「やっぱり夢を発信する企業にしたい」。通信販売にかけた男の気迫。
株式会社ジャパネットたかた
代表取締役社長
高田 明
「ショッピングはエンターテインメント性を持たなければ駄目だ」。観光写真撮影販売からスタートし、通信販売事業に乗り出し年商1,000億円を超えるまでに至ることができた理由がどこにあるのか。自らスタジオを作り番組製作にまで乗り出した高田明が語る販売の秘密とは?
高田生放送中心、24時間といいましても全部生放送でもないんですね、一部生放送で、もちろんサイマル放送、何度も繰り返していくんですけども、やっぱり商品自体の選択肢というのはすごく基準を厳しくしていくとか、このあたりは一貫してやっぱりやらなきゃいけないこと。
蟹瀬ものを売ることは恋愛と同じだとさっき話ありましたよ。これ、そういう意味ですか?
高田我が社はMCというのは私も若い二人も、ツカモト、ナカシマ、また他にもたくさんMCが今育ってきてるんですけども、恋愛と同じというのは、うち台本ないんですよ。で、自由に語るんですね。それは恋愛のときに、例えば蟹瀬さんは奥さまのときに原稿を書いて読みましたか?自分の言葉で語られたと思うんですよね。だからそれ、原稿書いてしまったら伝わりませんね、本当にこの人自分を愛しているんだろうかと。だから、やっぱり自分の言葉で、下手でもいいんです、自分の言葉でやっぱり伝えたいものを伝えるということ。だから私は通信販売のMCでも一番大事なのは、伝えるんじゃないんですよね。それが伝わったかと。相手がいらっしゃるわけですね。
ブラウン管の先に消費者がいらっしゃって、消費者の方に説明することが伝わったかということが大事だと思ってるんですね。ですからやっぱり自分の言葉で語りかける、自然体で語って自分の思いを伝えていく。なぜ私がテンションが上がるかといいましたら、そう思ったら自然に上がっちゃうんですね。あれは全く演出ではないんですね。自分でそのテンションが上がっている自分を見たときに、本当に後で振り返ってみたらびっくりすることもあるんですけど、自然に出ちゃうんですよね。
蟹瀬だけど今、そのお客さんとのコミュニケーションという話だったら、直接会ったほうがいいわけですよね? 当然のことながら。恋愛だったら、やっぱり遠距離恋愛よりは、実際に会って、触れて、そういうほうがいいわけで、そうするとお店を増やすという発想というのはなかったんですか?
高田私はお店のほうから入ってまいりましたので、リアル店舗というのもすごく、それはそれですごい魅力あると思うんですけども、やはり通信販売というのは、本当に一度に100万人の方にでもその思いを伝えていけるという、ですからそれだけ責任というのはすごくありますし。だから私はショッピングというのはエンターテインメント性を持たなければ駄目だと思ってるんですね。やっぱり「ものを買ってください」と言うだけでは、こんなに無機質なビジネスはないのではないかと。その中に「私をぜひ信用してください」ということを出していくわけですから、それはそれだけ信用していただけるものをつくっていかなければいけませんよね。
蟹瀬それだけ信頼が大切なビジネス、その中で、2004年の3月に元社員によるお客さんの情報の流出事件、これ起きましたね。
高田はい。
蟹瀬これは大変だったでしょう? まず、どういう形で知られたんですか?
高田あれは、ある新聞社の記者の方が数十件ぐらいの情報を持ってこられて、「これジャパネットさんの情報じゃないですか?」と。そのとき僕、お会いしてないんですけどもそういう報告がありまして、すぐ調べなさいというので調べたら、間違いなく我が社の。それで1週間しまして発表するよと。これはもう、発表しないでくださいというよりも事実でござますから、それはもう受け止める。
蟹瀬その第一報というか、こういう事実があるということを知ったときに、高田さんとしてはどういうふうに思われました?そのとき。
高田どうして?って、それは全くどういう経緯か分かりませんから、どうしてだろうと。でも記者の方はこれは出さなければいけない。じゃ、それはもう出していただくしかないですから、それはその通りお願いしますと。
蟹瀬当然、記者会見してくださいということになるんでしょうからね。
高田本当に朝起きてびっくりしました。テレビ、全国で、新聞も全部1面に載っている。で、会社に行きましたら記者の方が40名以上おられて、それで「記者会見を」と、「じゃ午後お願いします」と、何にも本当分からない状態ですから。「でも午後では夕刊に間に合いません、午前中で」というので11時に。だから2時間しかどういうふうに対応するかという対応の時間はありませんでしたね。
蟹瀬その2時間はどういうふうに過ごされたんですか?
高田そのときはやっぱり家内も副社長で仕事をずっと一緒にやってきていましたし、数名の幹部と話して、2時間だけ、これは私が先ほどもお話ししましたように、私自身が感動を伝えたいとか、お客さまに感じていただける商品を出したいと言っている本人が、営業を続けながらそういうことをするというのは、私には絶対できないんですね。ですからこれはもう自然に解明しようと、究明することがまず第一番ではないか。
じゃ、そのためにはお店をどうしたらいいんだと。じゃ、全部閉めてしまおうと。それでインターネットもラジオも全部、全面中止をいたしました。そのときはその中止をすることによってどんなことが発生するかということよりも、中止をして、やっぱりお客さまに解明することを伝えることが第一番だと思ったんですね。
蟹瀬だけどその限られた時間の中で、そういう決断をするというのはとても大変なことですよね?
高田そうですね。でも一番思ったのは、もうゼロになっていいと思った、これ正直な話なんですね。そしてゼロになってもう一度、誠実に自分たちのやることをやっていけば、お客さんもそこでまた帰ってきていただけるのかなと。
蟹瀬順調にきて、テレショッピングやって10年目、なんか脇が甘くなったところというのはあったのではないですか?
高田それは特別に何というのはなかったと思うんですけど、私はどちらかといえば性善説なんですよ。で、社員も、元社員というのはすごいショックだったんですけども、やはり性善説は今も変わりません。でもそれを守ってあげるあげ方が、やっぱり間違った、甘かったのかなと。これは、そういうことがない環境を経営者としてつくっていくことが、性善説というものを大事にする、人を、社員を大事にすることだったんだなと、これ本当に自分の今も反省でして。
だからやっぱり、例えばお店がありまして、ちっちゃい子どもさんはお店が全部オープンで誰もいなかったら、そこのもう目の前にお菓子があったら食べちゃったと。そしたら子どもを責めるのではないですよね? そういう環境をつくってあげる大人が悪いんだという発想で、やはり私自身がそういうことをしてなかったということが、やっぱり一番問題ではなかったかと。
蟹瀬今後なんですけども、どういうことをやっていこうという思いがおありですか?
高田そうですね。今、メディアミックスというのがある程度見えてきましたのでね。
蟹瀬テレビ、ラジオ、インターネット、いろんなものを使うということですよね?
高田はい。ですから私は、やっぱりショッピングを通してエンターテインメント性と言いましたが、やっぱり夢を発信する企業にしたいんですね。で、最近、地元の小学生の子どもさんとか施設の子どもさんが、よくスタジオに見学に来られるんですね。すると一緒にお話していたら、子どもさんの顔の輝き、そして終わった後に手紙たくさん頂くんですけど、この子たちがやっぱり今からの世の中を背負っていくんだと思ったら、私は必死になってそのテープを回してあげるんですよ。そういう子どもたちにやっぱり夢を企業として発信するということが、売り上げを上げていくこと以上にやっぱり大事なのではないかと。
蟹瀬よく言われる企業の社会的責任ということから考えていけばですね。
高田はい。やっぱりCSRですね。だから、中継車を今度導入しました。
蟹瀬どこから中継するんですかね? 楽しみですね。
高田でも中継車はその夢の一貫としてあるんですけど、例えば長野県のりんご園に行きます。このりんごの木に登りながらとか、今、登らないんですかね? まありんごをそこで食べて。で、りんご箱って昔ありますでしょう? 今の方、りんご箱ってあんまり知らないんですね。そこに詰めてこのりんご園をちょっと3時間で全部完売させていただこうかとか、そういうのが中継車ってできる世界がありますよね。
蟹瀬なるほど。いやいや、これはなかなか先が面白そうですね。
※出演者の会社名・役職など掲載情報は、収録当時のものとなります。
※著作権保護の観点から、動画の無断転載・流用などを禁じます。
出演者情報
企業情報
関連コンテンツ
カテゴリー別特集
リンク