サービス産業の生産性向上を目指し、「価値共創」の考え方を幅広く啓発


公益財団法人日本生産性本部
サービス産業生産性協議会 幹事
村上 輝康

賢者の進化論

科学的見地からサービス産業の生産性向上をめざす
産学官のプラットフォームとして唯一の団体

サービス産業のイノベーションと生産性向上を目指し、2007年、日本生産性本部に産学官のプラットフォームとして設立されたのがサービス産業生産性協議会(SPRING)だ。次世代経営者が実際に他の優良企業で働く実地体験型の研修制度「大人の武者修行」事業や、購買行動に共通する要素をモデル化し、満足を構造的に把握できる「JCSI(日本版顧客満足度指数)」などさまざまなプロジェクトを行ってきた。

「製造業においては、一般的に、科学的に生産性向上を図る手法が確立されていますが、サービス産業の場合は、生産性向上に科学的にアプローチしようとすると、拠り所になるようなセオリーやテクノロジーが見当たりませんでした。そこで、従来はカンや経験をもとに行っていたサービス産業の生産性向上に、科学的にアプローチしようとするのが当協議会の理念です」

当協議会は、2017年に創立10周年を迎え、「サービス価値共創宣言」を発表しました。

「次の10年を見据えて、さらに運動の促進を目指したものです。米国と比較すると、日本の製造業の生産性水準は約7割ですが、サービス産業は約5割です。これを改善しなければならないという問題意識と、サービス産業が日本経済を牽引してほしいという願いも込めた宣言です」

サービス産業の生産性は米国の約1/2と低い状況にあり、これは改善による「伸びしろが大きい」と捉えることもできる。

「サービス産業生産性協議会10周年の集いで発表した10周年宣言は次の5項目です。1.サービスの送り手と受け手で新たな『価値の共創』を 2.科学的アプローチによる仕組みで『イノベーション』を 3.サービス産業に『未来への投資』を 4.『人材』こそサービス産業の価値の源泉 5.『地方創生』を支え『グローバルに展開』するサービス産業へ。この宣言では、サービスの本質である『価値共創』の考え方を中心に据えています。その上で、サービスイノベーションへの科学的アプローチに向けて、人材への投資をはじめとする未来への投資の重要性を提案しているのが大きな特長です」

GDPに占めるサービス産業の比率は、1955年に47%だったが、2018年には72%になっている。GDPの7割を超えるサービス産業には、イノベーションと生産性の向上が求められるという。

「2018年には、10周年宣言をより具体化するため『労働力喪失時代における持続可能な社会経済システム「スマートエコノミー」の実現を目指して』という提言を発表しました。経済規模の拡大を目指す「成長戦略」から、労働者一人当たりの付加価値の抜本的拡大を目指す「生産性向上戦略」に国をあげて転換し、その成果でサービスイノベーションの全面展開を行い、それを購買力の向上につなげ、産業の新陳代謝を高めることによって、さらに付加価値の拡大へと連鎖させる社会を『スマートエコノミー』として提案したものです」

日本サービス大賞を通じて、
サービスの本質「価値共創」を社会にも啓発

当協議会では、2015年から、革新的で優れたサービスを内閣総理大臣賞等として表彰する「日本サービス大賞」を隔年開催している。

「第3回には、全国から762件の応募がありました。審査の途中段階からは、新型コロナ危機の影響によりオンラインも活用して審査を進め、2020年10月に30の価値共創に優れた企業・団体を選定し、表彰しました」

「これらの受賞企業・団体の革新的で優れたサービスは、生産性向上を目指すサービス産業だけでなく、サービス化に取り組む製造業や農林水産業も含め幅広く学んでいただくため、事例集、書籍、シンポジウムなどを通じて紹介していきます。新型コロナ下でもありますので、SPRINGフォーラムをオンラインで開催し、月2事例程度を紹介する取り組みも始めています」

「今後は事例の紹介にとどまらず、サービスの本質である『価値共創』の考え方や『価値共創の仕組みの創り込み』の方法について、サービス産業以外の方々も含めて、わかりやすく広めていきたいと考えています」

新型コロナウイルスの影響により、社会全体が大きな変化を強いられている。

「サービス産業への影響は特に大きく、各企業とも感染防止や新しい生活様式に合わせたサービスへの転換に取り組んでいます。第3回『日本サービス大賞』の受賞企業・団体のサービスには、顧客の変化に合わせて、非接触、遠隔、超臨場といった3密回避型サービスを展開する企業が多数ありました。新型コロナ危機下でも、この様な価値共創の重要性は変わりません。日本サービス大賞を通して、これらの『価値共創の達人たち』の知識・スキルを日本中に学んでもらいたいと思っています」

同協議会は、サービス産業の生産性向上を目指す唯一の産学官のプラットフォームとして、サービスイノベーションの模範事例や『価値共創』を拠り所とする経営革新の方法を産業界に広く普及していくことで、サービスイノベーションの全面展開に貢献していく方針だ。

サービス産業生産性協議会(SPRING)
https://service-js.jp

「SPRING10周年 サービス価値共創宣言」(2017.7.26)
https://www.service-js.jp/modules/contents/?ACTION=content&content_id=1275

提言「労働力喪失時代における持続可能な社会経済
システム『スマートエコノミー』の実現を目指して」(2018.11.30)
https://www.jpc-net.jp/research/detail/002749.html

日本サービス大賞
https://service-award.jp

出演者情報

  • 村上 輝康

企業情報

  • 公益財団法人日本生産性本部
  • 公開日 2021.02.17

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