• 賢者の選択 Leaders
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がん治療に患者目線の選択肢を 免疫の力でがんを治す患者の会 会長坂口 力氏(元厚生労働大臣) がん治療に患者目線の選択肢を 免疫の力でがんを治す患者の会 会長坂口 力氏(元厚生労働大臣)

「賢者の選択 Leaders」 今回のゲスト

ひとりの思いが世界を変える──。変化を続けるグローバリズムの中では、あらゆる分野で真のリーダーの選択と決断が待たれている。「賢者の選択 Leaders」は、毎回話題の経営者、時代のキーマンをスタジオに迎え、グローバルな視点から、今を解き明かすトークを展開。 常に革新を求められるリーダーに鋭く切り込んでいく、ビジネス情報TV番組だ。
今回は特別篇として、初代厚生労働大臣などを歴任し2016年9月に「免疫の力でがんを治す患者の会」を立ち上げた会長の坂口力が登場。自身のがん治療の経験をもとに、国、医療業界、患者を取り巻く環境と今後のがん治療における選択肢拡大への思いを語った。

※音声が出ます

  • 2016年「免疫の力でがんを治す患者の会」を設立

    2016年「免疫の力でがんを治す患者の会」が誕生

    現在では2人に1人が罹患するとも言われている「がん」。しかし、医療の進歩とともに治療方法も拡大、現在は10年の生存率は約58%と向上してきている。医師としての経歴も持つ坂口氏は2009年に大腸がんを発病。治療によってがんを乗り越え、政界に復帰した経験をもとに、多くの悩みや不安を抱えるがん患者のために立ち上がった。
    自ら会長として「免疫の力でがんを治す患者の会」を設立。自身も選択した「がん免疫療法」をより身近な医療として普及させるべく、日々様々な活動に取り組んでいる。

    「医療従事者や患者が持つがん免疫療法への疑問を解消し、行政にも正しい認識のもとで新たな制度を確立して欲しいと考えています」(坂口氏)

  • 自分自身の免疫の力に期待

    自分自身の免疫の力に期待

    ハンセン病問題への対応などさまざまな功績を残して初代厚生労働大臣を退官した後、坂口氏を突然の病魔が襲った。
    「自分ががんになるとは考えたことがありませんでした」(坂口氏)
    手術は成功したが、リンパ節への転移が発見された。術後、抗がん剤治療を受けないという決断をした。

    「抗がん剤治療を受けても再発する人もいるし、治療しなくても再発しないケースもあると担当医師から聞き、私は治療しない選択をしました。副作用の有無や症状は患者によって異なりますが、身近な人が治療時に副作用で苦しむ姿を見てきたからです。しかし、やはり何も対策をしないのは不安になり、自らの免疫力を利用する免疫療法を試すことにしました。あらゆる病気において免疫が重要なことは、医師として良く分かっていたからです。」(坂口氏)

  • 誰も体内に持っている「免疫の力」とは

    誰も体内に持っている「免疫の力」とは

    免疫とは細菌やウイルスなどから身を守るための、体がもつ防御機能だ。
    がん細胞とは遺伝子異常で変化した自分の細胞だが、本来体を守るはずの免疫の働きを弱めてしまう作用がある。近年この作用を解除し再び免疫の働きを活発化させる「免疫チェックポイント阻害剤」の効果が明らかになりました。また、他の免疫治療と併用する『複合的がん免疫療法』によって高い効果が得られることが期待され、多くの研究が進んでいます」(日本がん免疫学会理事長・慶應義塾大学医学部先端医科学研究所教授 河上 裕氏)
    だたし、効果には人によって差があり、化学療法とは異なる副作用も出る場合があることなどから、他の治療法との使い分けや組み合わせが重要だという。

  • 坂口氏の受けたがん免疫療法とその経験を生かして

    坂口氏の受けた免疫療法とその経験を生かして

    坂口氏が選んだのは免疫療法の中でも免疫細胞療法だ。これは患者自身の体内にある、がんを攻撃する免疫細胞を採取して数千倍に培養。再び体内に戻して免疫機能を強化するものだ。免疫力を高めることが、がんと闘う第一歩となる。
    「現在は、年に一回の通院で免疫の状態を検査し、免疫力が下がってくるとまた治療を行うことにしています」(坂口氏)
    坂口氏は免疫細胞療法を始めてから8年、これまで副作用や再発はないという。自らの免疫力を信じて、再びがんと闘うことを決めたのが坂口氏の選択だ。

    2015年末、厚生労働省がまとめた「がん対策加速化プラン」によると、抗がん剤などによる副作用で悩む患者の割合は、この10年間で2.2倍に増加し、副作用を改善するための研究が不十分であることが指摘されている。坂口氏は自らの経験や感じたことを活かし、立ち上げた患者の会で医療を受ける側の声を集める活動をスタートさせた。
    「患者の力、患者の家族の力、それを支援する人の力によって治療方法の幅を広げていきたいのです。治療を受けながら仕事や子育て、日常生活を送る時代になってきました。患者の立場、声を考慮に入れて、できるだけ生活の質を落とさない治療を考えていくべきです。」(坂口氏)

がん患者を取り巻く社会環境の改善とがん医療の発展・がん撲滅へ

厚生労働大臣、医師、患者としての経験を持つ坂口氏が選んだがん免疫療法。同氏が会長を務める「免疫の力でがんを治す患者の会」は、がん患者を取り巻く社会環境の改善と、患者視点でのがん医療の発展及びがん撲滅を目指している。
がんを克服するためにも、よい意味でがんと共存していくためにも、がん免疫療法が認知され、さらに普及して、新しい治療方法の選択肢として確立することが期待される。
がん治療の選択肢が増えるよう、坂口氏の今後の活躍に大きな期待が寄せられている。

Profile

免疫の力でがんを治す患者の会

会長 坂口 力

免疫の力でがんを治す患者の会 会長 坂口力氏

1934年三重県生まれ 三重大学医学部卒業
衆議院議員選挙で当選後、1993年労働大臣、
2001年には初代厚生労働大臣に就任。
2016年免疫の力でがんを治す患者の会 会長に就任。