KLab株式会社の成長戦略を象徴する業態転換の仕組みと必要性
KLab株式会社
代表取締役社長
真田 哲也
受託型のソフトウェア開発事業から一転、自社開発のソーシャルゲーム開発に業務転換し、成功を収めたKlab株式会社 代表取締役社長 真田 哲弥氏は、会社が成長するための柔軟な変革の必要性を訴える。成長戦略の一環として導入した国際分業化とはなにか。また、社員の能力を向上させる新陳代謝の良い経営とはなにか。その核心に迫る。
真田今まで我々は、コンテンツビジネス、あるいはネット系のビジネスも、日本で作ったものを海外に輸出しようと考えていたわけですね。今我々がやろうとしているビジネスモデルは、コンテンツやゲームそのものではなく、コンテンツやゲームを作るマネジメント体勢や、それを改善、改良していくためのプロセスを輸出して、コンテンツそのものはそのプロセスを使って現地の方に作っていただくという考え方です。
蟹瀬具体的には、どういう国で、どういうことをやられておられますか。
真田今やろうとしていますのは、まず、アメリカ、サンフランシスコに企画の拠点を作ります。サンフランシスコでするのは企画までです。プランニングをする。そこでプランニングしたものを、今度はフィリピンで実際に開発と運用をします。それによって行われるキャッシュフローの管理とか、パブリッシングとかマネジメントということをシンガポールでやるっていう。この3か国にまたがって展開しようとしています。
蟹瀬本当に国際的に分業されているのですね。
真田そうですね。
蟹瀬企画ってなんか日本でやりたいのですけど、やっぱりアメリカじゃないとダメなのですか。
真田先ほどお話ししました、恋してキャバ嬢。このテーマは日本の若い女性には受けるのですけど、日本以外の女性には全く受けない。
蟹瀬多分、そうでしょうね。
真田はい。そういう(日本でしか受け入れられない)テーマなんですね。これをそのまま全世界に持って行っても仕方ないのです。その全世界に通用するテーマ……あるいはグラフィックだったり、シナリオだったりするものはどこで作ればいいかというと、やっぱり今アメリカなのです。ハリウッド映画というのは全世界に流通していて、アメリカのそのエンターテイメントのプランナー、ディレクターというのは、世界で受けるものはどういうものを作ればいいかということを常に考えながら動くということがもう染みついている。
蟹瀬彼らの発想を本当に利用してしまうということですね。
真田そうです。あるいは、版権とかそういった、我々日本国内でも色んなライツを獲得してやっていますけれど、世界に通じるライツって日本では、まぁいくつかありますけど、そんなにないのです。だからライツを獲得して、そのライツでこういう企画っていうところも、これをアメリカでやった方が世界に通用するなと感じております。
蟹瀬それと開発、運用は、これフィリピン。ちょっと意外な感じがするのですが、メリットがあるのですか。
真田フィリピンだと、エンジニア一人一人が直接、皆さん英語が喋れるので、英語が喋れる人とだったら、非常にビジネスがスムーズにいくと。
蟹瀬フィリピンは基本的に英語が通じますからね。
真田はい。アメリカで企画して、開発する人がフィリピンでいる場合、今スカイプとかネット通信がありますから、会話はできるのですが、言葉が通じなかったら話にならないです。逆に言葉さえ通じたら、少々の距離があっても、ちゃんとそこでコミュニケーションして一緒にコラボレートして作ることができるということで、もうフィリピンに今、開発拠点を作ってどんどん人を増やしていっています。
蟹瀬何かITというと、インドというイメージがあるのですが、インドじゃないのですか。
真田いずれインドでやるかもしれないですけど、今日本とアメリカとフィリピンとでコントロールしていくということを考えると、日本からの距離も近いということで、フィリピンは我々にとっては、やりやすい場所でしたね。
蟹瀬それで、バックオフィスはシンガポール、これはやっぱり金融の絡みなのですか。
真田そうですね。一つにはやはり税制があります。アメリカも日本も税金が高いのです。シンガポールは税金が低いということ。それから金融インフラとかITインフラが非常に整っているということ。それから今世界中から優秀な人材が集まっているので、国際的な人材を集めやすいというメリットもありますね。以上のようなことから、そのバックオフィスはシンガポールに本社機能をもっていこうと考えています。
蟹瀬これは国際分業化をすることによって、可能になることは結構大きいわけですか、そうすると。
真田そうですね。世界のマーケットで勝ちたいと思っているのです。今スマートフォンって、世界中でものすごい勢いで売れていっている。パソコンすらない国々、ない方々が、もう飛び越してパソコン持たずにスマートフォンで全部やれるようになっていて、マーケットが世界中に広がっているのです。しかも急速に拡大している。
それを日本にずっといて、日本からそこを攻めようと思っても、なかなか攻めきれないなと。国際分業することによって皆さん、自分の「おらが国」の感覚を捨てて、ワールドワイドに、何が通用するかという意識に、やっぱり変わるのです。ですから何としても、国際分業化によって、世界のマーケットでナンバーワンになりたいですね。
蟹瀬ナンバーワンを目指すと。
真田はい。ナンバーワンを目指したいです。
蟹瀬ただ、世界と言った場合に、アジアの大きな市場としては中国。13億を超える人口の国がありますよね。ここは必ずしも英語の文化圏じゃないですね。その辺の言葉の文化圏の違いっていうのはどのように考えてらっしゃいますか。
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