失敗とは無縁!?「最大のリスクは後悔することだ」の前進力
楽天株式会社
代表取締役会長兼社長
三木谷 浩史
「営業は、もうこれはとにかく数と熱意で回る」。IT時代にあって華々しく登場した三木谷。そこには意外な哲学も潜んでいた。数ある同種の事業の中で巨大な存在へと登りつめた戦略、ノウハウとは?
三木谷いや、何にも変わらないですね、本当に。
森永これちょっと使っちゃおうかなとかって、例えばどこか飲みに行ったり、贅沢なもの買っちゃおうかなというのは全然思わなかったですか?
三木谷いや、全く思わなかったですね。本当になんというか、確かに多少生活が良くなったりということはあるんですけど、やっぱりむしろそういうのを将来的にどうやって社会還元していくかということがすごく重要で、ヴィッセル神戸を個人のほうでやらせていただいているのもその一環なのかなと思っていますけど。
森永でもこれ多分、これも三木谷さんがアメリカで育ってきた、あるいはハーバードに行ったときの影響って私あるんじゃないかと思うんですけど、日本でIT長者になった人のほとんどと言ったら語弊(ごへい)があるかもしれないんですけれど、かなりの人たちが、もう金の亡者になってこのお金をいかに増やすかということだけに血道を上げるというパターンがすごく多いんですけど、アメリカのお金持ちって割と社会のために貢献するというのがごく普通にありますよね? やっぱりその影響というのは彼らを見てきたという部分もあるんですか?
三木谷彼らを見てきたというのもありますし、変な話ではないんですけども、やっぱり金は天下の回りものではないですけど、一生かかっても使い切れないわけですから、やっぱりどうやって社会に返していくかというのはすごく、一番、ここが逆に言うと男の見せ所と言うとおかしいですけど、自分の人生の価値を決めるのではないかなと思いますけど。
石丸男気ですね。
三木谷分からないですけど(笑)。
河合このように三木谷さんには成功のコンセプトという、しっかりとしたものがおありなんですよね。
三木谷はい、そうですね。やっぱりそういう、だから頭の中で多分24時間ずっと考えていると思うんですよ。
河合仮説を立てて、それで実行して、実行した後に必ず検証する。
三木谷そうですね、検証して仕組化する。ですから今回のプロ野球の話も1回サッカーでその仮説、実行、検証のところまで終わってるんですよね。
石丸ヴィッセル神戸の?
三木谷はい。
森永これは一般のビジネスでプラン、ドゥー、チェック、アクションというそれそのものですよね?
三木谷この仕組化というのは付け加えたんですよ。
森永ああ、そこがオリジナルなんですね。
三木谷そうですね。
河合これ、仕組化というのはどういうことなんですか?
三木谷例えば、こういうことをやってみようと思ったときに、パイロット店舗みたいなのをつくってみるとするじゃないですか。それで小さなことはできるんですけども、パイロット店舗を今度全国展開しようと思ったときに、別の仕組みが必要になってくるんですよね。パイロット店舗で成功するのもいいんですけど、パイロット店舗で成功したモデルを、今度どうやって仕組みにして大きくしていくかということがすごく重要になってくるんで、仕組みを作るために、その仮説、実行、検証があるんですよね。大体、仮説、実行、検証してそこで終わってしまうんです。パイロット店舗をどうしたから、じゃ、その次、今度またそれから全国展開をどうやるかということではなくて、全国展開というプランまで書いた上で仮説、実行、検証をやっていくと。
河合そうするとちょっとずつ大きくなっていて、今は国内だけですけども海外にも進出していくことにもなるということですかね?
三木谷そうですね、今は中国は旅の分野で、『シートリップ』という中国最大の旅行代理店の21パーセント、これも100億程度で取得いたしました。
森永証券だとか旅行業とか、いろんな事業にM&A通じて乗り出されてますよね? 最終的に三木谷さんが描かれているビジネスの全体のイメージというのはどういうものなんですか?
三木谷そうですね。今、楽天のグループの会員数というのが合計で約2,800万人います。その人たちの同じユーザ名とパスワードで全てのことができる、ものも買えるし旅行の予約もできるしチケットも買えるし、というような価値をつくっていくということだと思うんですよね。
石丸お金を儲けるとか、そういう感覚ではないんだなというのは今、お話しされているので感じたんですよ。
三木谷そうですね。やっぱり付加価値を高めていくということだと思いますよね。やっぱりただ乗りとかそういうことではなくて、価値をどんどん高めていくような仕組みをどんどんつくっていくということがなければ、継続はないのではないかなと思っていますけど。
森永とりあえず何か目標とかは立てられているんですか?
三木谷一応経常利益 1,000億円。昔は「楽天の流通総額1兆円で、1兆円になったら俺は引退する」と、「それを名付けてプロジェクト一丁上がり」と言ってたんですけど。それがちょっともう2年ぐらいでいってしまいそうなので、やっぱりちょっとそこでそういうわけにはいかないという。
石丸こんなに早く引退するわけにはいかない。
三木谷することもないですしね。
河合でも三木谷さんがいろいろ、買収をするにしてもいろんな新規事業を立ち上げるにしても、どなたかに相談する人というのはいるんですか?
三木谷結構かみさんも含めて一般の人とか、これどう思う?と、むしろあまり関係ないような人に聞いてみたりすることありますね。
石丸そのときに反対意見というのは、もちろん出ますよね? やめなさいよ!というような。
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