業界一幅広い港湾オペレーション。関東一円の人々の暮らしを支える港湾運送事業の精鋭たち。


株式会社ダイトーコーポレーション
代表取締役社長
松川 一裕

賢者の進化論

コンテナ船・港湾運送業界、激動の20年
競争原理に晒されながら、統廃合の波に打ち勝つ

1934年、大東運輸株式会社を設立し、川崎汽船株式会社の京浜港における総代理店として港湾運送事業をスタート。高度経済成長とともに業務を拡大し、1993年株式会社ダイトーコーポレーションに社名変更。その後、アジアを中心に海外展開するなど、意欲的に事業拡大してきた。グローバル競争が叫ばれる中、2008年のリーマンショックにて業界が激変。2021年、創業87年を迎え、変革の渦中にある同社。今もなお、関東4351万人の生活を支える港湾運送事業を中核に据え、インフラ関連事業のプロとして使命感に燃えている。

2002年中国がWTOに正式加盟し、世界のコンテナ貨物の荷動きは毎年二桁増を記録。世界中のコンテナ船社は荷量増加に伴いフリートの拡充と大型化を図ってきたという。

「海運というのは昔から世界的にグローバルに開かれた世界で規制がほとんどなく、完全な国際的自由競争の世界です。2002年に中国がWTOに加盟して以降、物流が増加。併せて貨物船の大量発注が起こり、船会社が発注した船舶はバックオーダー(入荷待ち)となりました。バックオーダーは2年分となり、2008年のリーマンショックの時もその傾向はまだ続いていました。リーマン以降は、アジアー北米大陸間、アジアー欧州間の荷動きが激減し、バックオーダー2年分がさらに需給ギャップを拡大し船会社を圧迫する結果となりました」
 

その後、船会社は発注を控え、船腹の伸びは緩やかになり、激減した荷量は徐々に回復したという。ただ、ギャップは埋まりつつあるものの、オーバー・トンネージで運賃が下落し、船会社の体力が疲弊したという。

「近年、グローバルなコンテナ船市場において、大きな船会社がどんどん周りを飲み込みながら大きくなっていくというような合従連衡が起こり、日本の海運会社三社(川崎汽船、商船三井、日本郵船)もこのままでは太刀打ちできないということで定期コンテナ船事業を統合し、あらたに『Ocean Network Express Pte. Ltd. (通称ONE、本社シンガポール)』を設立しました。統合前は世界で10位以下だったものが三社統合し、それでもようやく世界第6位です(運航船腹量138万2000TEU、航隻数は256。グローバルシェアは約7%:ロイター通信より)」

同社は元々、川崎汽船の子会社。東京都と横浜市から川崎汽船が借り受けたターミナルのオペレーターとして、東京湾の大井コンテナ埠頭と大黒ふ頭でサービスを提供している。統合した二社にもそれぞれターミナルオペレーターがいて、これまでは親会社を通して間接的にサービスの競争力や安全性や効率性が親会社のコストの一部として問われてきたという。

「2018年の三社統合以降、弊社のサービスそのものが表の競争原理に晒されました。今までのように、自分の親会社を見ていればよい環境ではなくなり、三社統合の新会社一社に対して、オペレーター三社がサービス競争の立場に置かれ、品質を比較されるようになりました。中核事業はコンテナ・ターミナルオペレーション事業に変わりないが、環境が激変し、淘汰の可能性も含んだコンペティションの中で、私たち自身が変わっていかなければいけないという危機感を持っており、現在、能動的に自己改革をしようと取り組んでいる最中です」

ただ、港湾運送事業は多くの作業が許可制であり、国土交通省から許可を受け港湾運送事業を営んでいる以上、許可のない国内エリアでの事業展開は不可能だという。

「港湾運送事業法のもと東京湾での事業許可を受けている当社は、東京湾以外での事業展開ができません。地方からの人口流入もあり、関東エリアに限って言えば、少子高齢化の影響はあまりなく、幸いなことに東京を中心とする首都圏の経済規模は当面維持されるとみていますが、今後IT化やDXによっていくら経済規模が拡大し情報価値が上がったとしても、人口が今より増えないことには既存事業の拡大はありません。人口増が見込めないということは物理的に貨物量が増えないということであり、そこで頭打ちということです」

変化の激しい時代に新しい分野に進出する時間はなく、かといって手っ取り早く同社のスキルを生かそうと思っても、東京湾以外の国内に進出するのは難しい。

「これまで培った我々の経験やバリュー、ノウハウは海外で生かすしかありません。今後発展すると思われるエリアと言えば東南アジアです。すでに私たちはフィリピンで倉庫と陸送と通関を担う事業を展開しています。他にも、川崎汽船が展開するアジア地域に補完する形で人材提供しつつ、地元の人脈やネットワークを構築すべく鋭意努力しています」

他社二社にはない豊富なメニュー
船社港運の強みを最大限に生かしていく

統合した二社にも同じような港湾運送事業の子会社があり、コンテナ・ターミナルのオペレーションをやっているが、同社は事業内容の種類が幅広く、そのノウハウは海外でも生かせるという。

「弊社は港湾において必要とするサービスは全て外注せず自社で賄ってきたので、蓄積された一人当たりのノウハウも幅広く、海外でも通用すると思います。例えば、車両運搬専用船の荷役やタグボートのサービスや船舶の入出港を代行する代理店もやっていますし、倉庫や通関業はもちろんのこと、大型タンカーに必須の消防警戒船サービスも弊社で行っています。これらのノウハウがあれば、海外でその国の港湾建設が行われ、入港や荷役など港湾オペレーションに関する全ての事業の募集に手を挙げることができます」

港湾運送事業にはスーパーバイザーやフォアマンといった職種があるように、実際にはマネージメント業務であり、現場作業とは別という二層構造なのだが、一纏めに「港で働く仕事」とみなされてきた。まして、就活生にとって「海」や「港」や「コンテナ貨物」関連のキーワードで同社のところまでなかなかたどり着きにくいのだそう。ただ、松川社長いわく「前回、取材頂いて以降、面接に来られる学生さんは取材内容を基によく研究されていて、非常に助かっています」と言う。同社は、同業他社にはない幅広い知識や経験を得ることができ、人々の生活を支えるインフラ事業に携わる責任感ややりがいも感じることができる港湾運送事業会社であることは間違いない。培った経験やノウハウは、過当競争のグローバル社会においても必ずや生きてくる。是非「海」や「港」に興味のある方は同社までご一報を。

出演者情報

  • 松川 一裕

企業情報

  • 株式会社ダイトーコーポレーション
  • 公開日 2021.02.02

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