「温故知新」の姫路の技(vol.10)


BUSINESS FLASH

“発祥の地”から“発展の地”へ。
世界文化遺産の姫路城を有する兵庫県姫路市で、未来へ向けた活動が始まっている。
姫路市が発祥の地であるゴルフクラブとなめし革の生産現場の話である。

日本のゴルフの歴史は1901(明治34年)にさかのぼる。
この年、英国人アーサー・H・グルームが神戸・六甲山に「神戸ゴルフクラブ」を開設したのが始まりである。

そして28~29年にかけて、アイアンヘッドの製造の話が、この姫路の名刀鍛冶職人に舞い込んだ。
名刀鍛冶技術はゴルフクラブ製造にはうってつけの技術であり、姫路城下で腕を磨いた職人たちに白羽の矢が立ったというわけである。

こうして日本初のゴルフクラブは姫路で生産され、その後、全国にゴルフ文化が浸透していくことになる。

未来へ向けた活動というのは、ゴルフクラブ生産の原点に戻ろうという活動である。
ゴルフクラブの製作技術そのものを〝芸術〟としてアピールしようと、それぞれの工程で熟練の技を持つ職人を選定し、その道の「匠」と名づけて専用のホームページを立ち上げた。

名刀鍛冶技術がゴルフクラブを生んだ歴史に立ち返り、その技術をいま一度〝芸術〟として再認識し、新たな用途を探ろうというのだ。

もうひとつのなめし革にも、大きな門出が訪れる。

なめし革はバッグなどの素材として女性には親しみ深い柔らかい革だ。
姫路市ではこれまで「鞄作り教室」を開講したり、専用ロゴマークを作って姫路ブランドをアピールするなど、さまざまな取り組みに次々と挑戦してきた。

この「鞄作り教室」は安定した人気を誇り、この間、常時100人近い生徒が着々と鞄作り技術を磨いてきた。

そして2006年4月、この教室の中からプロ職人を目指す生徒が現れ、共同で『革工房BAIMO』を設立。
地元の山陽百貨店にファッション性の高いレギュラーショップ『革工房BAIMO』を出店。
2010年3月に姫路市南駅前町に移転し、リニューアルオープンした。

伝統産業がファッション産業に生まれ変わる第一歩を踏み出した。

こうした活動に400年以上もの間、いつの時代も〝古い〟と感じさせない姫路城の優美な姿が重なってみえる。言葉で表すなら「温故知新」だろうか。
伝統産業を守りつつ、時代に応じて常に新しさを求める風土があるのかもしれない。

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  • 公開日 2012.02.09

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