

ロングランを続けるオンライン麻雀「Maru-Jan」をリアル化し、ヘルスケア事業も推進
株式会社シグナルトーク
代表取締役社長
栢 孝文
2004年4月に発売したオンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」は国内屈指の息の長いゲームとして親しまれている。開発・運営する株式会社シグナルトークは2020年、月間売上が同社初となる1億円超に上るなど、年間で過去最大を記録。新たな事業分野にも果敢に挑戦を続けている。
「とくにヘルスケア分野に力を入れています。2005年には認知機能をチェック・管理できるWebサービス『脳測』をスタートしました。当初は麻雀が認知症予防に効果的だということを科学的に検証しようと考えたものです」
「脳測」は医療機関で行われるMMSEの測定結果に準じ、脳の認知機能を数値化できるサービスだ。近年は引き合いが増えており、現在は提携企業でサービスを継続している。
「当社はITによる健康づくりのサポートを目指しています。オンライン上で処理する手法はゲームとも共通しており、当社の技術が生かされています。2016年には健康リスクをスコア化したアプリ『my healthy』をスタート、2020年にはこのデータを基にワークパフォーマンス改善につながる食事をAIがアドバイスする『WorkUp AI』サービスを提供しました」
さらに次のステップとして、「FoodScore」がスタートした。これは、食品のバーコードや原材料名から、それぞれの食品の健康への影響をAIが数値化してリスト化し判定してくれる新サービスだ。
「食品の健康度合いを数値で示すことで、体によい食品を探し回らなくてもリストから選ぶことができます。健康度合いの判定に力を入れています。国内約16万種類の商品に対応しており、コンビニやスーパーなど一般的に流通している食品ならばほぼ網羅しています」
このうち約5万商品はバーコードの読み取りに対応。海外の商品やバーコードの読み取りに対応していない商品は、原材料名をスマートフォンのカメラで撮影すると健康度が分かる。
「アプリはシンプルな操作を実現しており、無料で利用できます。当社は特定の商品をお勧めするのではなく、データを基にした数値を提供しています。当社がヘルスケア事業で蓄積してきた『my healthy』や『WorkUp AI』のデータを活用して、何を食べればどう健康に影響するかを判断します」
これに加えて、消費者庁の添加物データや欧米の機関が発表したデータ、700人以上の専門家の書籍や論文のデータをプラス。AIによるディープラーニング学習の結果を基に、病気や症状と関連した商品の健康度スコアを導き出す。
「食生活に気を遣っていても、それが本当に体によいのか、どの食品がどれだけ体に影響しているのか分かりません。プラス30点、マイナス20点というように、食品の健康度が分かった上で食べられる世界を作っていきたいと考えています」
「『FoodScore』アプリによって食べ物の新しい価値観を作っていきたいと考えています。現在は健康のために何を食べたらよいか、という部分ばかりが脚光を浴びがちです。食べることを避けるという観点からはなかなかアプローチできません。『FoodScore』アプリでチェックし、アプリを通じて食品を買っていただける世界を作っていきたいと思います。より多くの方に使っていただき、スマホアプリの『マップ』のような、必須の存在に育てたいと思います」
2020年にオンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」が大きく伸びたのは、新型コロナウイルスの影響で、外出を控えたり、リアルな環境で麻雀ができなくなった方から支持された結果だと振り返る。
「アフターコロナ以降もこのまま伸び続けるのではなく、揺り返しは必ずやってくると想定しています。そこで、当社では新時代のリアル麻雀としてオンライン麻雀卓『Maru-JanR』を開発しました」
麻雀卓は従来から完全にオフラインの世界だ。「Maru-JanR」はこれをオンライン化したもので、電子決済への対応や成績の記録が可能になる。
「オンラインとオフラインを融合したものです。現金を賭けて遊ぶような麻雀ではなく、ポイントをやり取りして遊ぶシステムとし、さらにポイントは一切換金できないようにすることで、麻雀を遊ぶ楽しさと、法的な安全性を両方クリアしました」
同社はバーチャルとリアルの両面から麻雀関連事業を積極化する方針だ。さらに、新領域の事業も挑戦を続ける。
「新規事業に進出するのは、当社しかやらない事業を展開することで、企業の存在意義を打ち出すためです」
短期的な利益を追求するのではなく、自社にしかできないこと、他社がやらないことを事業化していくのが同社の方針だ。
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