それで、私、地方創生担当大臣になったときからずっと言っているのですが、「産 官 学 金 労 言」と言って……。
(産は)商工会議所、商店街連合会、なんでもいいけど産業に携わる人。官は市役所、町役場。学というのは大学、高校、中学校。金というのは地方銀行、信用金庫。産、官、学、金……。労というのは、働き方を変えるなら労働組合。最後の言というのは地元のテレビ、地元の新聞、地元のラジオ、地元のメディアですね。これがみんなで一緒になって考えて、今まで国のメニューにはないけど、「うちの町はこれをやりたい!」というものがあるはずなのです。「足りないものは何? それを国が応援するからね」という、地方と国とのコラボレーションが今までとは違わなければいけない。

地方が自ら考える、地方と国とのコラボレーション

地方自らが地域の創生を考え、これまでと違った形で国と連携していくことが重要であると語る石破。こうした新たな取り組みを行っている地域には創生へのヒントが隠されているという。まず、石破が挙げたのは島根県邑南町(おおなんちょう)の里山イタリアン。

我が町にしかないもの、島根県邑南町の里山イタリアン

石破この里山イタリアンというのは、町長が言っているのはB級グルメとゆるキャラをやめようと言うんですね。ゆるキャラではなくて、B級グルメではなくて、我が町にしかないものをやるんだという。この邑南で採れた米であり、肉であり、野菜であり、そういうものを「なんで町長、イタリアンなんですか?」と聞いたら、素材の味を最大限に引き出すのは、和食かイタリアン。いっぱいバターを入れちゃうフランス料理ではない。素材の味をめいっぱい生かすんだ! ということでイタリアンなわけです。それをやることによって、広島から高速道路を使って、大勢の人が来るようになりました。

新潟市 レストランバス

石破だから、今、新潟でやっているレストランバスなどもそうですが、はとバスみたいな2階建てのバス。1階が厨房、2階がレストラン。もっとも素敵な景色を見ながら、もっともおいしいものが食べられる。新幹線で新潟まで行くのとは、また違った体験が出来てよくないですかという。そう言われてみればそうだよねということなのですね。
フランスでもイタリアでも、おいしいレストランはパリにあるわけではないし、ローマにあるわけではない。地方にこそ、そういうレストランがある。さっきの邑南町の発想もそうだったんです。

福井私も実際に田舎に移住していた経験がありまして、こんなド田舎にと発言する方もたくさんいらっしゃって、そのあたりはどう思われますか?

石破「じゃあ、俺も頑張ろう!」というのと、「どうせ俺にはできないよ」というのは対極にあると思っています。鹿児島県鹿屋(かのや)市にあるところで、景色が特別きれいなわけでもなく、交通がすごく便利なわけでもない。柳に谷と書いて「やねだん」と読むんですけどね。

出演者情報

  • 石破 茂
  • 1957年
  • 鳥取県
  • 慶應義塾大学

企業情報

  • 衆議院議員
  • 放送日 2018.05.13

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