千葉のモノづくり企業がなぜ海外でも成功した?ある専門メーカーの物語


下村特殊精工株式会社
代表取締役社長
安田 保馬

特選インタビュー

下村特殊精工株式会社は大同グループの「みがき棒鋼」と呼ばれる素材加工を専門に行う企業だ。70年以上に渡り、日本のモノづくりを支えてきた。代表取締役社長 安田 保馬は自社の技術をさらに高めながら、人材育成、現場の仕組みづくりなどの改革を進める。自社だけでなくお互いが「補完」しあいながら成長するという、安田の成長戦略に迫る。

グローバル体制 海外展開のメリット

蟹瀬現在はどのような体制で生産をされているんですか?

安田当社は日本に3拠点の工場を持っていまして、それとあわせてマレーシアのペナンと中国の蘇州にそれぞれの工場を持って製造しております。

蟹瀬現地法人を立ち上げるメリットはどういうものがあるんですか?

安田やはり現地のお客さんの変動に対してすぐに対応しやすいということでお客さんが非常に使い勝手がよくなるというのが一番のメリットかと思うんですけれど。地域ごとの文化とか慣習だとか、そういうのを肌で感じてこられるというのが良いんじゃないかと、そういうふうに思います。

こちらは以前マレーシアで工場長を務めていた社員。海外での勤務について話を聞いた。
(インタビュー:生産本部 製造2課長 林 旭さん)

私は主に生産管理、品質保証、その他、機械トラブルの対応など、工場管理全般を見ておりました。文化の違いということがあって、日本で通用する常識が通用しないという難しさがございました。マレーシアの方は与えられた仕事を責任を持って一生懸命やってくれるということで、自分の考えをすぐに取り入れてくれまして作業に当たってくれるということで、非常にやりやすかったです。
自分が経験した苦労だとか、そういうことを後輩に伝え、今後の人材育成に展開できたらいいかなと思います。

成功の秘訣

蟹瀬これまで日本の企業で海外進出をしたところもあるんですけど、意外と苦戦をされたという話をたくさん伺うんですけれど、成功の秘訣というのはどのあたりなんですかね?

安田プリンタシャフトで出ていったんですけど、やはりお客さんにより安くということで、みがき棒鋼を使う材料がどんどん違う材質に変わってくということがありまして、全体としてはまた沈みかけていくんですけれど。そういう中でより精度を求められる製品というのを東南アジアとかの市場で探索しまして、付加価値を高めていったということで、地域のお客さんのニーズに割とすぐ応えられるものですから。困り事をまず相談してもらえるということがあり、そこには品質とか、そういうのがあったのかなと思います。

一体型サービス 業界を生き抜く

ドーキンズニッチな分野でトップシェアを占めているということをお伺いしてきましたが、それでもみがき棒鋼1本だけで事業を成立させるというのはなかなか難しいことだと思います。安田社長はどのような戦略で事業拡大を行ってきたんですか?

安田当社は大同特殊鋼のグループの一員でありまして、(大同特殊鋼は)私どもが加工する元の素材を作っている会社です。それと私どものお客さんがありまして、お客さんのニーズは私どもの加工だけで応えられる部分と、やっぱり素材そのものから開発していかないといけないことがあります。みがき1本というよりも素材から一体のお客さんへのサービスができるという形をとっています。

蟹瀬そういう大きな流れの中で一番重要な部分をおそらく担ってらっしゃるんじゃないかなと思うんですけども、その一方で市場のニーズっていうのはすごく大きく変化してきますよね?そういうものに対応する戦略というのはどういうものがあるんでしょうか?

安田下村品質と言っていますけれど、ブランドをしっかり守って、お客様の変化していくニーズに常に対応していけるように、素材メーカーと一貫で対応していく体制を引き続きとっていきたいなと思っています。

国内外のニーズをいち早く捉え、グループの力と卓越した技術で世界のものづくりを支える。それが下村特殊精工のグローバル戦略。

SMK

ドーキンズさてここからは人材についてお伺いしたいと思います。優れた人材づくりや社員の方のモチベーションアップのためにどのようなことに取り組んでいらっしゃいますか?

安田当社では2009年から「シモムラ 見える化 活動」という「SMK」と当社では呼んでおりますけれど、見える化ということを中心にスタートしていっています。工場の中にSMK活動をシンボルにした広場を作ってありまして、そこに気づいた点を書いてみんなで朝礼などで集まって解決方法を考えています。

SMKプロジェクトについて社員はどう思っているのか話を聞いた。
(インタビュー:生産本部 製造3課 課長 仲亀 勝夫さん)

ドーキンズSMKプロジェクトについてどのようにお考えですか?

仲亀はい。今まで選挙活動を行ってきたことで、見えなかったことが「見える化」されて、社員みんなが共通の問題意識として捉えるようになりました。勘とコツを中心にしたビデオを撮影して若手社員への教育資料として作成しています。

ドーキンズ今後の展開はどのようにお考えでしょうか?

仲亀技能伝承することによって、作業効率をアップさせ、生産量を確保して、よりよい工場を目指していきたいと考えております。

SMKプロジェクトは、会社としての取り組みだけではなく、各部署ごとでもさまざまな取り組みを行い成果を上げているという。やりがいについて若手社員に話を聞いた。
(インタビュー:生産本部 生産3課 サブリーダー 伊藤圭祐さん)

伊藤高い技術やコミュニケーション能力などを学んでいます。他の部署と競争意識を高めあっているので、良い活動だと思います。SMKプロジェクトや先輩から学んだことを通じ、お客様のニーズに応える最高品質のものを届けていきます。

出演者情報

  • 安田 保馬
  • 1955年
  • 岐阜県
  • 慶應義塾大学

企業情報

  • 下村特殊精工株式会社
  • 放送日 2018.07.22
  • 業種 
  • 製造業
  • 所在地住所
  • 千葉県市川市市川1-3-18
  • 資本金
  • 2億98百万円
  • 従業員
  • 285名

関連コンテンツ

運営会社

株式会社矢動丸プロジェクト
https://yadoumaru.co.jp

東京本社
〒104-0061 東京都中央区銀座6-2-1
Daiwa銀座ビル8F
TEL:03-6215-8088
FAX:03-6215-8089
google map

大阪本社
〒530-0001 大阪市北区梅田1-11-4
大阪駅前第4ビル23F
TEL:06-6346-5501
FAX:06-6346-5502
google map

JASRAC許諾番号
9011771002Y45040