地球は一つ。人類が生きるために求められるこれからのリーダー像とは
後編
安藤忠雄(建築家) ×澤田秀雄(H.I.S.)
地球の人口は近年加速度的に増加している。それにともない、食料やエネルギー問題はより深刻になってきている。人類が平和に発展を遂げるためにはこの2つの問題はかならず解決しなくてはいけない至上命題だ。今回も前回に引き続き、世界を知る建築家 安藤忠雄と株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長兼社長CEO 澤田秀雄を招き、これからの企業の考え方、理想のリーダー像を語ってもらった。二人が言葉から伝わる「グローバルな見方、考え方」が必見だ。
2007年、21世紀における日本の重要な政策の柱として、観光が掲げられ、観光立国推進基本法が施行された。観光・旅行業の一翼を担う澤田は、観光立国ニッポンについてどう考えているのか。
唐橋 観光立国ニッポンというのを、掲げてますけれども。何を売りにしていったらいいんでしょうね?
澤田 日本は売り物はいっぱいありますよ。歴史もあれば、文化もあれば自然もあれば、地方もいっぱい色々ありますから。インバウンドがどんどん増えると思いますよ、間違いなしに。今でも増えてますけど。
安藤 こないだ私の事務所にね。スリランカ、マレーシアなんか30人くらいちょっとお話聞きたいと。30分ぐらいね。まぁいいだろうと。建築の学生ですから、建築は見に行くでしょうからいいだろうと。それよりも礼儀を学んで行けと。美しい町学んで行けと。建築は見るなと、言うた。「んん、分かりました。」納得して帰りました。基本的に日本人のいいのは、礼儀正しく、自然と共に生きてきたが故に美しいものを愛でる、ゴミを捨てない。美しい日本というのを売った方がいいと思いますよ。
唐橋 そうですね。ちょっと源流をたどった方がいいかもしれないですね。うん。
安藤 今ね、中国の人たちがたくさん来るじゃない、日本にも。私は京都の清水寺とか、銀閣寺見るのかと思ったらそうではないんですね。それももちろん一部ですけれども、空気を吸いに来た。
日本の空気は綺麗じゃないですか。だから空気を吸いに北海道へ行くと。北海道の建物を見るというじゃなく、空気を吸いたい。
唐橋 深呼吸したい。
安藤 したい。何よりもマスクをつけずに歩きたい、と思ってるんですよね。そのことを考えると、地球のエネルギーと地球の環境というのは、すごいみんなが真剣に取り組まないといかん。だけど日本人の良いところは、「何とかなんのちゃうか」と。これで大丈夫?大丈夫というか、考えていないところが日本人の良いところやわ。ふふふ、おめでたいで、ほんまに。
唐橋 考えないことは楽ですからね。
安藤 だけど、考えないのは楽ですけど、生きていけなかったらどないしますの?だから、これを生きていくためにどうするかと。やっぱり地球の中で生きるのは、相当覚悟いりますよ。
国連の世界人口白書によると、20世紀半ば世界の人口はおよそ25億人。それが20世紀末には、およそ60億人にまで急増。その数は現在も増え続けており、2018年時点でおよそ76億人。白書では、2050年ごろには98億人に増えると予測している。この増え続ける人口に対し安藤は、これからは地球規模で物事を考える必要がある、という。
安藤 人口は元々30億で教えてもらったんで、今や73億とか言うんですよね。もう地球は一つだという社会の中で生きていかないといかんと。我々の若い頃はやっぱり、ヨーロッパ行きたいなと、思ったんですが、もう今の若い人たちは、アジアからヨーロッパどこでも行くじゃないですか。そういう時代になった時に、地球を大切にせないかんと思うんですよ。
チェルノブイリのときの大気汚染、ずっと地球上を回ってるわけですね。原子力が破壊すると。そしてまた、福島の場合でも流れて、サンフランシスコの方まで流れているじゃないですか。そういうことを考えると、原子力のあり方をもう1回考えないかんと思うんですね。
日本だけじゃなしに、中国もたくさんありますからね。そのアジアたくさんありますから、その事を真剣に考えないと、地球の中でもし2、3のところで爆発したら、どうすんの?と。いうことを真剣に考えないかんのを、国際的に話し合わないかんと思うんですよ。それがないと地球の中で、我々は生かしてもらえないと思いますね。
澤田 今、安藤さんが言われたように、やっぱり地球を大切にしなくちゃいけないですよね。原子力とかもう化石燃料を使うと空気も悪くなりますし、温暖化も進みますから。そうじゃなくてやっぱり自然エネルギーで、やっぱりエネルギーを賄うこと。そのためのお手伝いをしたいなと思って。
太陽の光と熱、水力、風力、地熱など、自然を使った再生可能エネルギー。これまでのエネルギーのように、1箇所で大量に発電する一極集中型に対し、再生可能エネルギーは、各地域ごとに活かせる分散型エネルギー源として、近年、企業や自治体に積極的に取り入れられている。
澤田 産業革命というのはエネルギーで、最初の頃は石炭とか、その次に石油になって、今電気の時代ですね。この電気を作るのに、化石燃料を使ったり原子力は非常に空気を悪くしたり、危険ですから。もうヨーロッパでも、原子力も火力も禁止になりましたので。温暖化も進みますから。僕はもうぜひ自然エネルギーに全部、やっぱり変えるべきかなと思ってますね。
エイチ・アイ・エスでは、ハウステンボスの施設の屋根に、太陽光発電を設置。また敷地近くに、およそ2メガWの電力を供給できるメガソーラーを配備している。更にエイチ・アイ・エスでは、次世代に向けた新たな研究・開発を行っているという。
澤田 僕としては、自然エネルギーで全部やっぱり地球は回るようにすべきかなと。そういうのを我々としては、研究・開発・投資をしてるというのが、今の状況ですね。はい。
唐橋 今どういう研究されてるんですか?
澤田 今やってるのはですね、薄型の太陽光の開発で、これ自然エネルギーですから、こういうのをどんどん普及させるべきじゃないか、と思ってるんですね。
唐橋 今どのくらい普及されてるんですか?
澤田 我々今工場建設をしつつあるんですね。それをこれからアジア全域に普及させていこうかなという計画を今進めてます。
唐橋 へぇ、すごい。パネルですから、どういう場所に設置できますでしょうか?
澤田 もう薄型パネルですから、どこでも壁に貼ってもいいし、もちろん屋上に貼ってもいいんですけど、でも今それを我々のハウステンボスの「変なホテル」っていうロボットホテルがあるんですけど、その3号棟で今もうテストやってます。
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