不動産鑑定から、土地・建物の総合コンサルティングファームとして、ワンストップで対応可能に
大和不動産鑑定株式会社
代表取締役社長
波多江 裕之
オフィスや商業施設、レジデンスなど多種多様なアセットタイプごとに専門チームを設け、さまざまな鑑定評価サービスを提供している大和不動産鑑定株式会社。120名の不動産鑑定士がニーズに沿って、幅広い見識から的確なサービスで応えてくれる不動産の専門家集団だ。
「当社は1966年の設立から順調な成長を続けており、2011年には189名だった社員が、2020年には約300名に増えるなどこの10年は大きく成長することができました。リーマンショックを脱してからは、不動産証券化に伴う事業が増加し、不動産鑑定部門以外でも建築エンジニアリング部門などが大きく伸張しました。一方で東日本大震災後の復興にも力を尽くしてきました。」
同社は従来、鑑定に特化した事業を展開していたが、専業から脱却して周辺領域へと事業を大きく広げたことが功奏したという。
「現在は、引き出し口を多く揃えた土地・建物の総合コンサルティングファームとして、ワンストップで対応できる体制を作り上げています。」
同社の顧客層は幅広い。各種法人をはじめ、個人の富裕層も多いという。
「一般企業やリート、不動産投資会社、デベロッパーなどからのご依頼が増え、これが当社の売上の伸びを支えています。それだけにとどまらず、不動産資産をお持ちの方はすべてお客様対象となります。個人の方でも相続でお悩みの方、事業承継でお困りの方は多数存在します。今後は少子高齢化により、跡継ぎ問題等がさらに顕在化していく傾向にあります。当社は不動産事業戦略室を開設して、不動産M&Aに対応し動産の評価など不動産まわりのコンサルティングに幅を広げています」
海外にも進出し、シンガポールに現地法人を開設し、アウトバウンドやインバウンド双方の情報収集を行い、海外のお客様にもサービスを提供している。
同社は2021年に創業55周年を迎える。そこにしっかりと根付いているのは、顧客に対する社員の姿勢だ。
「不動産鑑定士の業務は、利害関係者の事情に左右されることなく常に公正中立な価格を提示するというのが大前提です。その上で、どうしたらお客様の困っていることを解消し、お力になれるのかを考えるのです。どうしたら実現できるのか、お客様の立場で真剣に取り組んでいます。」
社内でも、困っているとどうやって解決したらよいか、親身になって共に考えるという。
「当社は『新しいことに挑戦しよう』という理念を持っています。他社の参入を許さない当社にしかできないサービスを提供することが成長を遂げていくための基本と位置づけこれを実践してきました。好奇心溢れる社員が新しいことにチャレンジし、これを応援するという企業風土こそが、これまでの成長を遂げてきた最大の要因と思っています。
そこには、失敗もあるが、真っさらなところから挑戦し、創りあげていこうという姿勢が次の目標を成功へといざなう。
「社員の力によって、企業が大きく成長し、その成長を社員一人ひとりが実感できる環境が当社にはあります。業界を熟知している社員は特に、当社の魅力は風通しのよい社風だと評価しているようです。」
新型コロナウイルスの影響により、2020年4月〜6月は業務が減ったが、その後年末にかけて不動産取引が活発化したという。
「コロナ禍でお客様の下へ足を運ぶのをはばかられるような状況を迎え、情報発信の大切さを認識しました。お客様の役に立つ新鮮な情報を継続的に発信していくことが必要だと改めて考えました」
直接的な利益に結びつけようという短絡的な思考ではなく、顧客との距離感を縮めて、同社が身近な存在であることを伝えることに大きな意義があるのだという。
「そこで『在宅勤務応援プロジェクト』と題し、不動産の基本や鑑定とはどんなことでどう使うのか、不動産の評価の仕方、借地権とは何かなど約20項目の動画を作成して配信しました。不動産関連の企業に就職した新入社員など、ご覧になった方から『役に立った』というお言葉をたくさんいただいています」
その成果はコロナがすっかり収束し、日本経済が大きく好転したときに少しずつ現れてくればよいのだという。
「今後は非鑑定部門の成長を促して、不動産の総合コンサルティングファームにふさわしい事業構成、売上構成を実現したいと考えています。多角化を積極的に推進し、事業の柱を2本、3本と増やしていきます」
時代の移り変わりや社会の変化に呼応して、これからも新たなニーズが生まれてくるだろう。同社は世の中に芽吹いたニーズをしっかりとキャッチし、ビジネス化する取り組みを続けていく考えだ。
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