日本列島創生論にある危機感と期待感の共存。「納得・共感」の政治をめざして
衆議院議員
石破 茂
その発言が常に注目を集める政治家、自民党の衆議院議員 石破茂。その語り口や人間性に、ファンになる若者も多い。そんな石破が掲げる「日本列島創生論」。石破も尊敬する田中角栄の『日本列島改造論』や、竹下登の「ふるさと創生」など、これまでの地方再生の政策と同じなのでは?という認識を持つ方も多いだろう。しかし人口問題は有事だと言う石破が唱える日本列島創生論はまったく新しく、そして具体的だ。その中身とは? そしてその中身に、共感と納得を感じてしまうのは、なぜなのか。
石破地元の高校を出て、東京の銀行に勤めていた人がいて、でも、故郷に帰ろうかということで、銀行をやめて帰ったわけですね。それで養鰻業(ようまんぎょう)といって、ウナギを養殖する 仕事を始めたんですね。その傍ら、中学校のいろいろなスポーツのコーチなどをやっていたんですね。だから、中学生もなついていた。それで、そこでやったことは「ここは何で人を呼ぶんだ? ……そうだ、サツマイモだ!」。
蟹瀬ほお……。
石破サツマイモってどんどん衰退しているのですが、おいしいサツマイモを作ってみようじゃないか。畜産と組み合わせて、鹿児島大学と組み合わせて、本当においしいサツマイモを作ってみよう。それで、スポーツのコーチをやっていたから、中学生たちを呼び集めて、「お前たち、もう一回おいしいサツマイモを作ってみようじゃないか」って、やるわけですけど、中学生は畑なんて耕したことがない。
そうすると何が起こるかというと、じいちゃんやばあちゃんが「見ちゃおれない!」って言って、一緒になってやるわけです。それで、おいしいサツマイモができました。焼酎もおいしくなりました。それをやねだんブランドとして売り出したら結構、売れました。
それで、そういう地方創生の一種のモデルみたいなものがテレビで放映されて、ソウルでたくさんレストランを持っているオーナーがたまたま博多に出張に来ていて、見たって言って、それで、ここのやねだん焼酎はソウルのレストランチェーンで今、売られています。
それで、この秘訣は「子供たちをのせることだ」と言っていました。そうすると、じいちゃんばあちゃんが「見てらんね」って言って、のってくる。「一緒にやろうよ」って住民を巻き込んでいくことによって、私は必ず変わると思っているんです。まだ面にはなってないけど、点は間違いなく密になっていると私は思います。
蟹瀬いろいろな成功モデルのお話を伺っていると、やはり、キーになるのは「人」という感じがしますね。
石破人です!
蟹瀬それで、人がいると、それを支える人たちがまた出てきて、そして、そこに官公庁のサポートがうまくついてくると、良いモデルができてくる気がしますね。
福井そうですね。
本気で日本を甦(よみがえ)らせるためには、新しい動きを「地方」から起こさなくてはならない。それが、石破が唱える日本列島創生論。
福井さて、ここからは石破さんご自身のお話を少し伺いたいと思いますけれども、石破さんはお子様のときはどんなお子さんだったのですか?
石破変な子だったのではないですか(笑)
蟹瀬どう、変だったのですか?
石破私、幼稚園、小学校、中学校を鳥取で、父親が鳥取県知事をやっていましたから、そういうところの子だったから、ものすごい制約のなかで育ちましたよね。成績が良くなければいかんとか、行いは正しくなければいかんとか、良くもなく、正しくもなかったら……、プレッシャーのなかで生きていた覚えはあります。
福井なるほど……。大学卒業後は銀行に入られたということで、いろいろな選択肢があったと思いますけれども、なぜ、銀行を選ばれたのですか?
石破それは、私、鉄道が好きだったので、当時の国鉄に入りたいと思ったんですね。ただ、うちの父親がそのころは国会議員になっていて、参議院の運輸委員会なんかにいて、「あっ、国鉄? あれはつぶれるからやめとけ」「じゃあ、新聞社かテレビ局」って言ったら、「人を批判するだけの仕事は、俺は嫌いだ!」って言って、「じゃあ、何ならいいの?」って親に聞いたら、「それは銀行しかない」「なんで?」って聞いたら、「銀行というのは、銀行の信用であらゆる人に会える。会社の社長から、年金暮らしのお年寄りから、あらゆる人の人生と関わることができる。こんな素晴らしい仕事はない!」って言って、……銀行員やったことがない父親が言っていましたけど(笑)
蟹瀬何年やっていらしたのですか、銀行?
石破4年いました。すごく楽しかったです。
銀行員として順調にキャリアを歩み始めた石破だが、1986年、突然、衆議院議員選挙に立候補を表明。結果は全国最年少で初当選。以降、2018年まで11期連続当選を果たしている。なぜ、石破は銀行員を辞め、政治の世界へ進もうと思ったのか?
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