衰退日本を危惧する海外諸国に新・成熟社会モデルを


時代刺激人 Vol. 315

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

プラチナ社会構想を新・成熟社会のモデルに

その点で、私がかかわるプロジェクトで、ぜひアピールしたい新・成熟社会モデルがある。東大元総長で現在、シンクタンクの三菱総研理事長の小宮山宏さんが主宰するプラチナ構想ネットワークで打ち上げているプラチナ社会づくり構想だ。

小宮山さんによれば、20世紀の人類は物質的な豊かさと健康長寿をめざしてひた走ってきたが、今、物質文明の行き詰まりや高齢化社会のさまざまな課題に直面している。21世紀は、豊かさに関して量ではなく質を求めるべき時期に来ている。「量的に充足した市民が求める質の高い社会」として「プラチナ社会」を目指す必要がある。「プラチナ」にはエコ(グリーン)、健康(シルバー)、IT(スカーレット)など、さまざまな輝きを持ったワンランク上の暮らしの意味を込めている、という。

若い中核世代と共生し新制度設計行うこと重要

プラチナ構想ネットワークでは「資源やエネルギーなどの不安のないこと」「公害はなく地球環境の持続性が保たれていること」「多様で美しい自然との共生」「健康と自立が長く実現できること」「生涯社会参加の機会があること」などの世界観をベースに、社会実装という形で今、日本国内の各地でモデルづくりを進め、着実に形にしつつある。

重要なことは、日本が世界に先駆けて、新成熟経済社会のモデル事例となることだ。小宮山さんは「プラチナ社会は、世界のすべての国々に通用する先駆的なモデルだ。先進国は量的充足を追い求める過程で、公害や生活習慣病といった負の側面を産み落とした。途上国は先進国と同じパスをたどる必要はない。最初から、プラチナ社会をめざすべきだ」という。

誤解なきように申し上げたい。この新成熟経済社会のモデルは人口の高齢化に伴う超高齢社会の経済社会システムづくりではない。若い中核世代がイノベーションによって、彼らの目線で日本を世界に誇れる独自のプラチナ社会にすることが重要だ。シニア世代はその取り組みを積極応援する。人生椅子取りゲームでも自身の椅子にしがみつくのでなく、若い世代に提供して世代交代を進め、独自の問題意識で新たな椅子を作り出すことだ。
若手、シニアの共生社会がポイントだ。そのための新たな制度設計を行い、新興国を含め世界中からRESPECTされるシステムデザインを行えば、日本は面白い国になる。

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