中古車の“ストーリー”を伝える(vol.1)


BUSINESS FLASH

車の買い取りから整備の状況、販売状況まで、中古車販売業のすべてをインターネット公開する中古車販売店が全国の車ファンから熱い注目を集めている。
奈良県生駒市に2年前にオープンした「オリーブカンパニー」という店だ。
オリーブの花言葉が“平和”であることから“中古車の平和を目指す店”を店名に表したという。

稲次➖➖これまで中古車といえば、どんな状況で乗られた車がどのように整備されて、どんな人に売られたか、その過程がほとんど明かされていませんでした。そこを公開することで、車を売る方も買う方も“平和”になると思って名付けました。

と社長の稲次(いなつぎ)直也さん(35)。
その『オリーブシステム』について語ってくれた。

稲次➖➖中古車を買うとき、以前はどんな風に乗られた車か気になるものでしょう?車を売る方も、思い出がいっぱい詰まった車を手離すのですから、その後が知りたいと思うのです。その双方のニーズをインターネットで満たしたら喜ばれると思っただけです。

その狙いは見事に当たった。
自社サイトにブログ形式で、連日、買い取った車の写真と状況、整備過程を段階ごとに詳しく写真に撮り、コメントを添えて公開を始めたところ、遠い青森や千葉などからも問い合わせが入り、なかにははるばる奈良まで車を買いに来る人も現れた。
稲次さんの取り組みは、車好きの心の琴線に響いたのだ。

稲次➖➖車のオーナー情報についても、個人情報を明かすことはありませんが、どのように乗られていた車かは極力公開するようにしています。

たとえば、買い取りした車の走行距離が同じ2万キロであっても、中年の主婦が毎日近くの駅へ家族を送り迎えしていた車と、若い男性がたまの休日に遠乗りしていた車とでは状態も整備の仕方も異なる。
そのような“車を主人公にしたストーリー”を次のオーナーに伝えることが大切という訳だ。

一方、車を手放した人にも、自分の愛車がどんな人に売れたのかを伝えることで好評を得ている。
「免許取立ての女子大生が初めての愛車に購入した」「車好きの中年男性が車の状態を気に入って買った」といった具合だ。

すると次第に、売り手にも買い手にも丁寧に車に乗る人が増えて、より良い車が集まり、より良い状態で売れるという好循環が生まれてきたという。
車を大切に思う人々の心を捉えた証拠である。

稲次➖➖車にも一生があって、最初に乗った人や整備の仕方、そして次にどんな人が乗るのかで、どんな生涯になるのかが決まっていくのだと思います。その一生をよくすることが私たちの責任だと思います。

そんな稲次さんは、幼い頃から何でもバラバラにして組み立て直すことが大好きだった根っからのメカ好き。
だからこそ“組み立て過程の公開”の大切さにこだわり、その心が車ファンの隠れたニーズを捉えた。
そして、中古車業界にも食品と同様“商品の一生”を公開するトレーサビリティが求められているのかもしれない。

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  • 公開日 2011.04.12

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