世界シェア8割の根幹!「オープンでフェア」な判断が、結束と対話をつくる
株式会社堀場製作所
代表取締役会長兼社長
堀場 厚
目まぐるしく変化する社会情勢。そんな時代にこそ、その先を読み、己の信念と緻密な戦略のもと、大胆な決断をくだす賢者たち。人生のさまざまな局面で、彼らは何を考え、どんな選択をしてきたのか。分析機器メーカー、株式会社堀場製作所の選択、堀場厚社長の決断とは?
蟹瀬以前からお付き合いがあって?
堀場はい。で、彼らのほうからロッシュというスイスの大きな製薬メーカーの傘下の会社だったんですけど、われわれのグループに入りたいということで、来てくれまして、どうしようかということになったんです……。
蟹瀬向こうは、ですから企業としては調子が悪くなっていたということですかね?
堀場そうですね。悪くはないんですけど、伸びられないということだったんですね。
蟹瀬なるほど。
堀場で、そのときに買収するかどうかというのは非常に大きい金額の話なので、ただ買収していいかどうかというのを父に聞くのはちょっとしゃくですので、「借金経営になっていいか?」と聞いたんですよね。
蟹瀬その資金による、このように聞こえた確信がないわけですからね。
堀場はい。やはり父は立ち上げたときに非常にやはりその資金で銀行さんにいろいろ痛めつけられた経緯があって、絶対無借金というのが信念でありまして、で、優良企業できたわけですけど、やはりこういう会社を買収すると、当然借金のリスクがあるので、そういう聞き方したら、「おまえが経営してるんだから、勝手にしろ」という感じで、で、買収したんですけど、案の定、苦労しました(笑)。
蟹瀬でも本社が京都にあったということは、国際戦略では非常にいいポイントだってお話ありました。
堀場成功でしたね。いずれもABXという医学用と、ジョバンイボンというオプティクスの会社を買収したんですけど、これフランスの会社で、今もこの両方で1,000人以上のフランス人がいるんですけども、やはり彼らと仕事以外に食の話とか伝統の話とか文化の話をしたときに、京都というのは負けないんです。
堀場負けないんですよ。ですからわれわれの企業文化と京都の持っている日本の文化をミックスして連合させて彼らと議論すると、やはり彼らがわれわれに従ってきてくれるポイントがあるかと思うんですね。で、実はドクターを持っているのは日本は25〜26名なんです。で、そのフランスのほうは75名ぐらいいまして、非常にインテリの会社なんですけど、それでもやはりそういったことを、さっきのオープンアンドフェアと重ね合わせてやると、非常に珍しくうまくいっているという状況ですね。
蟹瀬やっぱり文化に対してきちんと評価ができて、ものが語れるというのは、いろんな国際舞台にいくと本当に強みですよね。
堀場大切ですね。ですから、やはりグローバルにオペレートしていこうと思う。
堀場日本人としての誇り、それから日本の文化をよく理解している、歴史というものに対してきっちり認識をしないと、グローバルにオペレーションできないと思いますね。まず彼らは評価が……。
蟹瀬そのことを忘れて、アメリカ型の効率主義、効率主義でいく企業が多いですよね、経営者もね。
堀場でも英語がしゃべれても彼らはついてきませんから、本当に朴訥な英語でも、思いがあれば彼らはついてくるということですね。
蟹瀬そして、勲章、国家功労章?
津島そうです、オフィシエ。
蟹瀬すごいですね。
堀場これは
堀場私がその海外部の本部長とかをしてるときに、あちらのルノーとかプジョーとかいった自動車メーカーに、われわれの最新のシステムを導入していくのにかなり努力しまして、当時、ご存じのようにフランスは逆にタリフコードといって日本製品排除のときに、われわれの製品を購入してくれてたんですけれども、ですからそういったことを含めて、排除していた政府から勲章をもらうというのはおかしいですけども……。
蟹瀬でもやっぱり貢献度というか、評価されたってことですよね?
堀場はい、結果的にそれでフランスの自動車産業が競争力ついたということで、それでもらって、たまたまそのときにフランスの会社を買収したのと重なったんですね。
蟹瀬そして今度、ドイツの会社、カールシェンクというところも買収されてる?
堀場そうですね。これはダイムラー・ベンツのダイムラーさんが勤めていたような名門の会社なんですけれども、そこも一緒に仕事をしている中で、買収を経験しました。
堀場堀場グループのほうに、傘下に来たいということで買収した……。
蟹瀬これも結構スムーズに、じゃあ、いったんですか?
堀場そうですね。買収するまであちらの幹部と話をしに行ったんですけど、20名ほどランチ一緒に食べたんですけど、買収する前なのに、もう既に堀場で仕事をしているような発言をみんなしだしたんですね。で、普通そうなるのに5年から10年かかるんですよ。
それで、この会社はブレーキテスターってブレーキをテストしたり風洞(ふうどう)試験機とか重さで勝負というような会社で、われわれ軽さで勝負なのです、全然価値観が違うんですね。で、最初は避けてたんですけども、ここまで彼らが思ってくれてるのは、これをやはり財産にしないともったいないということで、買収の決心しまして、これもやはり苦労してます(笑)。
津島その後に苦労したと。
蟹瀬でも、どうなんでしょうね。やっぱり会社の経営者、トップになったときに、あらためてトップリーダーの役割というものを認識されると思うんですけども、いくつかのポイントを言っていただけるとどういうところがあるんですか?
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