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「世界一のランで四国89番目の巡礼地をつくりたい」と、四国に〝ランの癒し空間〟を造っている人がいる。
洋蘭シンビジウムの品種改良と種苗生産で世界一のシェアを誇る「河野(かわの)メリクロン」社長の河野 通郎(みちお)さん(64)である。
河野➖➖初めてランと出合ったのは高校生の時でした。以来40年以上、ラン一筋に生きてまいりました。私が生まれ育った徳島県美馬市をランで彩り、世界中の人々が訪れて幸せを感じる町にしたい。美馬市は〝四国のまほろば〟ですから。
河野さんは1965年、洋蘭シンビジウムの栽培に着手し、77年に「河野メリクロン」を設立した。
以来、シンビジウム種苗の大量生産に取り組み、500種類以上の新品種を開発するとともに、世界一の生産規模を確立し、国内外で数え切れないほど多くの賞を受賞した。
皇室との関わりも深く、河野メリクロンの品種の中には「プリンセスまさこ」や「愛子さま」という名のランもある。
河野さんが美馬市を〝ランの癒し空間〟にしようと思い始めたのは約20年前。
本社の隣にランをテーマにした観光施設「あんみつ館」をオープンしたことがきっかけだった。
当初は、本社を訪れる人を案内するショールームのつもりだったが、次第に一般の観光客が訪れるようになり、いつのまにか県内でも有数の〝観光名所〟になってしまった。
河野➖➖最初はこれが産業観光か、と思っていましたが、そのうち、どうせ観光客を呼ぶなら、四国89番目の巡礼場所にしたらと思うようになりました。
巡礼を終えたお遍路さんに、89番目に美馬市を訪れてもらい、ランで疲れを癒してもらおうと思い立ったのだ。
そして一昨年11月には、本社社屋の1階に「蘭夢美術館」をオープンした。
「あんみつ館」とは目と鼻の距離で、観光客は周遊できる。
一方、観光客へのお土産づくりも本格化した。
ランのワインや麺、化粧品のほか、数年前にはランに育毛成分があることを発見し、「ランの育毛剤」の販売にも乗り出した。
河野さんには、昨今の不況のかげりなど少しも見えない。
河野➖➖私は『お疲れさま』という言葉が嫌いで、『お元気さま』と挨拶します。常に前を向いて歩き続けていくことが人生であり、人生とは魂の移行を楽しむものと思っています。
そこで、不況にあえぐ経営者へ一言アドバイスを願った。
河野➖➖いつと比べて、いまが大変な時代と考えるか、だと思います。大昔や終戦直後に比べたら今はとても恵まれています。それが答えです。
四国巡礼に「89カ所目」として、〝美馬市のラン〟が加えられる日はそう遠くないかもしれない。
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- 公開日 2011.09.30
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