生活の代弁者として提案するアイリスオーヤマのアイデアの源泉とは
アイリスオーヤマ株式会社
代表取締役社長
大山 健太郎
プラスチックがまだ新素材としてもてはやされていた頃、業界で初めて透明なプラスチック、ポリプロピレン樹脂を開発したのが、アイリスオーヤマ株式会社。メーカーベンダーという新しい業態を提唱した代表取締役社長 大山健太郎が語るものづくりとアイデアの源泉とはどのようなものか。グローバルな視点から語る。
蟹瀬ところで、メーカーベンダーという新しい業態というのも考えられていますよね?
大山はい。
蟹瀬これは先ほどちょっと触れられたような気もするのですけども、どういうやり方なのですか?
大山そうですね。当社は今までになかったニッチマーケットをメジャーなマーケットに変えていったわけですね。そのためにはやっぱり生活者のソリューションをいかに応えるかということで、アイデアはその生活者の代弁者としてどんどんユーザーインで出ましたので、品揃えどんどん増やしていくと。
そうなりますと、ホームセンターさんにとっては当社が主力の納入業社になっていると。ですが、ホームセンターっていうのは業種別に品揃えしているわけじゃないわけですから、園芸用品とってみればプラスチックもあれば木製品も要るよというようになってきたときに、われわれが、要するに小売りさんのニーズに応えてものづくりをしようということで、業態発想のものづくりをしていく。そうしないと、メーカーが直接、お客さまに商品をお届けすることができないということで、業態メーカーに変わっていったのですね。
蟹瀬でもその流れから考えると、今、品揃えが1万点以上あるわけですね?
大山はい。
蟹瀬自分のところでホームセンターつくってしまえばいいのではないですか?
大山いやいや、おかげさまで日本のホームセンターは、もうほとんどが当社のメインのお客さまですから、自分が自らつくらなくても当社の商品を競って買っていただけるお客さまがおられますのでね。
蟹瀬かえってそんなところで波風立てていかない?
大山はい。
蟹瀬だから外国だったらできるわけですよね?
大山そうですね。
蟹瀬中国でもうやってらっしゃるのでしょう?
大山ええ。中国の場合は、われわれは工場が中心ですけど、中国の西部の方から本当に中国に今までなかった園芸用品やペット用品、収納用品でしょう、「なぜ売らないのだ?」と、逆に政府からプレッシャーかけられまして、アンテナショップをつくったのです。おかげさまで日本よりも高い価格にならざるを得ないのですけど……。
蟹瀬それでも?
大山おかげさまで毎年既存店舗で2割、3割売り上げ伸びているのです。
蟹瀬ところで先ほどお話の中で、やっぱりニーズに沿ったというか新しい品物をどんどん先駆的につくっていく、だけどそのアイデアが必要ですね。そのアイデアっていうのはどこから出てくるのですかね?大山さんの場合は。
大山あのですね……。
蟹瀬さっき釣りのやつから出てきたというのがありますけども。
大山はい。当社はもちろん園芸もそうですけど、ペット用品も日本の、実はペットブームをつくった会社でございますし、ガーデニングブームもつくったわけでございますが、結局、先ほどは競合の品質をキャッチアップしてどうこうじゃなくて、自分が園芸をやり、自分がペットを飼ってみたときに、こんなもの欲しいなと、ここが不便だなと、そういうことを生活者の代弁者としてどんどん提案すればいい。
蟹瀬自分が欲しいものと、簡単に言えば?
大山そうなんです。ただし自分というのにあまりこだわってはいけない、自分があくまでも、さっき言った生活者の代弁者というそういう志を持って、生活の中の不満、不足、不便というものを一つ一つ見直せば、で、われわれ売っている商品というのはほとんどがセルフストアで売っていますね?
蟹瀬はい。
大山だからあまり販促するわけではない、ですけどそのソリューションはお客さんが持っている、すると店で見たら「あ!こんなもの欲しかったんだわ」ということで、どんどん買っていただくと。
蟹瀬これからの展開なのですけれども、やはり相当グローバルなところはご覧になっていますね?
大山はい。
蟹瀬どういう方向になるのでしょうか?
大山そうですね。残念ながら国内、少子化、高齢化という形の中で、ホームセンター業界も今オーバーストアで成熟化してございます。もちろんその中で、われわれまたいろんな新しい提案をしていきますけれども、やはり今われわれ中国というのは世界の工場という目線で物事を考えていきましたけど、ここ1、2年、実は中国は世界の大きなマーケットと……。
蟹瀬消費マーケットであるということですね。
大山はい。に、今、転換していっていますね。で、そういう点では、ちょうどわれわれが中国よりも20年、30年、経済発展では先行しています。そういう意味で、日本で培ってきたそういうようなアイデア、ノウハウを、どんどん中国に移転をしていきたいなと、そういう考えを持っていますね。
蟹瀬そうすると、メインはやっぱり中国という感じなのですか? インドとか他にもありますけれども。
大山そうですね。BRICs(ブリックス)という形でいえば、もちろん中国ですが、当社は日本の生活のソリューションの中から出てきた商品を、実はアメリカ、ヨーロッパに商品を移転しております。ですからわれわれの考えというのは、日本人の生活スタイルを欧米に移転をするというのが一つの大きな役割でございます。
蟹瀬じゃあ必ずしも開発途上国ということだけではないということですか?
大山はい。特にアメニティというのは、まだお腹の空いていると駄目なのですね。少しお腹が膨れて(笑)少し快適な……。
蟹瀬余裕がでてきたほうが?
大山そうそう、生活をしたい国を中心にということでございますね。
蟹瀬なるほど。頑張ってください。ありがとうございました。
大山ありがとうございました。
津島ありがとうございました。以上、今週のゲストは、大山健太郎社長でした。
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