着実に進む日本の衰退、若手政治家はなぜ動かない?


時代刺激人

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

日本衰退に歯止めかけるため今こそ「自民党をぶっ壊せ」

日本の政治劣化がひどすぎる、と冒頭に述べたが、裏金問題で責任を問われた複数の政治家が国会聴取で「秘書が勝手に行ったこと。自分は関知していない」と秘書に罪をなすりつけ平然としていたのをご記憶だろう。秘書が政治家の了解なしに政治資金を動かすなど、常識から言って考えられないこと。政治家が保身に走り、責任をとろうとしない点が国民の強い政治不信を招いている。日本の衰退を引き起こすのは彼らだ、と言いたい。

率直に言って、今の自民党は、高齢政治家たちの老害かつマンネリズム政治に陥っている。小泉純一郎元首相がかつて打ち上げた「自民党をぶっ壊せ」が、今こそ必要だ。日本周辺の中国やASEAN(東南アジア諸国連合)で文字どおり地殻変動が起こりつつある。それに対応すべき日本政治が内向きで、リーダーシップを発揮できる状況にない。何とも歯がゆい。

久米自民党元事務局長「若手政治家に気概ないのが残念」

世代交代の核になるべき肝心の若手に時代を変える30代の行動派が全く見当たらない。40代の小泉進次郎氏、50代の福田達夫氏らに期待がかかるが、彼らも若手政治家の立場で日本衰退に歯止めをかける共同行動を起こしたか、と言えば、その形跡は見えない。
自民党の元事務局長で、選挙分析で歴代首相にアドバイスするなど影響力を持つ久米晃氏は、小泉氏ら若手政治家がなぜ大胆な改革に乗り出さないのか、という問いかけに対し「シニア世代の有力政治家に忖度しているのだろう。遠慮せず大胆に行動すればいいのだ。日本をこう変えていく気概が感じられないのが残念だ」と述べている。そのとおりだ。

1988年にリクルート子会社、不動産会社リクルートコスモスの未公開株が有力政治家に賄賂として譲渡され、日本中を震撼させたリクルート事件のことをご記憶だろう。当時、武村正義氏(故人)ら自民党の若手政治家が改革を叫んで自民党を離党、新党さきがけを立ち上げ旧態依然の日本の政治にくさびを打ち込んだ。この先例をしっかり踏まえ、自民党の若手政治家たちは衰退する日本を変えるため、大胆な改革行動に踏み出すべきだろう。

大幅円安には為替介入よりも「強い経済」対策が先決

若手政治家たちが対応すべき重要課題のうち、冒頭の大幅円安への対応に関して政治家の関与はご法度。市場介入をめぐっては通貨当局に対応を委ねる必要がある。為替変動を投機対象にする投機筋との闘いは駆け引きを含め心理戦争となる。それにドル売り介入にあたっても基軸通貨のドル価値に神経を払う米国政府を敵に回せず慎重行動が重要なのだ。

民間の通貨問題専門家によると、過去の通貨当局による市場介入の経験から言って、巨額のドル資金が日々動く外為市場で円安に歯止めをかけるのには限界がある。それよりも「強い経済」「強い国力」を生み出す対策が先決だ、という。全く異存ない。若手政治家たちが対応すべきは、すでに述べたとおり、衰退化する日本経済の立て直し策だ。

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