老舗家庭薬メーカーが考える
日本の医療制度を守る
家庭薬の役割とは
株式会社龍角散
代表取締役社長
藤井隆太
株式会社龍角散は、200年以上の歴史を誇る家庭薬メーカーだ。社名にもなっている「龍角散」は、ほとんどの日本人に認知されているトップ商品である。代表取締役社長 藤井隆太は、老舗企業だからといって守りに入ることを選ばない。常に進化し続けることで、人の役に立ち続ける企業とはなにか。藤井が目指す「オンリーワン戦略」に迫る。
蟹瀬 私もね、68歳になりまして、もうすぐ69になるんですけども、やっぱり健康って言うのをだんだん気にするようになってきていますけど。これ日本人の健康意識っていうのは、かつてと比べてだいぶ変わってきたんですかね?
藤井 もともと日本はセルフメディケーションやってきた国ですよ。各家庭に家庭薬があって、おばあちゃんからお母さんに、お母さんから娘に「自分の健康をちゃんと考えなさいよ」と。おかしかったらね「こういう薬がありますよ」と。お医者さんももちろん行くんだけど、「お医者さんはしょっちゅう行ったら申し訳ないでしょう」と、いうことは日本人の美徳だったんですよね。
坪井 具体的には、現代の日本人の健康に対する意識で足りないものって何だと思いますか?
藤井 健康経営を一生懸命やっていますよ。健康経営っていうのは、要するに運動を生活の中で取り込んで、そうすると意識が高まりますから、飲み過ぎ食べ過ぎも注意するし、それで経営者も健康になるし。社員もご家族も、やっぱり頑張ってくださいよ、というのは大事なことでね。私、運動あんまり得意じゃないんです。というより運動は大嫌いで、運動しにわざわざ行くのが嫌なんです。その代わり普段ものすごく歩きますから。ちょっと飲みすぎたなってなったら、もう乗り換え駅ぐらいすぐ歩いちゃいますよ。だいたいそれでトータル1日1万歩ぐらい行きますよね。海外なんか相当やっていますね。
蟹瀬 そうですね。
藤井 中国でもやっぱり朝早く太極拳やったりとか、日本人もそこら辺はもうちょっと頑張った方がいいんじゃないと思いますし、その助けとなるのが生活の一部である家庭薬なんですよね。はい。
蟹瀬 これ業界としては、どういう取り組みをなさっているんですか?
藤井 まさに今いろんなイベントをやっていますけども。日本橋室町で薬の神様、薬祖神といいますけど、福徳の森のところにあるんですけどね。せっかく神様ができたんだから、そこで薬のイベントをやろうと。
蟹瀬 そういう意味でイベントを通して、市販薬のことを我々がきちんと知るっていうことが大事でしょうね?
藤井 やっぱ知らないことにはね、全部の健康を任せようじゃ、本当に健康にならないからね。
坪井 はい。
藤井 まずは自分の体どうなっていて、薬はどういうふうに効くんだな、ということをちゃんとわかっていただいた方がいいですよね。
2018年10月、家庭薬についての正しい知識を知ってもらい、セルフメディケーションへの意識を高めることを目的に、啓発イベントが開催された。イベントには、OTC、一般用医薬品の製薬会社など31社が参加。小池百合子東京都知事も訪れ、各ブースを視察した。
小池 日本にインバウンドのお客様が、最近何を買っているかというと。こうやってOTC、昔ながらの日本の薬、これを大量に買って行かれるということで、これはある種、海外から日本の、そして供給の宝物だとお認めいただいているようなものではないかなと、このように思っております。
イベントブースでは健康チェックコーナーも設けられ、専門家のアドバイスを受けながら、自分の健康について考える体験型の催しも行われた。こちらはインターネット上で必要な医薬品を注文し、薬局で受け取りができる一般向けサービス。現在、全国およそ1万4000件の販売店が加盟をしている。医師と薬剤師が開発したこちらのアプリでは、気になる症状や目的から市販薬やヘルスケア用品を提案してくれるという。また、質問形式で症状を入力すると、アプリが自動で病状を判断。市販薬の案内や重篤な疾患が疑われる場合は、医療機関の受診を促してくれるという。
坪井 セルフメディケーションを進めていくためには、どのようなことが必要だと思われますか?
藤井 うちは服薬補助ゼリーやっていますから、これ実は毎日のように問い合わせいただくわけですよ。統計上75歳以上の後期高齢者、薬を処方されている方の3分の1は、7種類以上を処方されているという現実なんです。
蟹瀬 そうでしょうね。
藤井 7種類も飲めますかと。これ現実なんですよ。いかにも多すぎる。なぜそうなっちゃうんですかという事なんですね。日本は非常に幸せな国で、どんなお医者さん回ってもいい、フリーアクセスなんですよ。それぞれで処方されるでしょう。それで薬がどんどん増えちゃう。調剤薬局でちゃんとかかりつけでやってくれればいいんだけどね、あちこちの調剤薬局行くでしょう?見えませんよ。
蟹瀬 確かにね。
藤井 本当に服薬、処方を管理しているのは誰ですかと。意外とわかっていないかも知れない。別にこれは勝手に考えるんじゃなくて、ちゃんと我々の生活の周りには健康作りのパートナー、薬剤師さん、お医者さんいらっしゃいますから。実はこういう事ですけどって、ちゃんと聞いてみたら良いと思います。
蟹瀬 ちゃんとかかりつけのそういう方を持つことが、第一歩になりますよね。
藤井 薬剤師さんに相談してね。まずかったらお医者さん行ってくださいと、ちゃんと教えてくれますから。
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