「本気なんだ、ブレないんだ」ビジョン浸透への執着が生む新しい金融の価値
株式会社東京スター銀行
頭取
佐藤 誠治
2001年、アメリカの投資ファンド、ローンスターが株主となり、株式会社東京スター銀行が誕生。現在は台湾の民間最大手の商業銀行、CTBC Bankの傘下で独自のサービスの提供で業容を拡大している。しかし、低金利による収益の低下、高齢化に伴う中小企業の廃業や、地域の人口減少による営業基盤の弱体化など、地方銀行を取り巻く環境は年々、厳しさを増している。そんな中、銀行の生き残りをかけ奮闘するのは、頭取、佐藤 誠治。
坪井さて、先ほど、ビジョンのお話がありましたが、こちらのビジョンは頭取が設定されたと思うのですが、何かを参考にされたのでしょうか?
佐藤いろいろなものに影響を受けていますけれども、その中でも、強い影響を受けたのは、ジョンソン&ジョンソンというアメリカの製薬企業のCredo、我が信条と言っています。
要は、ビジネスとしての優先順位といいますか、「何を大事にするんだ」ということが順番づけされているんですね。やはり、お客様が大事なんですよ。お客様あってのビジネス。それを支える社員。そして、社会。そして、最後に儲かったら株主。これを私は、十数年前にアメリカのジョンソン&ジョンソンの本社に行く機会があって、そこに石碑が立っていまして、Credoと書いてあって、何の予備知識もなく、そこで初めて見ました。
当時、私はM&Aのアドバイザリーの仕事をしていて、アメリカからファンドがたくさん入ってきて、「会社は株主のものである」と。会社が株主のもの、僕は違うのではないかと。やはり、お客様がいて、従業員がいて、社会の中での存在……、そういう疑問を持っていたんですけど、ジョンソン&ジョンソンの本社で、Credoを見て、やはり、これが本質なのではないかと思いました。ですから、このCredoから影響を受けていることは大きいですね。
銀行は主役にあらず。銀行は顧客をゴールに導く、信頼できるサポーターであるべし。それが東京スター銀行の進む道。
宮川さて、ここからは経営のお話を伺いたいのですけれども、個人のサービスはどういうことを……?
佐藤個人というのはある程度、属性で考えることができます。やはり、これからの社会がどう変化していくか、その中で、一人一人の個人がどういった課題を抱えているか、その大きなマクロの変化、マクロアプローチとでも言いますか、それで考えることができると思います。やはり、少子高齢化、人口が減っていく、みんなが心配なのは老後の資金。この老後の資金をどのように準備するか、そこを我々がお手伝いすることが、一番役に立てるし、役に立てれば、おそらく、利益も上がる。そこを我々はこれからメインの事業領域として、個人についてはフォーカスしていきたいと思っています。
坪井銀行がどのようなことをサポートされるのですか?
佐藤老後の資金をどれぐらい準備すればいいのかということをまず、考える必要があるのですが、普通に年金が出る方で、90歳まで生きることを考えると、65歳で4000万円ぐらいの、住宅ローンも返した後のお金がないと、安心して過ごすというのは少し難しいかもしれない。そのお金をどう、準備していくか、ということをお手伝いしていきたい。
東京スター銀行では「人生の見通しセミナー」を開催して、老後の資金準備に必要な情報を提供するサポートを行っている。
関係者サポートをするためには世の中の現状や具体的に人生の見通しを立てるうえでの手段や方法、これについて詳しくお客様に知っていただき、一緒に考えていただくことで、解決できたらなと考えております。
老後の資産作りについて、世界6資産分散投資と不動産活用のリバースモーゲージを組み合わせた長期の資産形成の考え方を提案している。
参加者何年かお付き合いさせていただいているのですが、とてもいろいろ説明していただけて、いつも寄り添っていただいています。
佐藤法人取引について言いますと、お客様の事業性を理解したうえで、果敢にリスクを取っていく、これが我々の東京スター銀行の付加価値である、競争力ではないかなと思っています。
宮川なるほど……。
こちらはエンジニアに特化した人材派遣会社。リーマンショック直後、多くの銀行が融資に消極的だった中、融資をしてくれたのが東京スター銀行だったという。
社長最初の取引ということで、非常に当社の事業の内容、それから業界の状況を本当によく調査されたなと……。その上で、リスクを取れると決断をされたということについてはプロの仕事だったのではないかと。東京スター銀行の担当者は、ほとんどの方が他の大手の金融機関を経験されて、的確なファイナンスやアイデアの提案をタイムリーに出していただける銀行だなと感じております。
佐藤法人のお客様にとってのニーズは何なのか……。やはり、事業をしっかり理解して、事業の拡大を支援してほしいということかと思います。ですから、日本の市場がなかなか大きくはなっていかない。したがって、海外というのが絶対必要になってきます。
海外に進出する企業、あるいは海外で経営をしている企業さんのいろいろな課題を解決していく、そういうお手伝いをこれからCTBCのネットワークを使って、やっていきたいと思っています。
ドーキンズ今、この会議室では台湾にあるCTBC Bankのスタッフとのテレビ会議が行われています。日本企業のアジア進出について、どのように連携して、サポートしていくのか意見交換をしています。
ドーキンズ日本企業のアジア進出支援事業の枠組みから、どのようなビジネスが生まれると思いますか?
関係者銀行はとにかくローンや預金取引ばかりを提案する傾向がある。しかし、CTBC Bankと東京スター銀行がタッグを組むことで、日系企業が悩む問題に対して、最適な金融ソリューションを提供しており、私たちのサービスは日系企業から非常に高く評価されている。
ドーキンズありがとうございました。
宮川このネットワークですけど、今、どれぐらいの規模ですか?
佐藤台湾は本拠地ですから、150ぐらいの支店がありまして、あと、アジア全域にわたって、100ぐらいの拠点を持っておりまして、日本のメガバンクぐらいの規模を持っている、そういうネットワークですね。
坪井これまでにどのような会社のアジア進出を支援されてきたのでしょうか?
佐藤たとえば、ベトナムの日系企業さんのお手伝い。ベトナムには進出済みの日系企業が約千社。ところが、台湾系企業がなんと一万社もあるんです。で、日系企業のある繊維関係の会社さんは台湾系の会社とおつきあいをして、原料を仕入れたいと思っていらっしゃったんですけど、それを我々が間に入って、原料調達のお手伝いをする、そういうことが1件ありました。あるいは日本の会社が台湾に進出するにあたって、どういうマーケティングをすればいいか、台湾ではどういう商品が受けているか、これをCTBCのサポートを得ながら、かなり包括的に進出のお手伝いをしたというケースも出ています。
宮川今後、このCTBC Bankのネットワーク、どういうふうに活用しようとお考えでしょうか?
佐藤たとえて言えば、日本の企業さんが海外でいろいろなことに直面する、そういったとき、特に中堅中小の企業さんがそういうことを考えるときの駆け込み寺みたいな存在になれると、我々は本当にうれしいなと思っています。銀行というのは世の中を善くできるんだなと……。やはり、それが金融というものの本質ではないかなと。
海外に進出する中堅中小企業の駆け込み寺のような存在になりたい。老後の資金が心配な個人。アジア進出が不安な法人。そうした顧客の心配や不安を解決する。それが東京スター銀行の使命。
坪井さて、番組ではLeader’s Choiceと題しまして、選択の基準、敬愛の人、賢者の文、こちらの三つの中からカードを一つ選んで、お話しいただきたいと思います。佐藤頭取、よろしくお願いいたします。
佐藤はい、では、これで。
宮川敬愛の人…。どなたになりますでしょうか?
佐藤ムハマド・ユヌスという方がおられまして、この方はバングラデシュのグラミン銀行を創業した方です。グラミン銀行というのは、世界でマイクロファイナンスの草分けとして知られている会社ですけれども、この活動でユヌスさんはノーベル平和賞も取られています。
私が2008年から2010年にメガバンクのバンコックの支店長をやっていたのですが、バングラデシュのグラミン銀行に行きまして、ユヌスさんと面会をさせていただいて、「銀行というのは世の中を善くできるんだ」「それが金融というものの本質」「利益は後からついてくる」、そういったことをあらためて、学ばせていただいた方です。
宮川人々の暮らしを善くするために金融というものは、もともとあるはずなのですよね。
佐藤こうやって、東京スター銀行の頭取をやらせていただいていますけれども、お客様が何をしたいのか、それをサポートしていく、暮らしとか、安心とか、そういったものが高まる、そういったことを実践していきたいなと思っています。
宮川今日はどうもありがとうございました。
佐藤どうも、ありがとうございました。
坪井ありがとうございました。
敬愛の人、ムハマド・ユヌス。銀行はお金の力を借りて、個人の幸せや企業の成長をサポートすることができる。それが金融の本質であり、銀行の使命。
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