科学技術の力で世界に貢献する。「未来都市」が担う使命と行政の役割
つくば市
市長
五十嵐 立青
茨城県つくば市は政府によって研究学園都市として、持続可能な開発というプロジェクトのもと数々の新しい施策を打ち出している。市長である五十嵐立青は、26歳から市議として、38歳からは市長としてつくば市の運営に携わっている生粋の政治家だ。五十嵐は旧態依然とした役所、政治家の役割は終わりを迎えようとしていると考え、全く新しい市民との関わり方や施策を次々とを打ち出している。五十嵐が唱える世界中の街の問題を解決するモデルケースとしての考え方とは?つくば市の先進的なまち作りの可能性に迫る。
蟹瀬 これは世界の先進国で共通している問題だと思うんですけどね、大都市、日本でいえば東京と地方の格差ですよね。この辺りっていうのは、どういうふうに考えていけばいいんですかね?どう改善していけばいいのか。
五十嵐 ない物ねだりをしても私はしょうがないと思っていまして、東京と地方の関係というのは、つくばの中においてもあるんですね。新しくできた中心部と周辺部ということで、これが東京と地方の関係になってしまって、市内でも真ん中ばっかり発展してというような声はあるわけです。
でも、ここで今までだったら、じゃあそのままほっとくか、それとも何か補助金でもぶっこむとか、すぐそういう発想になってきたわけですけれども、それではいけないと私は思っているんですね。そのアプローチをやはり変えていくことが必要だと思っています。どういうふうに変えるかというと、地域の事を一番知っているその地域の人たちが、自分たちで対話をしていって、どんなことができるんだろうかというのを考えていくことだと、私は思っているんですね。ですので、新しく周辺市街地新興室というですね、そのものずばりの組織を作りまして、職員が今地域に入ってます。
皆さんこの街の資源なんだと思いますか?どんな素晴らしいものがあると思いますか?
蟹瀬 問いかけていくと。
五十嵐 はい。そのことによって今、各地区の勉強が非常に活発にですね。そういえばこんなことがある!忘れたけどあんなこともできるよな!というふうに盛り上がっていって、そこで出たアイディアに対して我々は予算をつけるとか、あるいは事業としてサポートしていく、というようなことをやっていく形に変えていくことによって、変化をしていくと思いますので。
坪井 確かに問いかけをしていただくことで、自分の住んでいる街を改めて振り返ることができますよね?
五十嵐 そうですね、人は問いが生まれると、そこに対して埋めていくために考えていきますので、私はコーチの資格を持っていまして、経営者向けのコーチングをしているんですけども、やはり問いが持つ力というのは非常に大きいですし、今、つくば市では、まち作りのアドバイザーとして、アメリカのポートランドで活躍している日本人をですね。
蟹瀬 今注目されていますよね、ポートランドね。
五十嵐 そうですね、そこの市役所で、まさにポートランドのまち作りをやっていた山崎さんっていう人をアドバイザーにしてたんで。そういう外の視点と、地元の視点というのをうまく組み合わせていくことが本当に大事だと思います。これから政治家の仕事っていうのは、もう解決をするんだと、何か俺がやってやるっていうんではなくて、問いを共有するという方がですね、仕事としては、より大きくなっていくんじゃないかなというふうに思って、今この仕事をしています。
これまでの豊かさの定義を見直し、これからは問いの力で改善していく。それが五十嵐が目指すつくばの市政。
キーワードは対話。五十嵐が目指すつくばの世界貢献とは?
坪井 さて番組ではリーダーズチョイスと題しまして、ゲストの方に選択の基準、敬愛の人、賢者の文こちらの三つの中からカードで一つ選んでお話しいただきたいと思います。それでは五十嵐市長、よろしくお願いいたします。
五十嵐 では真ん中で!
蟹瀬 はい。
坪井 何を選ばれましたでしょうか?
五十嵐 敬愛の人!
坪井 敬愛の人。どなたになりますか?
五十嵐 市民ですね。街を作っていくのは誰かということを考えるときですね、数の力ではなくて、私はやはり市民と一人一人と深い対話をすることによって、初めて得られる気づきがあると思っていますし、学びもあると思っていますし、自分も多くのものを得て、それをまた街に還元をするというのが、私の仕事だと思っていますので。はい。
蟹瀬 いわゆるデモクラシーの原点ってことになりますよね。
五十嵐 そうですね、対話型の民主主義というものが、やはり今もっと必要なんじゃないかと思っています。議論をしてこのつくばからですね、そういったものをどんどん打ち出していきたいなというふうに思っています。
蟹瀬 さて今後の展望なんですけども、どういうことを今考えていらっしゃるんですか?
五十嵐 G20が今年ありますけれども、それに合わせてつくばでは、貿易デジタル経済大臣会合というですね、総務大臣と経産大臣の両方がそれぞれ集まるというですね、大きな会合があります。これはそれこそ世界中で対立が起きている中、おそらく一番注目される会合になると思います。
蟹瀬 なかなかね、難しい会合になる可能性もありますけれどもね。
五十嵐 そうですね、逆に、つくばのですね、おもてなしで少し関係者たちも和やかな雰囲気を作ることに協力できれば、それが1つのつくばの国際貢献であったり、平和への貢献の仕方なのかなと思って、志は高く取り組んでいきたいと思います。
蟹瀬 世界に発信するいい機会になると思いますね。はい。とにかくやっぱり日本から色んなメッセージを発信するっていうことの重要さというのは、本当に今日お話を伺ってて実感をいたしました。これらも頑張ってください。ありがとうございました。
五十嵐 ありがとうございました。
坪井 ありがとうございました。
敬愛の人―市民。行政は市民に何かをしてあげるのではなく、市民と共に何かをする。市民一人ひとりと対話をすることで、行政の進むべき道が見えてくる。
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