「投資」が世の中をより良くする?会社のオーナーシップと
その本質とは


農林中金バリューインベストメンツ
常務取締役CIO
奥野 一成

特選インタビュー

「投資」は資産形成のための選択肢として真っ先に挙がるものの1つだろう。事実、我々日本人は投資を「金稼ぎ」の道具として見る傾向が強い。「金融」はお金を右から左に動かすだけの仕事といわれることもあるが、果たしてそうなのだろうか。農林中金バリューインベストメンツ 常務取締役CIO 奥野一成は「長期投資」を通じて投資の本質がどういうものかを熱く語る。

投資家が育たない理由

蟹瀬 アメリカの場合は、4割の国民が大体株式投資ってやってますよね。ところが日本の場合は10%強ぐらいですか。投資家がやっぱり育ってないって感じですけど、これは何か特殊な理由があるんでしょうか?

奥野 オーナーシップとしての投資っていうことと、要は売り買いをするっていう、いわゆる投機的な話っていうのがごっちゃになっていて、売り買いをするやつっていうのはもううさんくさいよね。
ていうアレルギーみたいなものになっちゃってるんだろうなと。かたや本当にそのオーナーシップとしての投資をする。そうすることが世界を良くしていく、そういったことは実は資本主義の根幹なんです、ということをあんまり教えられてこないっていうことだと思うんですね。

蟹瀬 教育の問題があるとするとですね、具体的にはどういう取り組みをなさっていますか?

奥野 会社人間になる前に、そういうことを知っておく。若いうちから、僕は高校生でもいいと思うんですよ。でもそこでやるのは金儲けではないんです。ていうことをやりたいなと思って、実際京都大学でやらせてもらっています。

こちらは、京都府にある京都大学吉田キャンパス。2014年度から、企業価値創造と評価をテーマに特別講義が行われている。

奥野 その企業のオーナーになるんですね。そのオーナーになることで、経営者と同じ船に乗れるんですよ。ここで、投資をやってるように考えて…

この日、奥野の講義では、彼の持論である企業のオーナーになることにより、長期厳選投資の解説を始め、投資企業論にまで及んだ。

奥野 それなりに重要ですけども、僕らにとって一番重要なのは、何を買うのかということです。

学生 ユニークな会社っていうのは、定量的なところからスクリーニングしていって、ユニークなものを見つけるのですか?

奥野 定量的にスクリーニングして、良い会社が出てくる可能性はほぼないです。会社四季報をぱっと見て、数字を見ます。長期投資に向いているか向いていないかって、瞬間に判断できるようになることをおすすめします。

学生 企業のCSRが実際見られたりしてるんですか?

奥野 また難しいところを、なかなか皆勉強しますね!CSRとかね、ボランティアやってもらうために投資してるわけじゃないですからね、僕らは。資本主義っていうのは、そんな甘いもんじゃないわけよ。

学生 斬新だけで価値を生み出さないところっていうことと、価値を生み出すところの違いは?

奥野 新しければ何でもいいかっていうとそういう話ではない。組織のDNAにまでなっているかどうか、それを見極めるのが大事です。

学生 高くてもリターンを見込んで買うのか、それとも安いうちにそういう優良な企業を探し出してそこに投資を決めるのか。

奥野 高いけどアホみたいに高いのは買わないですよ。その「アホみたいに」って基準が結構大事なんですよ。アメリカの国債、今2.4%なんですよね、10年で。10年間まったく何のリスクも取らず、2.4%回るっていうことですよね。

特別講義を聴講した学生にお話を聞いた。

坪井 授業を受けてみて、投資に対する考え方って何か変わりましたか?

学生 大きく変わりましたね。

坪井 どういうふうに変わりましたか?

学生 一番大きな点は、長期的に投資してオーナーになることで、投資がギャンブルというイメージから、もっと堅実なものというか、社会的な貢献みたいな、そんなイメージに変わりました。

学生 人を蹴落として、自分だけが勝つみたいなイメージが湧いてたんですけれども、そうじゃなくて、みんなでより良い社会を目指すっていうところで、みんなでその利益を分配するみたいなイメージに変わりました。

学生 安いときに買って高い時に売るっていうことで、資産価値を上げていくっていうイメージがあったんですけど、今回の講義で保有すること自体によって価値を上げていくっていうところの魅力がすごく伝わりました。

未来の投資家へ

蟹瀬 講義を通じて、若い人たちにこれが伝えたいっていうのは、どういうことがあるんですか?

奥野 「投資って何やねん」ということですね。ほとんどの人が売り買いすることだとか、為替のなんかやることだとか、そういうことが投資だと思ってる人が多いんですけど、自分の持っている才能と時間を何に投下するのか、これは何を言ってるのかというと、自分のオーナーになるってことですよね。
人がこういうふうに思うから会社に行った方がいいよとか、そういう話じゃなくて、自分の時間を何に使うのか。この講義に出てるのも投資なんだと、いうふうに実は言うようにしていてですね。
金儲け、ファイナンシャルリテラシーとかね、ああいう話では全くないです。もっと本質的な、投資とは一体なんぞやっていうことを、若い人には「こんなおもろいこと言ってた人いたな」っていうぐらいに思ってくれれば、社会に出たとき変わるだろうなと思ってます。

蟹瀬 アメリカなんかでは、英語でセルフエンプロイドっていう言葉がありますね。自分で自分を雇ってる。自分の人生をどうやって豊かにしていくのか、そのことを自分が主体的に考えてかなきゃいけないっていう、その道すがらに投資というのがあるというふうに捉えればいいということですよね。

奥野 おっしゃるとおりだと思いますね。結局、自分しか動かせないんですよ、根本的には。そこをどういうふうに、それでどういうふうに人生を組み立てていくのかを自分で考える。大学の時ぐらいしかそんなことを考える時間ないじゃないですか。ということですね。

坪井 それが本当の意味での投資なんですね。

奥野 僕らもやっぱり「人材育成こそが最大の投資」だということが、うちの中の社是に入れてますから、それを着実にやっているってことですね。

農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役CIO 奥野一成は、1970年、大阪府で生まれる。大学卒業後、日本長期信用銀行に入行。大企業向け融資営業や債券トレーディングに従事。その後ロンドンビジネススクール ファイナンス学修士を修了。現在は、農林中金バリューインベストメンツの最高投資責任者であり、長期厳選投資を掲げるファンドマネージャーの1人として、チームをけん引している。そんな奥野は幼き日、どんな夢を見ていたのだろうか?

あの頃に見た夢

坪井 奥野さんは小さい頃はどんな夢をお持ちでしたか?

奥野 軍師ってわかります?たとえば、竹中半兵衛とか、たとえば武田信玄における山本勘助とか、諸葛亮孔明とか。ああいうのにものすごい憧れました。千里の先に勝敗を決する的な、迂をもって直となす的な、これは「迂直の計」といわれるんですけど、一見直線でない、迂回をしている、回り道のように見えて、これが実は勝つ秘訣だったりとか、勝つためにどうしたらいいかということを究極に考え抜く。そしてそれを実行に移していくっていうですね、ところに物すごいやっぱり魅力を感じますね。

蟹瀬 奥野さんにとって、夢っていうのはどんなものですか?

奥野 日本長期信用銀行というのに入ったときの僕の気持ちってどうだったのかというと、長銀ってちょっと変わった銀行で、単純に融資をするだけじゃなくて、財務部長と膝をつけ合わせて、それでその会社のために何ができるのかっていう、そのコンサルティングみたいなことをしながらお金を返してもらうと。
僕はそれに憧れました。やっぱり金融っていうのは、価値をつけれるはずだと。さっきの1-100じゃないですけど、価値をつけれるんだということを証明したい。今こういうふうに株式投資もやりながら、やっぱり価値ということにこだわっていること。これが夢ですかね。

あの頃に見た夢。勝つためにどうしたらよいかということを究極に考え抜き、それを実行に移す。そうすることで、新たな道が切り開かれ、もう一つ先の夢が見えてくる。それが夢である。

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出演者情報

  • 奥野 一成
  • 1970年
  • 大阪府

企業情報

  • 農林中金バリューインベストメンツ
  • 放送日 2019.06.17
  • 業種 
  • 投資一任業、投資助言業
  • 所在地住所
  • 東京都千代田区内神田1-1-12 コープビル4階
  • 資本金
  • 4.4億円

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