モノづくりは「人類に欠かすことの出来ない創造的な営み」と唱える男のチャンレジ!
サンディスク株式会社
代表取締役社長
小池 淳義
コンパクトで大容量のデータを記録するメモリーカードの市場で世界的なシェアを誇るのがサンディスク株式会社。代表取締役社長の小池淳義は、日本の半導体産業にチップの生産スピードの向上という大きな改革をもたらした人物でもある。長年技術者として日本の半導体産業を支えてきた小池淳義の決断と選択に迫る。
蟹瀬これだけ思い入れを色々やってきたら、中々転職するということには勇気がいったと思うのですけれども。それを決めた最大の要素って何だったのでしょう?
小池そうですね。トレセンティは、5年間続いたのでございますけれども、その後日立製作所の子会社になりまして。
残念ながら一つの会社で工場を運営するというのは非常に難しい形でありまして、どんどん生産率を拡大してくということが難しい局面になってまいりました。
それで私自身としては、生産技術がどんどん拡小していく、伸びていく分野の方に自分の力を使いたいなと思っておりましたところ、丁度サンディスクの本社である、会長がやっておりますエリハラリ、それからサンジェという社長がトレセンティを見学に来たことがございまして。当時、サンディスクとしまして新たに東芝さんと一緒になりまして四日市に大きなNANDフラッシュ(フラッシュメモリの種類 安価で大容量化が可能)のメモリー工場を作っている。そこで、サンディスクの代表として活躍してくれないか?という話がございまして。
随分、悩んだのですが新たな生産技術、今度は少量多品種ではなくて単一品種で大量に作るという新たな技術革新にチャレンジしてみようという形で決断した次第でございます。
蟹瀬決断するまでに相当期間がかかったのですか?
小池かかりましたですね。やはり半年か1年程度悩みました。
蟹瀬そうですか。どの辺がやっぱり一番悩ましいところだったのですか?
小池そうですね。やっぱり私を育ててくれました日立製作所に対しての恩義がございまして。それでやっていきたいという形ではあったのですが、残念ながら新たな生産技術の活躍、私自身、個人的には見出すことが出来なかったので、新たなチャレンジをしてみたいということと、同時に日本の半導体の復活に向けてもう一つチャレンジするとなると、こういう手段しか無いんじゃないかという形で決断した次第でございます。
蟹瀬そして、実際に社長になられて行ったことというのは、どういうことをやられていたのですか?
小池そうですね。当時、日本のサンディスクのエンジニアの数は非常に少なくて、これを推進していくのが難しいと思いましたので、先ずエンジニアの数を増やす。非常に情熱を持っているエンジニアの数を増やしていくと……
蟹瀬人材を確保すると?
小池はい。第一でございまして、そして、最先端の技術でございますのでそれにチャレンジするエンジニアの育成と、モチベーションをいかに上げるかということに注力してまいりました。
蟹瀬これは、フラッシュメモリというのはこれからも可能性、まだまだ伸びていくという……。
小池そうでございますね。皆さんもよく携帯電話とかですね、デジタルカメラに使われておりますけれども。容量が2ギガ、4ギガ……。
小池64ギガというモノも出ておりますので。どんどん拡張されて、その容量が大きくなって高性能のモノに対応していくという形になっていくと思います。
蟹瀬それと、外資系の企業で働く上で役に立ったことがあるというお話を伺いましたけれども。
小池そうですね。トレセンティの時代なのでございますけれども、50歳を越えた時に一つチャレンジしてみようと思いましてですね。今までに無かったことで、技術、ご説明しました技術を一つまとめてみてですね。それをドクター論文にしてみようという形で博士課程を修了して、そのまま博士課程を授与することが出来たという形で東北大学からいただきました。
蟹瀬そうなると工学博士というのは、仕事の上でも相当信頼度が高まったということでしょうか?
小池そうですね。アメリカでいろいろと商売をしておりますと、やはりほとんどCEOはPHDであるという人が非常に多くて。いろんなビジネスをしていく上でも非常に役立ちまして、今まで会えない人にたくさん会えることが出来るというチャンスに恵まれました。
蟹瀬おっしゃる通り、学歴がちゃんと正当に評価されるということは、非常にアメリカやイギリスでもそうですけど嬉しいことですよね。
田丸お忙しい時に、こういうふうに論文、新しいことにチャレンジされるのは大変だったのではないですか?
小池そうでございますね。ちょうど獲ろうと思った時には、まだトレセンティの社長では無かったんですね。半年後に社長になってしまったもので、もう論文を書く時間と仕事を両立させるということが非常に苦労致しまして、連日徹夜で論文を書いていたのを思い出しますね。
メモリーカードの大容量化、低価格化が進む中、シェアを伸ばし続けるサンディスク。企業としての大きな強みとは?
小池会社全体の強みとしましては、製造から開発、そういったことを全て一貫しておこなっているという形でございます。ですから開発したモノ、それから設計したモノ、そして製造したモノ、最終的にお客さんに使っていただく最終製品にするところまで、一貫して提供できるのが一つの強みになっております。
蟹瀬一貫体制のメリットとはどのあたりにあるのですか?
小池やっぱりお客様のフィードバックを非常に受けやすいというところでございまして。それに対するフィードバックが早く取れるというメリットがございます。
蟹瀬今後、どうなのでしょうかね。これから力を入れていこうという分野というとどういうふうに……。
小池そうですね。やはり日本というのは、次々に新しいアプリケーションが生まれてくるんですね。
蟹瀬そうですね。
小池ですから、世界に先駆けていろんなモノが出てくるということで、非常に注力しておりましてこれに対する新製品。例えば、新しいスマートフォンでありますとか、新しいPC、それと中間の形態のモノとかですね。そういったモノにどんどん内臓していくという形で、我々も特化して拡大していきたいというふうに考えております。
蟹瀬一般的に使われているモノというとハードディスクになるわけですが、これももう次の段階に進歩しなければいけないということですかね?
小池そうでございますね。我々、SSDと呼んでいるのでございますが。Solid State Driveという形でハードディスクに代わって特徴を出していく形で進めております。
蟹瀬特徴というのはどのあたりなのですか?
小池スピードが速くて、機械的強度がある。ハードディスクの場合には、機械的に動かしているわけですから動く可動部分が無いという形で、まさに半導体を使っておりますので、そういう強度においては圧倒的な強みがございますので、それらの特徴を活かして代替を進めていきたいというふうに考えております。
田丸小池さんと言えば、今でもアメフトと関わりがあるのですよね?
小池そうですね。日立時代から作りましたハリケーンズというチームの、総監督をまだやっておりまして……。
蟹瀬怖そう。
田丸名前が、すごい名前ですね……。
小池思い入れがあるんでございますが。当時、社会人のチームで四部からスタート致しまして、30年かかりまして一部の、今Xリーグと呼ばれておりますがこちらで所属しております。
蟹瀬そうですか。
小池残念ながら昨年は、5位で終わってしまったのですが、やがては日本一を狙うライスボールの方に出てみたいというふうに考えております。
蟹瀬それも是非期待したいという気がしますけども。アメフトの場合は、いろんなモットーとかありますよね?お好きな言葉がおありだそうで。
小池そうでございますね。二つございまして。一つは、「Do your own job!」。要するにいろんなことをやって一生懸命働いていると、隣のやっている人の仕事が気になったりとかすることがあるんですが、そんなことじゃなくて自分の仕事を全うしなさいと。
蟹瀬なるほど。
小池そうするとチームとして、とてつもない力を発揮することが出来るという形でですね。これを我々のモットーとして現在やっているのでございますが。これが一つでございます。あとは、これは非常に厳しい言葉なのですが、私もビジネスでも非常に役立ったのですが、「Winning is not everything but the only thing.」という言葉ですね。
蟹瀬なかなか意味が深いですね。
小池いわゆる、良く試合に負けたりすると勝つことが全てじゃないよと、他にもあるんじゃないかと。そうじゃなくて、勝つことのみが全てなんだと。勝たないと何の意味も無いんだよと。厳しい言葉なのですが、そういうことをビジネスにおいてもフットボールにおいても、非常に学ぶことが出来たのではないかと思っております。
蟹瀬これまでいろいろご苦労もされてきたわけですけれども、今後の目標というとどのあたりになりますか?
小池そうですね。やはり私どもとしては、何度フラッシュに力を入れておりますので、これを考えますと、さらに日本市場を中心としてどんどん展開されるであろう新しいアプリケーションをいろいろ、これらの製品を適応して提供していきたいということを考えております。それと同時に、私がずっと培ってまいりました新しい生産技術ですね。これを大量生産で早く安く境地していくことが重要になっていくわけですが、これを引き続き、さらに新たなチャレンジをしていきたいというふうに思っております。
蟹瀬ウエハも300mmだけではダメだと。もっと大きくなるかもしれないですね。
小池次の時代は、いろいろ議論がございまして450mmになるんじゃないかということが今、議論されております。そういったことにも対応していかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
蟹瀬将来の夢というとどうなりますか?
小池そうですね。やはり、今までここまでやってこられたのは私個人ではなくて、非常に多くの人にやっぱり助けられてきたと思うんですね。ですから、それを実現するためには私個人だけではなくて、それに携わってくれた非常に多くの方、社員であり、そして多くの先輩、そしてフットボールの仲間、そういう人たちが私に関わった全ての人が幸せになれると。そういうことが私たちの大きな夢ですね。
田丸最後に、小池さんにとってモノづくりとは何でしょうか?
小池そうですね。人類にとって欠かすことの出来ない創造的な営みじゃないかという風に考えております。
蟹瀬そして、それは日本が得意とするところですからね。是非、頑張っていただきたいと思います。
田丸今回のゲストは、サンディスク株式会社の小池淳義社長でした。どうもありがとうございました。
蟹瀬ありがとうございました。
小池ありがとうございました。
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