日本人の心で経営する海外拠点が順調に推移。ものづくりで培ったノウハウを新事業にも生かす。
株式会社ティラド
代表取締役会長(CEO)
嘉納 裕躬
放送15周年の特別インタビューとして、これまでに「賢者の選択」にご出演いただいた方々に、時代や環境変化への対応や展望についてお話しを伺いました。
(株式会社ティラド 代表取締役会長(CEO) 嘉納 裕躬:賢者の選択ご出演 2011年10月放送)
「熱交換技術」のパイオニアとして国内外の自動車メーカー、建設機械メーカー、産業機器メーカーなどに独立系企業として熱交換器を提供する株式会社ティラド。
放送当時までに日本、北米、ヨーロッパ、中国世界5極体制を構築。2011年当時の環境対応商品は売上ベースで14〜15%。これを2020年までには50%にしていきたいと話していた。
「その通りに進んでいます。2017年度は環境対応商品が41.3%を占めています。放送当時は電動化の走りで、ハイブリッド車が登場し、熱交換器やラジエーターは今後どうなっていくのだろうかと心配もあったのですが、やはり熱があるところには熱交換器が必要になります。電動化向け商品をその頃から進め、これが実っています。電動化、環境対応商品としてはEGRクーラーが当時から比べると4倍以上の売上です。オイルクーラーが2倍、インタークーラーが1.6倍というように順調です。もう一つは燃料電池用の熱交換器にもチャレンジしています」
期待を込めて目標に掲げた通りの伸びを達成していることについては、どう捉えているのだろうか。
「電動化のスピードがもう少し早まるのでは無いかと見ていましたが、想定の範囲内です。一方で家庭設置型燃料電池用は思ったよりも動きが遅く、これは値段が高いのがネックになっているかと思います」
事業の拡大に伴い、海外の売上も増えているという。放送当時は、海外の売上比率が約30%だったが、2016年度にほぼ半々、2017年度には海外が57%と逆転した。
「海外も順調に計画通り進んでいます。インドネシアの売上が4倍、アメリカが3倍、タイや中国が2倍です。ここにきてロシアも増えてきています。海外拠点も増やしました。2012年にはベトナム工場を作り2輪の水冷化に対応しました。中国には建設機械向けの工場を設立しました。どちらも現在までに既に黒字転換しています」
海外拠点を増やしていくことにより、スムーズな進出と、現地に根付くためのノウハウも蓄積されている。
「やはり海外でも日本人の心で経営するのが一番だと思います。従業員と同じ目線で経営者が接することが基本です」
国内に目を向けると、今後は生産する製品の再編成を念頭に検討しているという。
「国内には3工場ありますが、環境貢献商品や、新しいラジエーターができて商品群が変わってきています。どこで何を作るか再編成を考えています。長期にわたって、同じところで同じものを作っていると、バランスが崩れていきます。これをいかにバランスよく、効率よく作るかが課題です。国内の工場にはIoT技術を導入して、最先端の設備を整備していきたいと考えています」
同社の基本はものづくりあり、人間のスキルアップに注力し、それを設備やロボットに生かしてゆく。人間ができないことは、ロボットに置き換えられないと語る。
「当社の基本は、やはりものづくりです。今後はさらに環境貢献商品、電動化に対応していく考えです」
同社の特徴はバランスのよさ。株主構成、お客様、業種、ひとつに集中せずにいろいろな分野の製品を手がける方針は変わらない。今年は、新たな事業分野にも進出した。
「4月に株式会社ティラドコネクトというIoTやAIを活用したクラウド型アプリケーション関連の合弁会社を設立しました。効率アップ、働き方改革、IoTを進めていきます。サービスとものづくりのノウハウを合体させ、まずは当社の中で展開し、いずれは中小企業などものづくり企業に外販しようという考えです。これは必ず実現させようと思っています」
主業である熱交換器分野にもさらに変革は訪れる。
「当社の基本は熱交換器であり、熱交換器を通して事業を広げていく考えです。しかし、ただラジエーターを売るだけではありません。自動車メーカーもソフト面でシェアリングやAI、コネクティングなどを進めています。当社もそのサークルのひとつとして事業を展開していかなければなりません。サービス面はまだまだ伸びると考えています」
同社は時代の変化をしっかりと見ながら、確かな視点で将来を見通している。その先見性を信じ、未来へと成長を続けていく。
「今後も基本的な方向性は変わりません。企業のプロダクティビティを上げていく仕組みを広げていくことです。もう一つはインターネットなどを利用して情報スピードを上げてゆくことです。以前はプロダクトを作って、製品として使ってもらおうという動きしかありませんでしたが、今後は当社なりの情報の使い方を、世の中に提供してゆきたいと考えています。」
コミュニケーションは人にとってなくてはならないもの。離れているからこそ、その重要度は増す。同社への期待は大きく広がっていく。
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