



高市早苗首相率いる自民党政権が、最近の衆院選で圧勝し、野党の中道改革連合を惨敗に追い込んだのは、本当に驚きだった。無党派の若年層を中心に、内閣支持率の高さがあったとはいえ、強引ともいえる解散総選挙の手法に対し、有権者の間では、豪雪地を中心に強い反発を招いたためだ。そうした中での自民党圧勝は間違いなくサプライズだ。
高市首相は、2025年10月に初の女性首相として就任した当初、言動に気負いが目立った。その当時の日本経済は、かつての長期デフレからインフレに局面が大きく変わりつつあるのに、依然として、デフレ脱却宣言を行うことが出来ていなかった。そればかりか、経済低迷リスクを払しょくできないままでいた。それだけに、かじ取りにかかる重圧から見て、高市首相で大丈夫なのだろうか、と不安視する見方が多かったのは確かだ。
しかし、5か月近くたった今、政権運営も安定化し始め、衆議院における「数の力」を背景に、長期政権化する可能性も出てきた。多くの専門家の分析どおり、今回の自民党圧勝は、「高市人気」がもたらした部分が強い。その分、高市首相自身の政治リーダーとしての責任の重さが、格段に高まった。しかし今後は、高市首相が「数の力」を武器に、強引な国会運営に走らないようにメディアを含め国民・有権者の政治監視が重要になる。
その高市首相にとって課題は山積だが、焦点は「責任ある積極財政」部分だ。政府が率先して成長期待の17の戦略分野に財政面で積極投資を行い、民間の活力を誘発して力強い経済をめざす、という。しかし財政支出の打ち出し方次第では、政策課題の物価高に歯止めがかからないばかりか、逆にインフレ高進リスクが生じかねない。とくに、円安で原油などの輸入価格が値上がりし、国内物価押し上げのリスクも生じている。高市首相が積極財政の一方で、物価高対策にどう責任対応するのか不透明だ。リーダーの指導力が問われる。
そこで思い出すのは、同じ女性の政治リーダーとして1979年から11年もの長期間、英国首相を務めたマーガレット・サッチャー氏の存在だ。在任中、電力やガスの事業民営化など構造改革に取り組み、苦境下の英国経済立ち直りを図った。南米の英国自治領フォークランド諸島へのアルゼンチン侵攻には軍事力で対抗して勝利をおさめる大胆さも見せた。
高市首相は、そのサッチャー氏を尊敬し、女性の本格政治リーダーになるべく「日本のサッチャー」をひそかにめざしている、という。しかし、スケールの大きさや政治家としてのタフな経験量の多さから見れば、現在の高市首相は、まだサッチャー氏の足元に及ばない。
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