エネルギー転換という時代の節目にさらされた、プラント建設企業の戦略と組織作り
日本建設工業株式会社
代表取締役社長
笹岡 智充
戦後、日本の爆発的な経済成長を支えてきたのが電力だ。日本建設工業株式会社は発電所の建設、保全業務をメイン事業とする。これまで数多くの発電所を計画、施工してきたそのノウハウは建設業界の財産といえる。しかし、エネルギーの在り方が見直される昨今、発電所建設の見通しは決して楽観視できるものではない。代表取締役社長 笹岡智充はいかに会社の事業を転換し、社員と一丸となって会社を未来に残すのか、その舞台裏に迫る。
戦後日本のエネルギー供給を支えてきた企業がある。日本建設工業株式会社。
笹岡 電気エネルギーを作る製造設備ですね。そういうものを建設するのに携わっています。
代表取締役社長 笹岡智充。日本建設工業は、総合プラント建設企業として、長年にわたり、幅広い分野の建設・保全業務に携わっている。親和性のあるスポーツを通じて社会貢献に取り組む。
笹岡 目標に向かって頑張っている人からパワーをもらえますよね。
スポーツ選手をサポートすることで、社員の意識に統一感が生まれる。
笹岡 団結力、それから愛社精神というのが非常に向上した、というふうに感じております。
培ってきた技術力と社員という人材力で可能性に挑戦するとき、そこに新たな価値が生まれる。賢者の選択 FUSION
唐橋 賢者の選択 FUSION、ナビゲーターの唐橋ユミです。改めて、本日のゲストをご紹介します。日本建設工業株式会社 代表取締役社長 笹岡智充さんです。どうぞよろしくお願いいたします。
笹岡 よろしくお願いします。
唐橋 まずは、日本建設工業の事業と歴史をコンパクトにご紹介するショートイントロダクションです。
日本建設工業株式会社は、1945年、帝國機械建設株式会社として創業。1946年、日本建設工業株式会社に社名を変更。1948年、北海道炭鉱汽船清水沢発電所の据付工事を機に火力発電所工事に参画。1967年、関西電力美浜原子力発電所の据付工事を機に原子力発電所工事に参画。現在は、全国の火力発電所や原子力発電所など、エネルギープラントの建設やメンテナンスを中心に事業を展開している。
唐橋 まずはじめにお伺いしますが、ここ数年、「エネルギープラント」という言葉よく耳にするんですけど、エネルギープラント建設というのは、具体的にどういった事業なんですか?
笹岡 エネルギープラントというのはいろいろ種類がございまして。弊社では、電気エネルギーを作る製造設備ですね。そういうものを建設するのに携わっています。ゼネコンさんが造成とか、それから防波堤の設置とか、それから発電所構内の道路とか、そういうそういうものを作ったり、あるいは建物を作ったりします。
その中に据え付く発電設備。蒸気を作るボイラとか、あるいは蒸気から電気をつくるタービンとか発電機、他にもいろいろポンプとかタンクとか、それを繋ぐ配管とか、いろいろあるんですが、そういうものはメーカーが作るようになります。メーカーが現地まで運んで行きまして、私共はそれを決められた図面の位置に据え付ける、という担当しております。
唐橋 非常に専門性の高い工事だと思うんですけど、どういった技術が必要ですか?
笹岡 そうですね、建設をする場合は、まず施工計画というのが必要になってきます。物を決められた位置に移すにはどういうルートで物を運搬するか、例えば350トンぐらいの品物を20メーターぐらい移動させなければいけないような場合、クレーンで掴んで置けばいいのか、クレーンが使えないので、何か転引きしなくしてしなくちゃいけないのか、という施工計画というのを立てなければいけません。それでどういう工法であるかということを決めなければいけません。
それから詳細の工程を決めなければいけません。それから詳細の工程を作った後に、人員計画、とれぐらいの人がいて、何人ぐらいの人間が必要なのかっていう人員計画。それを立てなければいけません。その後、施工要領書というのをつくる必要が出てきます。そういう工事計画力というのが意外とどこの会社でもできるわけではなくて、大きな発電所を建設できる会社はそういうところがしっかりしているというところですね。
そのあと施工管理ですね、そういう工事計画力と施工管理能力、そういうところが一番大変なところであります。
唐橋 やはりこの長年の経験が必要ですか?
笹岡 豊富な経験と高い技術力が必要だと思います。
唐橋 東日本大震災以降多くの原子力発電所が停止しまして、主に火力発電に頼っているわけなんですけれども、現在発電所の新規建設、どのようになっていますか?
笹岡 東日本大震災の前の火力発電所の基準は、大体61%ぐらいだったんですよ。その後、84%ぐらいになったそうです。それで止めていた火力発電所、もう廃館にしようというような火力発電所も、無理して動かして4、5年ぐらい前から、新規事業用発電所を作ろうという動きがかなり出てきまして、今ラッシュになっています。
ただ、これも二酸化炭素の問題もあるようで、石炭火力発電所はなかなか国が認めないというような状況になりつつあって、あと2、3年もしたら大型ボイラの火力発電所の建設はもうほとんどなくなってきます。
ただ新電力と呼ばれる新しい電力会社が出てきまして、小型のバイオマスの発電所をかなり作るようになっています。それはうちの営業が調べたところによると、作って終わってるのもありますし、今建設中もありますし、これから計画されたのをあわせて230基ぐらいあるというような状況です。ですので、バイオマスはしばらくは続くとは思うんですが、ただ出力がはあまり大きくないので、事業用ボイラを賄うほどの出力にはならない、という状況ですね。
唐橋 電力の自由化が背景にあるわけですよね。新規建設が減少傾向にありますと、経営にも影響があるんじゃないでしょうか?
笹岡 五、六年先を見据えて、会社の中でいろいろ戦略的な会議を開いているんですが、今までは建設を終わった後、メンテにあまり入ってなかったんですが、今後はメンテにできるだけ入って仕事を確保したいと。
唐橋 メンテナンス事業、具体的には?
笹岡 火力発電所ですと、蒸気を作るボイラというのはだいたい2年に1回、それからタービン側は4年に1回、原子力発電所ですと13ヶ月プラスマイナス1ヶ月以内に定期検査を行いなさいという、そういう決まりがございます。止めた機器を分解して、点検をして異常がないのか全部調べて、あとは手入れをしてそれで消耗品、そういうものを交換して、新たに組み直しして試運転をして、問題がないかどうかを確認して、トータル的な運転に繋げていくと、そういうのがメンテと称する工事ですね。
出演者情報
企業情報
関連コンテンツ
カテゴリー別特集
リンク