「健康」と「健善」を創造する事業を通し、人々の真の幸せを追求しつづける

「モノ」から「コト」へ、ゴルフ発の価値づくり
ゴルフを基点にしてすべての人々に新しい楽しみ方を創出していく

2009年にすべてのゴルファーがGPSナビを使用する未来を思い描いてスタートした「EAGLE VISION」シリーズ。10年が経過して、その未来は今もなお進化し続けている。

「『EAGLE VISION』はピンまでの残り距離がわかるだけではなく、ベタピンナビ機能を使えばショット地点とピンを結んだライン上のエッジまでの距離も把握できます。ゴルフは考える時間が大半を占めるスポーツなので、『EAGLE VISION』の機能を活用することで、より戦略的にゴルフを楽しむことができます。2016年からは『EAGLE VISION』のノウハウを最大限活用したゴルフ場のカート運行管理システム『ezカート』をスタートさせており、スコア管理やカートの運行管理に役立ててもらっています。スマホでも閲覧可能なリーダーズボードはプレイ中にリアルタイム表示される順位を見てライバル心を燃やしたり、昼食中にも途中経過を見ながら仲間と会話を楽しむことを可能にしました。これによって同じ組のメンバーだけでなく、コンペの参加者全員で楽しめるようになりました。新しいゴルフの楽しみ方を提案できたと自負していますが、次の10年もまだまだゴルフの新しい楽しみ方を創造し続けていきます」

2019年のゴルフのルール改正をきっかけに、距離計測器は一般化したと言っても過言ではないだろう。今や14本のクラブの次はどの距離計測器を使用するかを考える時代になった。しかし、このコロナ禍で同社にも影響があったのではないだろうか。

「3月~5月は厳しかったですが、幸いなことに、緊急事態宣言解除後の戻りが大きく、むしろ伸びている状況です。ゴルフが『密』を避けるスポーツとして認知されているので、一説にはゴルフ人口が17万人増えたとも言われています。特に郊外の練習場には若い世代の人が増え、ゴルフ場から企業客は減ったものの個人客が増えていると聞いています。移動が制限され『密』を避けることから、旅行や外食が厳しい折、健康とストレス解消から打ちっぱなしが好評なのでしょう」

「健康」と「健善」を創造する遊び創造業としての理念を堅持し
ゴルフの深みへ、より新しい生活スタイルの確立を目指し、形にしていく

「ゴルフは健康でなければできませんし、他者を重んじた気持ちの良い対応も求められます。私たちの仕事は、そのような健康と健善をゴルフの事業を通して発信し、創造していくこと。平たく言うと『遊び創造業』です。そもそもゴルフというのは、数百メートル先にある小さな穴に、小さなボールを入れるという至極シンプルなスポーツ。不可能にも思えるたった数回でのカップインを目指して、いろんなことを考えてプレイするところに、ゴルフの面白味と奥深さがあります。私たちの使命は、そこにさらなる“遊び心”を加え、そのゴルフを基点として新しい楽しみ方を創出することです。ゴルフを基点にして何を発信していけるのか。そして、より新しいスタイルの確立に向けて何ができるのかが問われています。データを活用することで会話が増えたり、ゴルフが上手い人と自分を比べるのではなく、自分と近いスコアの人同士で競い合って楽しんでもらいたいのです」

70歳を超えたご高齢の方でも元気にゴルフコースを歩いている姿が印象的だという。ここにゴルフを基点とした健康の秘訣があるのではないだろうか。

「私は、ゴルフはスコアを考えて真剣にプレイするスポーツだと考えていますが、スコアだけではなく、同伴競技者と『楽しく、面白く』遊び心を持つことが大事で、それこそがゴルフの面白さだと思います。いつまでも楽しくプレイするためには何より健康が基盤であり、特に正しい姿勢で歩くことが大切であると考え、2016年にはヘルス・ケア業界に参入して様々な健康グッズの開発をスタートしました。この事業にはゴルフに縁遠い人にも、当社のプロダクトを通じていつまでも元気に歩いて欲しいという願いを込めています。私たちはこれからも世の中の変化に柔軟に対応しながら、新しいライフスタイルを創造し続けて参ります」

コロナ後の社会にとって、ゴルフが一つのスポーツから誰もが慣れ親しむ「文化」として、多くの人が認知し共有する日もそれほど遠くないだろう。楽しく、面白く、そして真剣に取り組む同社の「健康」「健善」創造業としてのポテンシャルは高い。ますますゴルフを通した社会創造に寄与することは間違いない。

あらゆる企業のサービスに銀行機能「NEOBANK」をインストールする

様変わりした金融業界
競争激化の中、過去最高益を記録し、高成長を維持する

2007年の開業以来、時代の先をゆくネット銀行として躍進を続けている。人口減少に伴い、少子高齢化が進む中、銀行を取り巻く環境も年々厳しくなっている。ところが、同行は今上期において過去最高益を記録し高成長を維持。さらなる進化を続けている。

2016年、日銀のマイナス金利政策が導入され、金融業界は様変わりしたという。

「ここ数年でマイナス金利が定着してしまった。銀行アセットビジネスでの収益がほとんど見えなくなったことが業界の大きな変化です。少子高齢化も一層進み、国内銀行、中でも地方はより厳しくなり、多くの地銀やメガバンクは、子会社や関連会社、運用など別の手段で収益を上げています。金利競争も進む厳しい環境の中でも、当社は引き続き収益を上げながら成長を維持しています。」

同行が扱う業界屈指の低金利と全疾病特約付きの住宅ローンの取扱額も右肩上がりに成長しているという。

「当社のコア事業は変わりません。住宅ローンの年間実行額は2014年と比べると倍以上になりました。すでにほぼメガバンクと同じ規模に成長しており、今後日本最大の住宅ローンを提供する金融機関になるでしょう」

同業他社の住宅ローン事業への参入による金利競争激化にもかかわらず、なぜ高成長が維持できているのだろうか。

「ここ数年取り組んできたことは、代理店による店舗展開です。また、『フラット35』という、いわゆるアセットを使わない手数料ビジネスの住宅ローンビジネスに参入したこと。これによって大きく成長をしています。結局、お客様はどんなに良い商品であっても、住宅ローンを選ぶ時にはネットだけを見て選ぶわけではありません。商品だけの勝負ではなく、総合力です。ネットを使いながら、よりお客様の近いところに店舗を出店していき、お客様や不動産事業者が使いやすいインフラを作っていく。そのことによって、スピード感や利便性、手厚いサービスなど、総合的に強化し、その結果として勝ち残っています。」

真のデジタルバンクへ、チャレンジャーバンクからの進化
世の中になくてはならないインフラを提供する銀行を目指す

「我々は最先端のテクノロジーを導入することによって真のデジタルバンクに進化することを目指してきました。経営理念のひとつでもあるのですが、「金融業における近未来領域の開拓」と、「革新的な事業モデルの追求」に日々努めています。日本初、世界初のサービスの提供にもこだわり、邦銀で初めてAPIの開放を実現し、同じく邦銀で初めて完全AIの審査モデルを構築しました。昨年4月には「ネットムーブ」というFinTechベンチャーを買収。セキュリティ技術を使って当社の新たな認証を開発したほか、セキュリティ関連のサービスを他の銀行にも提供しています。日本で最先端のテクノロジーを有している金融機関だと自負していますので、優れた先端的なテクノロジーを有したバンキング機能をサブスクリプションモデルで外部の事業会社や銀行に提供し、その手数料収益でビジネスを発展させることも考えています。他の銀行ではなく、アマゾンやグーグルやマイクロソフトやセールスフォースなどを目標に、進化する銀行を目指してビジネスモデルをシフトしようとしています。」

すでに同社は日本航空と提携し、「NEOBANK」の提供を始めているほか、CCCマーケティング(Tポイント)、ヤマダホールディングスと次々に業務提携を発表し「NEOBANK」の提供準備を始めている。
(※「NEOBANK」とは同社の持つ決済や預金、貸出などの銀行機能を提供し、提携企業の事業に銀行機能を付与するサービス。)

「続々とそれぞれの業界でナンバーワンと言われているような企業と組んで、それぞれの事業会社が銀行業を簡単に行えるようなインフラを提供することを積極的に推進しています。6年程前、オープンAPIやAIやクラウドやモバイルやブロックチェーンといったテクノロジーの進化によって、まさに銀行業の解体、アンバンドリングが進むだろうと予測しました。そして、それをリバンドリング、統合するのはそれぞれの事業会社だろうと。要は、よりお客様に近い事業会社が銀行サービスを提供する時代が来ると我々は確信し、そこに集中的に投資してきました。そしてようやく「NEOBANK」というビジネスモデルを世の中に広める時代がきました」

お客様がロイヤリティを感じている企業がそのサービスや商品に付随して金融サービスを提供するべきで、銀行はあくまで黒子。そしてお客様がストレス無く金融サービスを受けられるような世の中を作りたいという。

「これからは、銀行の機能を分解し、バンキング型サービスとして様々な企業の取引やサービスの中にビルトインしていくことが起こります。2020年11月、あらためて当社のウェブサイト内に「NEOBANK」のブランドサイトを作り『銀行をインストールする』『世界をアップデートする』というメッセージを明確に発信しました。銀行機能を様々なサービスや商品にインストールし、溶け込ませていき、新しい価値を生み出していく。このことを我々は目指していきたいと思います」

コロナ禍の影響もあり、銀行の実店舗も積極的な営業行為を自粛していることから、非対面のインターネットバンキングを利用する目的で、同社の口座開設件数も伸びているそうだ。しかし、元々ネット銀行でスタートした同社にとっては、世の中がようやく同社に追いついてきたという感覚だという。今後、さらにデジタル化が進み、新たに同社と提携する事業会社が増えていくことは間違いない。そして、日本中の多くの人が、他にどこにもない同社の画期的なバンキング型新サービスを体感することになるだろう。

アパレル業界の営業マンから一念発起。衛生管理会社を立ち上げた社長がさらに目指すもの。

事業規模の拡大よりも付加価値の向上が大事
社員の技術サービス向上がお客様の満足度を高める

 ネズミ駆除・害虫獣駆除等、衛生管理事業を行なうGP コーポレーション。創業20 年で17000 件以上のネズミ駆除の実績を誇る。駆除業界の常識を覆す「ラットパトロール」のネズミゼロ工法で完全駆除宣言。その信頼と実績には「付加価値の向上」があった。2009 年当時と比べ、売り上げは2 倍強。毎月1500~1600 件、お客様の元へ訪問し、衛生管理業務を行なう。客数も当時と比較すると1.5 倍から2 倍増だという。

「ただ、いたずらにお客様の数を増やすことはしていない。エリアも現在の関東と関西の2地域に限っている。それは数をこなすより質を高めていきたいという思いがあるから。売り上げも当時より2 倍強になっているが、事業規模拡大路線の戦略は取っていない。付加価値をもっと高めていき、サービスの質向上、お客様の満足度を高めていく方針が結果としてお客様がお客様を呼び、顧客増に繋がった」

しかし、業界全体を取り巻く環境は決して楽観できないという。特に現在のコロナ禍において、大手チェーン店系列に依存しているところは大ダメージを受けているという。にも関わらず、同社の売り上げは堅調。その秘密は?

「我々はどこまでも自己研鑽を積み重ね、付加価値を高めてきた結果、個々のお客様からの信頼を勝ち得ているのではないかと思う。個々にお客様の状況も違うので、それぞれに応じてお客様の満足度の高いサービスや技術の提供ができているという強みもあるのではないか。その意味で、一つひとつお客様との結びつきを大切に、あえて言うなら、茨の道を進むことに意義がある」

社是「約束を守る」を堅持しつつ、
技術サービスのさらなる改善を推し進め、お客様満足度業界トップを目指す

 “付加価値の高い技術サービスを提供し、お客様に満足していただき、その対価を頂く。それを社員に還元していく”というサイクルによって、業界で一番給与待遇の良い会社を目指すという。

「弊社の強みは『人』であると自信を持って言える。社員教育も含め、質の向上を追求し、より付加価値を高めることが結果的に利益を生む。もちろん、システムの効率化のために技術革新も進め、マンパワーだけに依存せずAI も今後活用していきながら、ビジュアル化を推進する事によって、より分かりやすく、そしてお客様に愛される会社へと進化し続けたい」

同社の強みは「人」であると同時に、社長自ら率先して実践する行動力にある。過去放送当時、社長自ら週に一回行なっていた社内掃除や道路掃除などの清掃業務。現在も継続しているという。

「毎朝、本部社員は各自が決められた場所を清掃することになっており、現場の社員であれば車の清掃・道具の清掃を行なう。社員全員がそれぞれの役割分担の中で目標を決め、確認し、改善しながら、全体として前進していく。いわゆるPDCA サイクルを常に意識し実践する。そして大事なことは継続し続けること。日頃から自己研鑽に努め、付加価値を高めていくことがお客様にとってなくてはならない存在になり得る」

前回の放送当時はリーマンショック後の厳しい時期だったという。今年も多くの業界でコロナ禍の影響が心配される中、売り上げを伸ばしているというGP コーポレーションのポテンシャルはどこにあるのか。

「前回もリーマンショックがあり、非常に厳しい時期だった。また2011 年には東日本大震災があった。今年はコロナという社会の危機的状況。我々が乗り越えてきたのは、そのこと自体を常に想定しているかどうか。もちろん、様々なコロナ対策は講じているが、だからといって経営方針がコロナによって特別変わることはない。何も起こらない平時にどれだけ自分を磨いて準備ができているかということ」

二極化する衛生管理業界において、企業の規模拡大を目指すのではなく、お客様満足度ナンバーワン企業を目指す。

「お客様に対しては感謝しかない。社員に対しても同じで、20 年前には存在していなかった私一人で始めた会社。弊社を通じて全てにご縁があり、このように日本一を目指すと言えるのも、お客様がいて、社員がいるからこそ言える。感謝しかない」

業界一満足度の高い会社を目指す同社の、人材育成から技術開発、システムの効率化など、付加価値を高め、質の向上に日進月歩努めるその姿は、業界全体にとっても素晴らしい指針となるのではないだろうか。

医療大国ドイツで培った創業100年の伝統と信頼。高齢化社会のルーペ需要拡大とニーズへ対応。

ロービジョン向け商材の出荷数増
昨年リリースしたヴィゾルクスデジタルXL FHDが好調

 医療先進国ドイツ・ニュルンベルクで1913年創業以来、ビジョンサポートのリーディングカンパニーとして信頼を得てきたエッシェンバッハ社。1999年4月に日本法人設立。以来、ルーペの専門メーカーとしての技術力と洗練されたデザイン性が多くの顧客に愛されている。

2019年1月に発売された、タッチパネルで操作が可能な拡大読書器「ヴィゾルクスデジタルXL FHD」の出荷数が増加。今年(10月段階)は去年よりさらに2割増の売り上げだという。

「前回の放送以降、私自身が眼科医療関係者・従事者の方々との接点を多く持つように努めてきた。今年はコロナの影響もあり、学会や展示会の中止で直接会う機会はないが、去年(2019年)は営業部門も含め、多くの機会を持つことができ、弊社商品を説明し、広く認知していただいた」

様々な交流を通して手応えを感じつつ、さらに一般向けに認知してもらう必要性を感じたという。

「ご家族や身の回りの人が視覚障害を患っていたり、障害の当事者であれば、弊社に直接お問い合わせがあるケースもある。ただ、そもそも健常者自身の認識があまりなく、一般的にルーペを使うことでより読みやすくなることやロービジョン自体の認知度がそれほど高くないのが現実だ。しかし、加齢によってロービジョンや視覚障害になってしまうケースは増加する。特に日本では緑内障が原因で失明やロービジョンになってしまうケースが多くあり、白内障に至っては80歳を超えるとほぼ100%の方が発症すると言われている。誰もが患ってしまう可能性があり、明日は我が身だ。将来の備えとして、弊社相談窓口の設置や情報提供の場が必要だと強く感じている。今後も継続して様々な場で情報提供を行なっていきたい」

べき論に拘らず、柔軟に対応できる組織づくりへ
ミッションステートメントを大事に、そして社員の自主性を尊重、さらに販路拡大へ

 コロナ禍の影響で小売りの出荷数が昨年比で45%に減少。緊急事態宣言解除後、徐々に回復するも、10月までの年間ベースで約80%を推移する現状。では、EC通販はいかに。

「弊社独自のBtoC(ECサイト)は持っておらず、取引先を通じてAmazon、ヤフー、楽天で販売している形がほとんどで、全体の売上の2割程度。ルーペという商品の性質上、実際に触れて購入される方が多く、また多くのご高齢者にとってはEC通販よりもやはり小売店で試したり印刷物の通販で情報を仕入れたり購入したりすることが日常にフィットしているのだろう。そこで新しい取り組みとしてDMハガキを作成し、直接ユーザーにアクセスした。現在のところ順調である」

また、コロナによって気付かされることも多いという。社内にも変革が。時短労働や営業部門のテレワーク化。労働環境の効率化や改善には相互の信頼関係の構築が必要だという。

「コロナ以前から、本社のドイツやアメリカと日本での働き方の違いを感じていたので、2年前から営業部門の働き方改革を本社に提言していた。コロナを機に組織を進化させていきたい。今後、ますます専門メーカーとして自分たちの存在意義が問われる社会になっていく。やりたいことをやっていく組織づくり、気付いたことをどんどんやっていく組織文化にしていきたい」

ミッションステートメントは大事にしつつ、社員の自主性を尊重することで、組織や社会に貢献したいという。

「変わるべきところは変わり、変わるべきではないところはそのままに。こうあるべきという拘りを持つことも必要だが、それだけではこれからの時代には対応していけない。べき論に拘らず柔軟に対応しつつ、しかし、堅持していきたいミッションステートメントはさらに磨いていく。社員の自主性を尊重し、各部署が柔軟に連携していくことで、私たちがユーザーのお客様のお役に立てるという自負を持って、様々なご要望やご相談に対応していきたい。また、小売りや卸など各業界のマーケットで得た経験を活かし、皆様に満足していただけるクオリティとサービスを提供できると確信している」

現在、眼鏡店、文具店や雑貨店、通販(ECと紙媒体)、産業系(検品等)の4つが主力の販路を、今後さらに拡大していきたいという。介護分野やホテルなどの観光分野にも意欲的に注力していき、販路拡大をしていく方向だ。

自社ブランドとOEM製品に新たな付加価値を創造し、新しい「ものづくり」企業を目指す

自社ブランド確立でモチベーションがアップ
何を、誰に、どう売っていくのかを追求

 裁断から仕上げまで一貫した生産ラインを備え、60年以上にわたるアパレル製造の実績を積み重ねてきた丸和繊維工業株式会社。取引先が望むデザインに対する確かな再現性や、豊富な経験と開発力で培った独自の企画力を生かしたOEM事業を展開してきた。一方で、自社の優れた技術力を盛り込んだオリジナルブランドを立ち上げ、その確立にも注力している。

自社ブランドを推し進めることにより、社内のすべてのラインにおいて自己決定権と責任が生じるのだという。

「消費者と工場(縫製オペレーター)との距離が縮まったことは大きな変化です。エンドユーザーのお客様の声が、直接届くことによって、作り手としてのモチベーションが上がり、それが技術の向上や独自の技術開発にも繋がり、商品に付加価値が生まれるのです。さらに、付加価値の向上は、工場加工単価や工場従業員の待遇改善にも繋がり、お客様の喜びの声を社内共有することで、より一層モチベーションが高くなるのです」

同社では事業の成長を通じて、あらゆる面で順調に伸びていることを実感しているという。

「突き詰めて考えていくと、『何を売っていくのか』『誰に売っていくのか』『どうやって売っていくのか』の3点に収斂されてきました。これまでの大手アパレル頼りの下請け構造から、量から質への高付加価値による好循環の体質改善を図ることができ、『ものづくり』と『販売』が一体となり、お客様との距離がより近い、直接販売の構造へと変化したのです」

意欲的な事業への取り組みは、OEM事業にも変革をもたらした。

「従来のように利幅の少ない大量生産型のスタイルでは、自社生産工場を圧迫するという悪循環に陥ってしまうと、10年以上前から危機感を抱いていました。大量生産は単一ラインを回す効率的なメリットがある一方で、海外との価格競争に陥ってしまい、未来が見通せないのです」

OEM製品にも新たな付加価値を追求することで、同社ならではの製品が生まれるのだという。

「車いす生活を余儀なくされた障害者の方に向けた疲れにくいGパンの開発や、当社の特許技術『動体縫製+動体裁断』を生かした無縫製セーターの商品開発など、新たな角度からの付加価値へのチャレンジが、お客様からの高評価をいただいています。なかでも、筋ジストロフィーを患った方との出会いから、約2年の商品開発を経て完成した商品は、パラアスリート大会参加の障害者の方々にも『動きやすい、擦れにくい、ありがとう』など、感謝の言葉をいただきました」

この取り組みを通じて、洋服には人を元気にし、幸せにする力があることに気づき、さらなるモチベーションの向上につながったという。

新しい「ものづくり」企業の時代が到来
ひと針から笑顔のあふれる社会を築く

アパレルを取り巻く業界の今後を推測すると、右肩上がりの明るい基調とは考えにくい。

「数字だけを見れば、アパレル業界は厳しいと言われていますが、必ずしも暗い未来ばかりではありません。これからは国内に限らず、海外ブランドとのコラボレーションも視野に、デジタル社会や持続可能社会に必要とされるより付加価値の高い『ものづくり』が求められます。これを追求していく新しい『ものづくり』企業の時代が必ず来ると確信しています」

同社はますます多様化するニーズに応えて、未来を正しく捉えた新時代への事業方針を打ち出している。

「今後はシェアリングエコノミーの対極であるパーソナライズニーズの増加や、地産地消も加速していきます。デジタル化によって多様化した販売方法など、より付加価値の高いものへのニーズが高まると考えています。そのためには小ロットでも対応できる設備投資が大切です。また、付加価値追求型へ転換するため、4年前には中国から工場を撤退し、社員一丸となって商品開発、高付加価値生産体制の構築に努めています。これは今後のSDGs社会にも繋がっていくでしょう」

時代や社会が大きく変容しても、同社の掲げ続ける理念に変化はない。「ひと針ひと針の繋がりを大切にして、商品を通じてお客様に喜んでいただける誇りと笑顔のあふれる社会を築いていきたい」この思いのもとで、消費者や取引先、社員と共に夢と希望に満ちた新しい未来を築き、今後も笑顔の連鎖を追求していく方針だ。