老舗を再生!「私どもは常にお客様に新しいものをお届けする」の実行力
長瀬産業株式会社
代表取締役社長
朝倉 研二
「常に新しいものを察知する変革を会社にもたらす」。老舗商社において創業系以外から初めての社長となり、立て直しと向上を実現させた男がいる。歴史ある会社でいかに改革を進め、変貌を遂げたのか、その哲学と方策とは?
白石さて、朝倉社長のプロフィールを拝見いたしますと、大学卒業後、すぐに長瀬産業に入社されていますよね。もともと、商社にご興味があったのですか?
朝倉商社というよりも海外というのが自分にとってはキーワードだったのかなと思っています。そうしますと、当時……、もう私、39年ほど会社で働いておりますので、その30数年前と言いますと、やはり、海外というとなんとなく商社が結びつくということで、長瀬産業の門をたたいたわけなんです。
入社して37年。朝倉は営業の現場一筋に歩んできた。
朝倉営業は人とのかかわり合いというのが絶対の一番の原点だと思うんですね。何千人……何万人の方とお目にかかって、いろいろな会話をこれまでしてきましたけれども、会話から何か生まれて、それが仕事につながるというのは醍醐味でして、これはなかなか捨てがたい体験だと思っています。
白石そして、社長になられたのが2015年ですよね。創業家以外の方が社長になるというのは珍しいことだったのではないですか?
朝倉私どもでは、私が初めての創業家以外の社長ということになっております。
中谷これはこれでまた大変だったのではないですか?
朝倉まあ、実を言いますと、もちろん、それなりのプレッシャーがありましたけれども、それ以上に6千数百名持つグループ企業で、加えて……、残念ながら少し業績も低迷というか、伸びが少し滞っている状況での社長でございますので、そちらへのプレッシャーのほうが少し大きいかなというところです。
白石なぜ、ご自身が選ばれたと思われますか?
朝倉これはやはり、変化を求めてということではないかと思います。世の変わり、移り変わりというのはものすごいスピードだと思うのですね。それで、私どもも同じことをしていたのでは必ず負けてしまいます。常に新しいものを察知する変革を会社にもたらす、そういったことを期待されて社長になったのではないかと思っています。
白石営業一筋でやってこられたからこそ、同じ空気が分かる朝倉社長だと思われるのですけれども、社員の方にはどのような思いを伝えていらっしゃるのですか?
朝倉まず第一に「失敗を恐れるな」ということが大事かなと。特に、若い世代の人たちが失敗を恐れて、新たなことに踏み出さないということが一番の問題かと思いますので、これはどんな場面でも言うようにしています。それに加えて、ビジネスの種を、見つけ、育み、拡げる、ということを社員それぞれがきちんと咀嚼して、どういう意味かということを考えるということは日々伝えるようにしています。
実際に現場の社員は朝倉社長をどう思っているのか、話を聞いた。
橋本身近な存在と言うと、おこがましいですけれども、近い存在の方という、距離感が全然違うかなというものは感じます。今までいろいろと見られてきた方ですし、現場の状況も分かっていらっしゃる方だと思います。
青山新しい試みだったり、あとは非常に社員に発信をしていくというか、たとえば、社内のポータルサイトとかで、社長からのメッセージとか、事業部長の対談とか、いわゆる、書いたものだけではなくて、動画でそれを配信されている中で、社員にメッセージを伝えていこうという意思は非常に伝わってきます。
社長の思いを受け、社員たちはビジネスの種をどのように探しているのだろうか。
樋口現場に理系の営業マンがいたりとか、グループ会社には研究開発センターがあったりとか、自社の研究開発センターもあったりして、現場には相当な情報が、いろいろな新しいものも、面白いものも、変なものも、すごく集まっているんですね。
だけど、彼らが見えているのはあくまで現場で、自分の仕事をしている領域にどうしても偏るので、今やろうとしているのは少しはずれた周辺というか、そういうところの情報をベンチャー企業だったり、大学だったりとか、あと大手企業さんでも新規事業を担当しているところと一緒になって、うちが「付加価値を出せますか?」と、そういうクエスチョンで、一緒に探していくというのが我々のチームがやってきていることです。
とにかく、情報を取りたいと思っていて、借りたものとか見たものとか、いろいろな情報で判断しているんですけれども、とにかく、僕は会って、自分がワクワクしないと人をワクワクさせられないので、そういうことを常に続けて、ワクワクさせて、一緒に仕事を作りたいと思っています。
白石社員の方とはどのようにコミュニケーションを取っていっているのですか?
朝倉社長就任以来、社員との交流には心を砕いてきています。タウンミーティングと称して、月に一度は若手と懇親会を必ずやるようにしています。そういったところで自分の思いを直接伝えるというようなことをやっているんです。
白石若い方でも、しっかり発言して、意見とか。
朝倉最初は緊張しているんですけれども、必ずこれはお酒付きでやりますので(笑)
白石ああ。
ビジネスの種を、見つけ、育み、その種を拡げていく。それが長瀬産業のDNA。
白石さて、この番組では賢者の文と題しまして、ゲストの方の心に秘めた言葉を一筆、書いていただいております。朝倉社長、お願いします。
朝倉はい。「前へ」という言葉を書かせていただきました。
白石この言葉に込められた思いというのは?
朝倉企業、そして、個人も常に変わっていかなければ、成長していかなければいけないというときの、本当に、気持ちを表す言葉としては「前へ」ということで一言。
白石では、前へという気持ちを持って、今後の展開というのはどのようにお考えですか?
朝倉私どもは2032年に創業200周年を迎えるんです。すでにその200周年に向けて、長期経営方針というものを策定しています。
現状の3倍の利益を稼ごうという、壮大な計画を今、立てております。それで、これは今やっていることを継続しているだけでは、絶対に勝ち取ることはできないレベルの目標なんです。
そういったことで、今、力を入れていますライフアンドヘルス、エレクトロニクスのみならず、これからも新しい分野……、昨今、話題になっております、AIというものも今年度からいろいろと取りいれて材料、物質の開発、発掘にいかに使えるかということに、今、私どもは取り組み始めています。
こういった活動も通じて、ぜひ、市場、社会に新しい価値というものを提供し続けられるような会社でありたいなと思っているところなんです。
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