約40万人の中高生が利用する、「NOLTYスコラ」の活用法を競う「手帳甲子園」が盛況
株式会社NOLTYプランナーズ
代表取締役社長
髙梨 文明
長年にわたり「能率手帳」の名称で親しまれ、2013年から「NOLTY」ブランドとして、より身近に感じられる手帳を送り出し続けているのが株式会社NOLTYプランナーズだ。ビジネス用途だけでなく、2011年に発売した中高生向けの手帳「NOLTYスコラ」は約1,200校、手帳のみで約33万人、手帳以外の関連製品を含めると約40万人の学生が利用するまで大きく伸びている。
「当社は2011年に株式会社日本能率協会マネジメントセンターの法人事業部から独立しました。分社後の施策として実施したのが、ビジネス手帳のノウハウに学生を呼び込む、学校市場の開拓だったのです」
ひとりでも多くの生徒が手帳の活用を通じて「自ら学び、考え、行動出来る力」を身につけることを願い、『手帳甲子園』というコンテストを毎年開催している。
「これは『NOLTYスコラ』を活用して、生徒が書く習慣を身につけ、生活習慣の改善や、自律的な時間・目標管理につなげる取り組み、優秀な活用事例を表彰し、広く紹介するものです」
2020年の第9回手帳甲子園は、新型コロナウイルスの影響で、初のオンラインで開催となった。その結果、例年に比べ参加人数が増えたというメリットがあったという。中高生以外ビジネス用途の「NOLTY」手帳は企業向けだけで約430万冊、個人向けの市販品を含めると約1,000万冊を販売している。
「法人向けは継続率が高く、約95%の企業から毎年ご発注をいただいていることが大きな特長です」
さまざまなものが、アナログからデジタルへと移行されていくなか、紙の手帳をメインに捉える同社は、どのような考えを打ち出していくのだろうか。
「もちろん、デジタル化の否定はしません。アナログとデジタルを使い分けるとか、融合するといったことが大切だと思います」
同社は脳科学の分野から、手書きの有用性を実証する研究を産学協同で実施してきました。
「中高生に『NOLTYスコラ』を使ってもらい、実際にどのような脳の動きがあるのかを研究しています。『NOLTYスコラ』をずっと使っている人と、使っていない人とでは、記憶に対する脳の消費に違いがあることが分かっています、『NOLTYスコラ』を使っている人は、記憶の中にスケジュールのフォーマットが既にあるのです」
そのため、既存のフォーマットに当てはめることで、脳の消費を抑えながら判断することが可能だという。一方、『NOLTYスコラ』を使っていない人には、フォーマットが存在しない。
「使っていない人は記憶を呼び出すときに、かなりの脳の消費があります。つまり、『NOLTYスコラ』を使っていることによって、脳科学的に一定のメリットがあることが認められているのです」
今後もデジタルとどう関わっていくかを考えながら、手書きの利点をアピールしていく。
「当社のユーザー調査によると、若年層の方がデジタルと手書きを上手に使い分けていると言う結果もあります。柔軟な思考で『いいとこどり』ができるようです。年齢が増すに従って、デジタルか手書きの一方に偏りがちな傾向があるようです」
紙の手帳とデジタルの融合は、可能性を広げる大きなきっかけにもなる。
「GIGAスクール構想のなかで、『NOLTYスコラ』もデジタルへの対応が求められており、その融合も進めています。例えば、先生と生徒が手帳でやり取りする際にはデジタルツールを利用するといった発想です」
現在は構想段階だが、将来的にはデジタル版のリリースもあり得るという。
「さまざまなデジタルツールやアプリがありますが、手帳の機能はスケジューラーだけではありません。メモを残したり、考えるスペースでもあるのです」
手帳に手書きした文字や図は、単純なメモとして使うだけでなく、そこから発想を広げていくためのきっかけにもなる。
「そこで、当社は手帳ならではのジャーナル的な使い方をデジタルで実現する計画も持っています。また、逆の発想で、手帳にデジタルの要素を盛り込む考えもあります。」
手書きする紙の手帳は今後も決してなくならない。その大前提と共に、デジタルとアナログのハイブリッドな使い方は、これまでの手帳の使い方を大きく広げてくれるだろう。新たな発想が、次の手帳市場を大きく切り拓いていく。
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