今や社会分断など混迷の時代に、ネット上の虚偽情報も影響


時代刺激人 Vol. 329

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。
2024/12/27

中間層の弱体化などが心配、政治経済リーダーの責任は重大

世界中の主だった国々を見渡すと、どの国も政治や経済にさまざまな混迷がある。それに連動して経済社会は停滞し、大きく前に踏み出せない状況が多々、見受けられる。

国によっては極右政党の台頭による政治混乱が無視できないものになったりする一方で、インターネット上でSNSによる誹謗中傷、虚偽情報の拡散が目立ち始め、それらが影響して社会混迷に一段と拍車をかけている。

それだけでない。経済格差の拡大などに加え、これまで経済社会の安定を支えていた中間所得層の弱体化、という心配な事態も起こりつつある。これらの動きによって、社会混迷どころか、社会全体の分断が進んでいる。米国がその典型例だが、日本も次第に似たような不安定状況に陥りつつある。いずれも無視できない構造的な問題だ。

日本のデフレ脱却はいつ?中国は「経済の日本化」回避に躍起

日本経済に目を転じると、バブル崩壊から30年以上がたつのに、いまだにデフレ脱却・終了宣言が出来ていないのも無視できない問題だ。日本の経済イノベーションが死語になったのか、と錯覚しかねないほど経済に勢いがなく、低成長経済から、いまだに抜け出せていない。長年、実態経済をウオッチしてきた私にとっては、首をかしげることばかりだ。

かつて年率8%成長を誇示した中国でも、不動産価格低落が進み経済のデフレリスクが強まっている。中国共産党は、日本経済デフレを後追いしないように、と必死で「経済の日本化回避」を政策課題にしつつある、という。経済に勢いがあったころの日本は、中国のみならず新興国にとって、先進モデル事例となったが、今は様変わりの状況と言っていい。

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