国産医療ベンチャーが「地鳴りのように」ポジティブに変える医療現場とは?
大研医器株式会社
代表取締役会長
山田 滿
目まぐるしく変化する世界経済と地球環境。かつてない変化とスピードの違いに我々はどう向き合う。時代を牽引する賢者のターニングポイント賢者の選択。外資系企業が席巻する日本の医療機器市場にその牙城を崩そうとするある国内メーカーが現れた。大阪に本拠を置く大研医器株式会社。クーデック、クーデターバイテクノロジーというブランド名を掲げ、独創的な製品をこれまで数多く開発してきた。院内感染の防止、患者の身体的負担の軽減、最先端医療の現場の声を反映した製品はその多くが国内トップシェアを誇っている。そしていま世界へ大きく市場を広げようとしている大研医器創業者山田満。その経営戦略の全容に迫る。
山田それはですね資材部に配属されまして。資材部で一番最初に物品を調達するというそういう仕事をずっとやっておりまして。
蟹瀬仕入れてくる?
山田そうです。業者もそうですけども、それこそ調達していると色々な業者と知り合いますね。その中にいろいろありましたけどいずれにしても何か、電電公社というところは業務量よりか人間の方が多い。
蟹瀬非効率ということですか?
山田非効率ですね。しかも学歴社会。それから年功序列。こういうことがございましてね、私なんか中途でこういうことで大学受験で失敗したために非常に学歴社会では通用しない。そこのところでいつも疑問を感じておりましたけども、そのままズルズルと15年半ぐらいNTTにおったんですね。
蟹瀬しかしそういうお仕事をしながら、不満が鬱積しつつ。
山田ありました。
蟹瀬何か新しいことをやろうと言うのでいきなりですね医療機器の会社を起業するというのはちょっと常識的には。そういう世界って随分お詳しかったんですか?
山田いやいやそれでですね。NTTには逓信病院というのが近畿にありまして、たまたま100万円以上するような高額な機械は私が調達をやっていまして、その調達で原価計算から始まって、例えば適正価格で購入するにはどうしたらいいかと上司から言われていますから、そういうことを一生懸命やりましたけど、結果的には言い値が定価。
蟹瀬言われたらその価格で買うと?
山田それはそんなことダメだと折衝しても、結局はドクターがこういうことで書いたけど、これを買ってくれないと私は辞める、転勤する、そういうことを言われるので、この医療機器というのは面白いなと思って。それで出入りしてる業者に色々聞いていると消耗品あり色々ありですね、これはと夢がだんだん広がってきましてね。それであったらということで決意したんですけども、実際に電電公社におって、実際実際それが実現するまで大方5年くらいの期間を要しましたですね。
蟹瀬そうでしょうね。慎重に準備もしなきゃいけないし。奥様にはずっと内緒にされていたんですか?
山田いえいえ、もうずっと内緒です。それで一人で立ち上げたんです。全く一人と机一つ電話1台、これでスタートしたんです。
蟹瀬だけどまあそういう機器の仕入れをお仕事をなさってたといえですよ、医療分野というのは全くの素人でいらっしゃったわけでしょ?それは相当色々大変な部分があったんじゃないですか?
山田まあ色々と業者の嫌がらせもございましたし、一番の最たるのはですね、仕入をやるわけですね。仕入単価よりか納入単価の方が安い。
蟹瀬ちょっと待ってください。仕入れた値段より売る値段の方が安いということは、売れば売るほど損するわけですよね?
山田そういうことですね。そういうところもかなり経験したと思いますね。
蟹瀬そもそもなんでそうなっちゃうんですか?
山田結局、仕入親父、売り番頭という名前が関西にはある。それはどういうことかと言いますと仕入れの方が大事だと、売るよりか。だから私は仕入先はなかったということです。人脈もなかったし、だから一般の問屋さんから買ったらどうしてもそれよりか病院の方が安く、やったら損をする。
蟹瀬なるほど。そうするとお仕事してはもうすぐ壁にぶつかっちゃうわけですよね?
山田一年足らずでぶち当たりましたね。
蟹瀬まあいろんな意味で限界を感じてらした時に、大きな転機が訪れたと。それもお医者さんとの出会いだと言うお話伺ったですけども、どういうことだったんですか?
山田ある知り合いの方にその先生を紹介していただいて、それで医療機器のPRに行ったんです。ところがどうもやっぱり私の心の底にはお医者さんと近くになりたいという願望がありましたから、それはさておいてですね、先生に何か手伝うことないかといろんなことを話しているうちに、先生から一枚の図面をいただいたんです。その図面というのが一つの設備図面でして、空気をどのように循環させて、導入するかという。で、結局、それはNASAで使っているヘパフィルターといいまして、特殊高性能フィルター、要するに空気を通過させて不純物をカットすると。
蟹瀬綺麗な空気にするということですね?
山田そういうことです。そういうフィルターを買って空気を循環させると。そうすると実はですね、その先生はイギリスに研修に行かれて半年ぐらい行っておられたのかな、イギリスではですね、リュウマチ患者が非常に多いということで日本と同じように歩行困難の方が結構おられる。そういう患者を歩行させるようにするというのを実際考えたのがイギリスのチャンレーという博士なんですよ。
蟹瀬そうなんですか。
山田その方が世界中のですね、医者を集めて、手術で自分の手技を見せるわけですね。ところが周囲の方から出された呼吸とかなんとかいうことで患者に感染したわけですよ。それで非常に感染患者が増えたと。今お話してるのはですね、例えば大腿骨を切断してここに人工の関節を入れますから、大腿骨なんてここ切ってしまえば、中は骨髄です。骨髄というのは非常に神聖なと言うか聖域ですから、普通の細菌とかなんかくるとすぐに感染してしまう。
蟹瀬えらいことになっちゃうんですね。
山田そういうことで。それで骨の中ですから、感染したら20年ぐらいかかる。そういうことで、綺麗な空気にしてラミナーフローというんですか、それをチャンレー博士がやったということをイギリスで見てきて。
蟹瀬そういうものが欲しいと?
山田そうです。
蟹瀬その図面というのは?
山田欲しいためにはまた勉強しろと言うことで実はそのそういう空気清浄機だけではなくて、フィルターから何からですね全部一応勉強したわけです。ところが山田さん実はこれは日本にはないのだから、これ実現するのにどうしたらいいか山田さんが考えろと言ってですね。
私はある大手の電機メーカーに頼んで、ブースを買ってきまして、フィルターの。それで術屋の上に運びまして、そこで手術を何例もやったんです。それで感染がしないということがわかってきて、それで厚生省にそういう手術室を作るんだという申請を2年がかりでやったんですね。
蟹瀬それはうまくいったわけですか?
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