故人の縁 つなぐことが使命(vol.7)


BUSINESS FLASH

2万人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災の最中、地震発生直後から無念の死を遂げた遺体と向き合った人たちがいる。
「おくりびと隊」と呼ばれる大阪府八尾市の葬祭サービス会社「八光殿グループ中河内葬祭」の社員である。

トラック2台とバン1台に棺や納体袋、ドライアイスなどを積み込み、大阪から13時間走り続けて仙台市の葬儀社や遺体安置場に駆けつけた。

松村ーー阪神大震災のときも現場で納棺をしましたが、そのときと比べものにならないくらいひどかった。この世の光景とは思えませんでした。

と社長の松村康隆さん(46)は振り返る。
松村さんは遺体安置場に到着すると、いっしょに駆けつけた社員に「必要なものをできるだけたくさん持って来い」と命じて大阪に帰し、自分は現場に残って次々と運ばれてくる遺体の納棺を始めた。

松村ーーほとんどのご遺体は津波による溺死でした。おそらく一瞬のことだったのでしょう。苦しんだ表情のご遺体はそれほどありませんでした。それがせめてもの救いでした。

遺体にはそれぞれの人生が刻まれている。
松村さんはそのすべてを包み込むように体を整え、柔らかな布団を敷いた棺に納めていった。
赤ちゃんを抱きしめたままの女性や、あどけない幼児の遺体もあった。

松村ーー時々、死に化粧を施したご遺体もありました。あまりの惨さにやりきれなかったのかもしれません。

そのうち、全国から棺が届くようになり、すべての遺体を納められるだけの数になった。
支援に来る葬儀社も少しずつ増えたため、松村さんたちは大阪への帰途についた。現場に入ってから5日がたっていた。

松村ーー大災害のときほど、亡くなったままの姿でご遺体を身内に渡すことは残酷です。丁寧に納棺し、整えて初めて身内と再会できると思います。少しでもお役にたてたなら本望です。

この遺体と向き合う真摯な姿勢は、納棺や葬儀のときだけでなく、地元での日頃の地域活動にも息づいている。

松村さんたちは日々地域の清掃活動に励み、祭りなどのイベントにも積極的に協力する。
さらに葬儀社ならではの専門知識を伝えるセミナーを開催したり、思い出が詰まった人形の供養なども手がけている。

すべては、この世に生まれた人の縁を長く繋いでいきたいからだという。

松村ーーたとえ血縁や会社などとの縁が切れたとしても、私たちの手で地域とつながる〝地縁〟は残せるのではないかと思っています。故人の縁をつなぐのは葬儀社の使命ですから。

と松村さん。

〝無縁社会〟などという寒々とした言葉が語られるような昨今、人の縁を繋ぐことの大切さを今一度、考えてみたい。

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