資源循環型社会の一翼を担う鉄鋼業の老舗企業。そのトップが目指す未来


共英製鋼株式会社
代表取締役社長
廣冨 靖以

特選インタビュー

大量生産、大量消費の現代において、再生利用可能な資源を有効に活用することは至上命題となっている。共英製鋼株式会社は、70年を超える歴史を持つ老舗鉄鋼メーカーだ。そのトップである代表取締役社長 廣冨靖以は、会社の成長のためには3つの柱が重要と説く。廣冨の未来を見据えた経営哲学と、これからの鉄鋼業界の可能性を紐解く。

地域との共生

福井 そういった取り組みとともに、やっぱりこの地域への共生っていうところもかなり大きなポイントになってくると思いますが、そのあたりはどう取り組まれていらっしゃいますか。

廣冨 2011年に起こった、東北の大震災で津波の被害が大変でしたので、あれを見た名古屋の事業所長が我々の方も沿岸部に工場がありますので、津波の被害が東南海の地震が起きたときには必ずあると。開発センター兼避難ビルというものを作りまして、地域の方々に利用していただけるようなビルとしてご提供さしていただいていると、こういうことであります。

ドーキンズ 私は今、共英製鋼の名古屋事業所に来ています。こちらでは地域に配慮した施設が作られているそうです。さっそくお邪魔したいと思います。

こちらは名古屋事業所内にある開発センター。グループ全体の技術開発を行うだけでなく、地域の防災施設の役割も担っている。

(インタビュー:名古屋事業所 業務部長 菅原 忠広さん)

ドーキンズ 広いですね!

菅原 そうですね。開発センターの屋上になっておりまして、津波等が起きた場合は、従業員、協力会社、地域住民の方300名がこちらで避難できるようになっております。

ドーキンズ 高さもありますから安心ですね。

菅原 そうですね。12メートルの津波に耐えられるようにできておりますので、十分安心して避難していただけると思います。

名古屋事業所がある愛知県海部郡飛島村は、伊勢湾最北部に面しており、村全体が干拓地。海抜0メートル地帯が多く、平均海抜は-1.5メートルと水害を受けやすいため、今後予想される南海トラフ地震による津波の被害が懸念されている。

ドーキンズ 実際に災害が起きたとき、こちらにどれぐらいの方が避難できて、何日ぐらい過ごすことができるんですか。

菅原 300人の方が避難できるようにしておりまして、3日分の食料や備品を用意しておりますし、水が溢れて移動ができない場合に備えて、ボートなんかも完備しております。

ドーキンズ こちらで過ごすことができるだけじゃなくて、別の場所に移動することもできる。

菅原 そうですね。何か緊急のときは近い距離であれば十分移動していただけると思います。避難以外にもいろんな形で飛島村に共英製鋼という会社を知ってもらって、地域と共生していきたいなと。

入社の経緯

福井 さて、廣冨社長のプロフィールを拝見いたしますと、大学卒業後、銀行に入行されていらっしゃいますよね。どのような経緯でこの共英製鋼に入社されたんですか。

廣冨 2000年頃ですね、私が担当したお客さんであったわけですね。大阪のある電炉の再建支援に高島浩一さんに乗り出してもらおうと思って。そこで、今の会長の秀一郎さんと高島浩一さんにお会いして、そこからの付き合いなんですね。5、6年前に銀行を辞めて他の仕事していたときに会長の方からもう1回共英製鋼に興味があるんであれば仕事を一緒にやってみないか、というお誘いを受けましたんで入ることにしたんですけど。

入社後の仕事

蟹瀬 今度はご自身がトップになられた。そうするとやっぱりどこから手がけるか考えられたと思うんですが、まずどこからという感じだったんですか。

廣冨 3つの質を高めましょうと。それが1つは経営力、それからもう1つは現場力、それから社員力、グループ総合力をしっかり上げていこうということも大きなテーマにしています。あの「プロジェクト・ワン」という名前で業務改革プロジェクトチームというのが今起ち上がってましてね。
システム開発まで持っていくために、約3年のプロジェクトで今展開しているんですが、それが非常に活性化に繋がってて、私としては大変嬉しく思ってます。

「プロジェクト・ワン」とはどのような取り組みなのか。プロジェクトに携わる社員に聞いた。

(インタビュー:営業企画部 営業企画課長代理 中石 雅章さん)

中石 プロジェクトの目的としては、まずシステムを一本化したいなと考えています。それに伴って業務をなるべく1つにしていきたい。あと、会社で掲げている中期経営計画というのがありまして、社員力・経営力・現場力という3つの力があるんですけれど、この3つの力に貢献できるように、このプロジェクトは進めていこうと考えています。

こうした取り組みのほかにも、共英製鋼では様々な取り組みを行っている。

グループ会社の1つである関東スチールではこれまで、土日祝日や夜間に操業をしていたが、2018年に就業時間の見直しを行ったという。

(インタビュー:製造部 部長 林 剛史さん)

 日曜日と祝日をお休みにしまして、その分平日のお昼に操業するという形で変更いたしました。特に子育て世代の者も多くいるんですけれども、その者に関しては家族と休みの調整が取りやすいということで、とても好評になっています。まだまだ設備の安全化、自動化とか環境をもっと良くするとか、働き方を改善することについてはまだまだたくさんあると思いますので、そちらについては従業員もっとチャレンジしていきたいと思います。

これまで男性を中心とした職場であったが、近年は女性活躍推進の一環として、積極的に女性の現場社員の登用を進めているという。

(共英製鋼 山口事業所)
(インタビュー:メスキュード部 メスキュード課 小出 昌美さん)

ドーキンズ まだまだ女性が活躍するっていうイメージがなかなかないとは思うんですけれど、女性の活躍という点ではいかがですか。

小出 皆さんに配慮いただきながら、もちろん安全が大事ですので無理のないようにという言葉かけていただきながら、できるだけ男女関係なく大事な仕事を経験させていただいて勉強に励んでおります。

出演者情報

  • 廣冨 靖以
  • 1954年
  • 広島県

企業情報

  • 共英製鋼株式会社
  • 放送日 2019.09.30
  • 業種 
  • 鉱業・金属製品・鉄鋼
  • 所在地住所
  • 大阪市北区堂島浜一丁目4番16号
  • 資本金
  • 185億16百万円
  • 売上高
  • 2,423億円(平成31年3月期)
  • 従業員
  • 725名(平成31年3月31日現在)

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