近い将来日本は亡国になる!? いま最も投資されるべき分野 「教育」の重要性


安藤忠雄(建築家) ×出口治明(立命館アジア太平洋大学)

特選インタビュー

元来、日本という国は島国という性質から高い単一性を保ちながら発展をしてきた。しかし、労働力不足による外国人労働者の流入や、観光立国として外国人旅行客の往来は増加傾向にある。多様化する社会と反して、日本のシステムや常識は世界的に見ても遅れを取っていると主張するのは建築家の安藤忠雄と立命館アジア太平洋大学 学長 出口治明だ。二人が語る、日本の将来を支えるために必要な教育システムとは?

よく遊び よく学ぶ

個性を持った人材を育てるには、個性を認める社会が必要である。そして、個性を育むには、よく遊び、よく学ぶことが重要だと安藤と出口は言う。では、よく遊び、よく学ぶためには、何が必要なのか。

出口 人間はやっぱり、いろんな人に会って教えてもらう。本も旅ですけどね、僕は本はタイムマシーンだと思ってるんですが、時間と空間を超えるんで。本読む。それから安藤さんのように、広い世界を見て回っていろいろな刺激を受けたら、自分がどこが楽しいか分かってくるじゃないですか。なんか部屋に閉じこもって、じっと考えてて、何が楽しいんだろうと考えてみてもそんなのわからへん。

安藤 私、旅っていうよりも、たとえば日本からヨーロッパへ行くとかじゃなしに、それも旅ですね。本の中も旅しますよね。たとえば、マーク・トウェインを読んでどうするかとか、ヘミングウェイ読んでどうするとか、映画の中でも旅できますから。自分の中に閉じこもらないのが、旅だと思うんです。そういう意味で私は、1965年24歳の時にヨーロッパに行ったんですけどね。ヨーロッパ回ってマルセイユまで来たときに、これはやっぱりこの際、アフリカも全部行ってみた方がいいんじゃないかと。その時に私思いましたね。人間って1回しか死なないのならば、面白く生きたい。アフリカ全部象牙海岸からずーっと行った。マダカスカル島行って、インド洋を渡ってムンバイ、前のボンベイまで行って、ガンジス川まで行って帰ってきた時に人間は死なないなと。食事なくっても、食わなくても死なないと。寝るとこなくても外で寝れると。そういう時に、アフリカはアフリカ、アジアはアジア。それぞれの生活があって、地球て一つなんだなと、思って帰ってきましたので、旅は大事だと思ってますよ。
右向いても左向いてもね、知らない人ばっかりでしょ?私、言葉が全くできないわけじゃない。お金もないわけじゃないですか。そしたら後は自分の体力だけと、目標だけと。せめて自分が、社会に何ができるかということを考え続けていきたいと、思ったんですよね。だけど日本に帰ってきたら、誰も相手にしてくれないな。学校行ってない。専門学校も行ってない。建築やりたい。頭おかしいんかと。おかしいと言われたら、意地でね。意地でも建築家になってやろうと思いましたね。

唐橋 いやあ、すごいですね。それで今の安藤さんがいらっしゃるっていうのが。

出口 いや素晴らしいですね。

常識を疑う

これまで安藤と出口は、人・本・旅から学び、刺激を受けることで自分を磨いてきたという。そしてもう一つ、自分を磨くために重要なことがあるという。それは「常識」。

出口 分かりやすい話で言えば、日本ではどこへでも転勤できる。総合職は社員の中で一番上やとか。こういう常識がありますよね。でもよく考えてみたら、世界中こんな常識ないんですよ。
だって、どこへでも転勤するということは、その人が、例えば地域のサッカーチームで、子どもたちに慕われている名コーチだったらどうすんねんと。子どもたちかわいそうやんかと。地域との結びつきを一切考えてない。それからもしパートナーがいたら、パートナーも仕事してるわけですよね、普通は。でもどうせ専業主婦に決まってるから、ついてくるに決まってると。だから、どこへでも転勤自由な総合職が一番上やという考え方は、非常識なんですよ。世界中。それは人間と地域の結びつきや、パートナーのことを一切考えない。非人道的な考えなんですよ。だから、日本の常識と言われているものは実は、戦後の高度成長期の、製造業の工場モデルのときに作られた常識が、常識と思ってるだけでですね。やっぱりそういうところを疑って、グローバルに考えたら、転勤は希望者だけが転勤する。人間は地域と結びついて初めて生きていけるんで。こういういろんな問題を原点から、自分の頭で自分の言葉で考えないと。良い社会はできない。だから僕はいつも常識を疑おうと。1回全部疑ってみようと。

唐橋 男女格差も叫ばれてますよね。

出口 149の国の中で110番。かっこ悪いとなんで思えへんねんと。もっとみんな怒れと。日本は110番でええのかっていう話ですよね。

唐橋 低いですね。

出口 はい。常識を疑うところから、全ては始まるし。科学も始まったんで。その精神をやっぱり学生には教えていきたいですよね。

唐橋 産休・育休で悩んでいらっしゃる方も多いですよね。復帰した際の会社の対応に。

出口 でも世界では、産休・育休から帰ってきた人は賢くなってるんだから。

安藤 そうそうそう。

出口 ランクアップするのが当たり前やでと。少なくとも、キャリアの中断とか、ランクダウンは法律で厳禁するというのが、世界の大きい流れですから。だから、何が常識か、非常識かということを、自分で全部考え直すということが良い社会をつくる。根本だと思いますよね。

平成という時代

激動の昭和の時代の受け、始まった平成。その平成も間もなく終わりを告げ、新しい時代の幕開けが迫っている。安藤と出口にとって、平成とはどのような時代だったのか。

安藤 私は、平成時代面白かったと思ってますけれども。これから新しい時代に入ると、別に年号変わったからって、新しい時代に入るわけじゃないですから、日本の国はもっと教育も考える。社会のあり方も考える。人間の生き方も考えないと、次の時代はありませんから。このままね、ずっとね、幸せに生きればこんないいことないですよ。そうはいきません。世界中攻めてきますから。

出口 今世界を牽引しているのは、俗にユニコーンと言われている若い企業ですよね。このユニコーンがどこにいるんのやと。聞いたら、アメリカにはシリコンバレーに、150匹ぐらいいると、日経新聞読んでたら中国にも70匹いるでと。インドは17匹やでと。フィナンシャル・タイムズによると、EUには31匹いるでと。日本はどうやと。0ですよね。これでは、やっぱり安藤先生がおっしゃるように、将来はやっぱりしんどいと。じゃあ、ユニコーンは誰が生んでんねやといえば、やっぱり個性豊かな人。僕の言葉で言えば、オタク変態が世界中から集まってきて、ワイワイガヤガヤ言う中で、新しい産業が生まれてるんですよ。未来を決めるのは教育なんです。しかも、押し売りするんじゃない。そういう面白い人を世界中から呼んできて、議論をする。そういう場をつくることが、何より大事で、そういう場の中から新しいものが生まれてくるので、やっぱりキーワードは教育であり、ダイバーシティだと思うんですよね。

唐橋 そうすれば、若者のベンチャーというか、起業する方も増えるんでしょうか?

出口 引きずられます。絶対引っ張られます。それから、みんなは好きなことを徹底的にやる。そういう尖った個性をみんなで応援する。出る杭はどこまで出るのか楽しみや。伸ばしたろうと。そういうふうな社会を作っていくことが大事で、本当にそういう子どもたちを作るために、安藤先生がおっしゃるように、プライマリーバランスを回復して教育に投資をする。それが鍵だと思います。

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出演者情報

  • 安藤忠雄(建築家) ×出口治明(立命館アジア太平洋大学)

企業情報

  • 放送日 2019.04.22

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