クラウドコンピューティングの可能性。21世紀のグローバルカンパニーとは


アレックス株式会社
代表取締役兼CEO
辻野 晃一郎

特選インタビュー

ソニーのカンパニープレジデントを経てグーグル日本法人の社長を務めた辻野晃一郎が、自らの会社、アレックス株式会社を設立。クラウドコンピューティングを礎に様々な事業を展開している。辻野自らが語る、グローバルカンパニーの条件、そして日本の課題とはなにか。

辻野は、ソニースピリットに共通したものがグーグルにもあるという。それは一体なんだろうか?

辻野ソニーっていうのは、入鹿さんがソニーを設立した時に、入鹿さんと森田さんが設立指示書っていうのを書いたのですけど、あの最初の文言に「自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場」という技術者をすごく大切にして愉快になるっていう企業スピリッツがグーグルっていうのも全く同じで。技術だとかエンジニアとかクリエイティブな人が世の中を作っていくわけなのです。そこを凄くクリエイティブな人とかエンジニアとかの創造性とかイノベーションを大事にするっていう、そういうカルチャーな会社なんですよね、グーグルも。そこもすごく共通点がありますよね。
だから、ソニー時代に新しいビジネスとか新しい産業とか新しい文化を創造するために何が必要だったかっていうのは知識としてというよりも体験として学ぶようなことがたくさんあって、グーグルに行ったときにソニーでのそういう体験があったからこそグーグルの急成長の秘密が理解できたっていうのはあると思いますね。

蟹瀬グーグルの社長になるっていうのは、仕事としてはどういう感じだったのですか?辻野さんがソニーから辞められてやりたいってことが実現出来るっていう。どういう感覚だったのですか?

辻野僕は、あのグーグルには、製品担当で入ったんですよね。社長になる前に日本で出している検索をはじめ、ユーチューブですとかマップですとか。いろんなプロダクツを日本で立ち上げていく、そういう担当で入ったのですけれども。
社長になるっていうことは、日本におけるグーグルの全ての責任を取らなければいけないということですから、グーグルっていうのはとにかくグーグルブレイカーっていいますか、どんどんイノベーティブな新しいことをやって……。

蟹瀬既成のことは、どんどん壊していくっていう。

辻野既成のその概念を変えていくっていうところがありますから。何かと話題になりますよね。なので、そういう意味から言いますと非常にしんどい仕事で、自分にある意味、関知しないところで起きるようなことに関しても、もちろんグーグルの日本における責任者としてキチっとそれに対して対応していく立場ですから。

蟹瀬グーグルのすごさっていうのは、なんとなく使っていて感じるものはあるんですけど。辻野さんからご覧になっていて何がすごいっていうふうに思いますか?

辻野グーグルのすごさっていうのは、グーグルがホームページで公開している10の事実っていうものがあって、そこをよく読むと語り尽くされているのですけど、私がそれに付け加えて言うとすると、やっぱり独自の生態系を作り上げたっていうのが非常に強いと思うのですね。
それは何かっていうと、普通の会社ですと事業部とかビジネスユニットを作って小さな生態系をたくさん作るわけですよ。ソニーだったらPC事業部とか、オーディオ事業部とか、テレビ事業部とか。それを全部足し合わせると一つの会社になるわけですよね。グーグルの場合は、オンライン広告っていうそのお金を稼ぐ部分と、それから稼いだお金をクラウドですとか、インターネットの今と将来に対して投資する部分と2つがある意味あって。この2つが循環して大きな生態系があるわけですよ。
だから、こっちで稼いだお金をクラウドの将来とかインターネットの発展のために惜しげもなく投資すると。そうすると、あんまりこっちでお金のことを心配しなくて良いんですよね。「ストリートビューでどうやって儲けるの?」とか「アンドロイドでどうやってお金を稼ぐのですか?」とかよくそういう質問を受けるのですけど。別に、そっちでお金を稼ぐ必要はないんですよ。こっちで稼いでいるので。こっちが今度、発展していくとインターネットユーザーが増えて、トラフィックが増えて長い目で見ると、こちらの広告ビジネスのプラスにつながっていくと。大きな循環で出来上がっているのです。

蟹瀬今、10の事実ってお話がありましたよね。これどういうことが書いてあるのですか?

辻野もういろんなことが書いてありますよね。そのユーザーフォーカスが大事だとか。

蟹瀬ユーザーのモノの見方を大事にすると。

辻野どんな会社でもお客様は神様ですということで顧客志向っていう言葉いいますよね。だけど、本当にその顧客にフォーカスしている企業がどれだけあるかっていうとかなり疑問なんじゃないかって思う部分もあるのです。グーグルは、本当に常にユーザー、ユーザーってことを社内で常に気にするように教育されるのです。だから、ちょっとその製品に改善を加えようとしたときに本当に、ユーザーにとってどういう意味があるのかっていうことを徹底的に話し合うみたいなそういうカルチャーがありますよね。

蟹瀬引き続きグーグルの話をお伺いしたいのですけれども。グーグルっていう企業は、割と人を採用する時の基準も変わっているっていうことを伺ったのですけれども具体的にどういう採用基準なのですか?

辻野まあ、よく言われるのが、シリコンバレーで言われていることっていうのが、ちょっと嫌味な表現ですよね。Aクラスの人は、Aクラスの人と仕事をしたがると。Bクラスの人は、Cクラスの人と仕事をしたがるみたいな、ちょっとこう嫌味な、取りようによっては表現があるのですけど。
要は、その優れた人は、優れた人と一緒に切磋琢磨をするというところがあってグーグルも非常にそういう意味では、人を大事にすると言いますか、採用する。採用にものすごい時間とエネルギーをかける会社なのですよね。ということは、優れた人たちばかりを集めたいということなんですね。何を優れたってするかですが、それもう議論し始めたらキリがないんですけれども。とにかく企業は、人なりっていうことで人の採用に関しては、一切妥協しないっていうそういう姿勢が非常に強い会社だと思いますね。

蟹瀬それは、人のバックグラウンドなのですか?それともアティトゥードとか姿勢っていうか、そういうものを見ているんですか?

辻野これもういろんなものに書いてありますけれども、だいたい4つくらい判断基準があるのですが、1つは、知識の量とかではなくて、地頭の良さと言いますか、答えを知らないんだけれども答えに辿り着く道順を頭の中で構築できるかっていうところと。それから、その中途採用の人なんかは、今までどういうビジネス的に実績があるのかとか。あるいは、技術者であれば、どういう実績があるのか。それは仕事だけではなくて、社会貢献活動みたいなものも含むんですよね。3つ目がリーダーシップですよね。どれだけ、そのチームリーダーとして人を引っ張っていく力量がある人だと。最後、ちょっと分かりにくいのですけどグーグリーネスっていう言葉があるのです。

蟹瀬グーグルらしさ?

辻野そうですね。グーグルっぽいか。若しくは、グーグルのカルチャーが合うかどうか。

蟹瀬僕なんか、採用されそうもないな。

辻野いや、そうでもないですよ。

石田辻野さんは社長をされていたわけなのですけれども、まさにどういう方をグーグルっぽいというんでしょうか?

辻野僕ですか。僕なんかちょっと違うかもしれません。

石田どういう方なのでしょう?

辻野グーグルっぽいというのは、すごいとにかくフランクで、ジョークが好きで、シリコンバレーの、そのスタンフォード大学とかイメージしていただくと良いと思うんですね。要は、太陽がさんさんと降り注ぐところで明るく能天気にあんまりそのネガティブなこと考えないで、イケイケみたいな感じで。

蟹瀬やってみようぜっていう感じで、すぐ始めちゃうと。

辻野そうですね。だけど一方で非常に正義感が強くて、グーグリーネスっていうことを本当に定義しようとすると完璧な人みたいな定義になると思うのです。だから、そんな人なんているわけはないので。だけど、その完璧な人を目指したいみたいなものからグーグリーネスっていうことにつながっているんだと思うんですね。その中でも一番大事なのがコミュニケーション能力ですね。人とどれだけ上手にコミュニケーションできるか。相手の言っていることをキチっとフェアに聞くことと、それから自分の主張を臆さずキチっと伝えると。その上で、ちゃんと議論をしていける。ちゃんと結論を導き出す。そういうコミュニケーション能力っていうのは、非常に大事にしていますよね。

蟹瀬それは、グーグルでなくても、いろんな企業でも必要な能力ですけどね。

辻野そうですね。ただ、そのソニーなんか昔、生意気なモノ求むなんて森田さんが言っていて、異端を大事にしてきたんですけれども。この中には、本当に偏屈でね。物凄く天才的に出来るのだけれども、コミュニケーションが全くダメな人もいるわけですよね。だから、どっちが良いのか分からないですけどね。

出演者情報

  • 辻野 晃一郎
  • 1957年
  • 福岡県
  • 慶応義塾大学

企業情報

  • アレックス株式会社
  • 放送日 2010.12.12
  • 社名:
  • アレックス株式会社
  • 本社:
  • 東京都
  • 所在地住所:
  • 東京都品川区東品川2-3-12

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