経済衰退・円安リスクの日本、間違いなく大胆変革が必要
高市早苗首相率いる自民党政権が、最近の衆院選で圧勝し、野党の中道改革連合を惨敗に追い込んだのは、いまだに驚きだ。無党派の若年層を中心に、内閣支持率の高さがあったとはいえ、強引ともいえる解散総選挙の政治手法に対し、有権者の間では、豪雪地を中心に強い反発を招いたためだ。そうした中での自民党圧勝は間違いなくサプライズだ。
5か月近くたった今、政権運営も安定化し始め、衆議院における「数の力」を背景に、長期政権化する可能性も出てきた。多くの専門家の分析どおり、今回の自民党圧勝は、「高市人気」がもたらした部分が強い。その分、高市首相自身の政治リーダーとしての責任の重さが、格段に高まっている。今後は、高市首相が「数の力」を武器に、強引な国会運営に走らないようにメディアを含め国民・有権者の政治監視が極めて重要になる。
「責任ある積極財政」に不透明さ、デフレ脱却宣言も課題
その高市首相にとって、課題は山積だが、焦点は「責任ある積極財政」部分だ。政府が率先して成長期待の17の戦略分野に財政面で積極投資を行い、民間の活力を誘発して力強い経済をめざす、という。しかし財政支出の打ち出し方次第では、政策課題の物価高に歯止めがかからないばかりか、逆にインフレ高進リスクが生じかねない。とくに、円安で原油などの輸入価格が値上がりし、国内物価押し上げリスクも生じている。高市首相が積極財政の一方で、物価高対策にどう責任対応するのか不透明だ。リーダーの指導力が問われる。
日本経済は今、かつての長期デフレからインフレに局面が大きく変わりつつあるのに、依然として、経済低迷リスクを払しょくできないままだ。しかも、デフレ脱却宣言が行えていない。高市首相は所信表明演説で、「責任ある積極財政」で力強い経済の実現をめざす、と言ったが、掛け声倒れに終わっている。必要なのは、具体的な方策、とくに日本がデフレ経済には二度と戻らず、新たな道筋についた、と言い切れる確たる政策の方向付けだ。
信奉するサッチャー元英国首相の指導力に追いつけるか
そこで重要なのは、高市首相の政治指導力だ。高市首相自身は、同じ女性の政治リーダーとして1979年から11年間、英国首相を務めたマーガレット・サッチャー氏を尊敬し、女性の本格リーダーになるべく「日本のサッチャー」をひそかにめざしている、という。
サッチャー氏は在任中、電力やガスの事業民営化など構造改革に取り組み、苦境下の英国経済立ち直りを図った。南米の英国自治領フォークランド諸島へのアルゼンチン侵攻には軍事力で対抗して勝利をおさめる大胆さも見せた。しかし、スケールの大きさや政治家としてのタフな経験量の多さから見れば、高市首相は、まだサッチャー氏の足元に及ばない。





