フランスの伝統と気品あふれる最高級ブランドからトータルラグジュアリーブランドへ


エス・テー・デュポンジャポン株式会社
代表取締役社長
田谷 護

賢者の進化論

150年の伝統を保ちつつ
時代の新しい顔を創造するブランドへの取り組み

1872年創業、高級革製品メーカーとしてスタート。フランスを始めとする世界中に知れ渡る名門ブランド、エス・テー・デュポン。日本では、高級ライターや高級万年筆などで広く知られている。クオリティの高さはもちろんのこと、アフターサービスも充実している。しかし、近年はブランドについた固定イメージを打破すべく、新しい層の開拓にも取り組んでいる。

長期に渡り、事業を継続してこられたのはその時代時代に合った製品を作ってきたことや、その時代を象徴するアーティストやデザイナーとコラボレーションしてきたからだという。

「我々のビジネスは、マーケットに変化を見せることも大事です。ただ、コアとなるブランドバリューはしっかり保ちながら事業を進めていくことが肝要です。2022年には150周年になりますし、クラフトマンシップは堅持しつつ、ブランドバリューを踏まえながら、時代に合った新しい顔もマーケットに見せていくことが求められます。フランスのオーセンティックなラグジュアリーブランドでありつつ、その時代に新しい顔を見せていくことで、ブランドの認知度やお客様のブランドイメージをリフレッシュしていくことも必要なのです。その取り組みは今も変わりません。ブランドのコアバリューをしっかり意識しつつ、古き新しきブランドとして様々な方法で発信していきたいと考えています」

製品のクオリティとアフターサービスには定評がある同社ブランド。専門の職人がそのブランドの信頼を支え、丁寧な接客サービスで長年愛されるお客様からの信頼を紡いできた。

「アフターサービスは、弊社のクオリティの高い商品を修理できるキャリア40年以上のスタッフがおり、古いものもしっかりメンテナンスさせていただいています。その姿勢は今も変わりません。40年以上のキャリアがなければできない弊社ならではのサービスがあると考えています。今の時代、特にこのコロナ禍で、よりお客様が精神的に満たされる(満足度の高い)ものを求めるような時代になってきていると思います。価格如何を問わず、気持ちを満たしてくれる商品が購買の大きな要因ではないかと考えています。その意味で、単に商品のクオリティだけではなく、ブランドそのものの信用度やイメージ、アフターサービスなど、どのようにブランドとして、お客様の中に存在すれば選ばれるのかを考えながら、店頭やオフィスやブランド運営にあたっています。以前よりも、よりお客様に寄り添ったエモーショナルなアプローチが大事だと考えます」

「高級ライターといえばデュポン」からの進化
多面的なブランドイメージ戦略に意欲的に取り組んでいく

日本のマーケットではライターのイメージが強く、“高級なライター=デュポン”や漆塗りのライターなどのイメージが定着しているという。

「ライターでクオリティの高いラグジュアリーブランドのイメージがついていますが、元々はレザーのブランドでもあります。エリザベス女王の結婚祝いに弊社ブランドのレザーをフランス大統領が贈ったこともあり、我々のDNAにはレザーというものがあります。日本では、売上の半分以上がライター、次に筆記具、そしてレザーという内訳で、実は色々なものを扱っており、ライター以外の商品でもさらにブランドイメージを確立していき、多面的な顔を持つトータルなハイクオリティブランドとしてのイメージを確立していきたいと考えています」

確かに、タバコや葉巻を嗜まない人にとっては少々縁遠い存在だったかもしれない。近年、キャラクターとコラボしたり、様々な取り組みを試行錯誤しているという。伝統的ブランドの気品あるイメージを損なわずに新しい層を獲得するイメージ戦略は一朝一夕にはいかない。

「お客様と弊社のスタッフやブランドとの距離感も1つのテーマです。以前よりも近くなるようなコミュニケーションの方法を模索しています。もちろん、デジタル・マーケティングにも力を入れていきたいと考えています。これまでのように、紙媒体やイベント集客が難しい中では、継続的にお客様にアプローチしていきながら、身近な存在としてのブランドイメージの発信が必要ではないかと感じています。今は一つの方法に固執することなく、様々なツールを多用していき、試行錯誤しながら、精度を上げていきたいと考えています」

かつては多くのコラボレーションでマーケットに刺激を与えた同社。しかし、花火を打ち上げただけでは駄目なのだという。

「その時代に合った新しい顧客の創造という目的には合致していますが、キャラクターとコラボすることで、デュポンを購入していただいたとしても、その後、どのように継続して愛用していただけるかということはまた別の話になります。ですので、花火だけで終わらないように、その後のフォローも重要です。お客様が求めるブランドとしてのクオリティの高さは、当たり前に受け止められているので、A社ではなく、なぜ弊社のブランドなのかという、選ばれるブランドとしてのエモーションを掻き立てるような何かがなければなりません」

今の若者層にも届くブランドイメージとは、どうあるべきなのか。

「アラン(CEOアラン・クルベ氏)が言うように、4つの『Art』(The Art of Traveling、The Art of Fire、The Art of Writing、The Art of seduction)という軸に対して、お客様にも色々なタイプがあり、様々な年齢層があるわけなので、どの層にもリーチできるように多様性を発信していきたいと考えています。今はライターのイメージが強いですが、洋服なら洋服、時計なら時計と、固定されたイメージのブランドが多い中、色々なものを扱い、それぞれにしっかりしたブランドイメージがあるようなブランドは少ないので、弊社もライターだけではなく、お客様の生活の中の様々な場面に我々のブランドイメージが根付くように、多面的なブランドイメージを構築し、認知度を定着させたいと考えています」

お客様の意表を突くような意外性のあることをやっていきたいとおっしゃる田谷氏。エス・テー・デュポンは古くて新しい(伝統と創造)ブランドであり続ける。趣深い気品ある高級ブランドのイメージを維持しつつ、新しいことに取り組むチャレンジングな姿勢が次の時代を創造していくことに繋がる。

出演者情報

  • 田谷 護

企業情報

  • エス・テー・デュポンジャポン株式会社
  • 公開日 2021.04.07

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