企業家精神を大事する会社。小売業初の総合金融グループが推し進める「次世代サービス」
イオンフィナンシャルサービス株式会社
代表取締役社長
河原 健次
イオンフィナンシャルサービス株式会社は、国内小売大手のイオングループの一員として、クレジットカードから銀行業、各種保険サービスなどを取り扱う企業だ。イオンといえば、全国各地に展開していることでも有名だが、イオンフィナンシャルサービスは実店舗の強みを最大限に活かしたサービスを売りにしている。代表取締役社長 河原健次は小売業だからこそ打ち出せる数々の施策で会社を牽引してきた。河原が語る「新時代のビジネスの本質」とは。
蟹瀬 なるほどね。日本の大手の小売は店舗を中心に海外進出というのは、80年代から始められていますけども、ファイナンスという視点からすると、イオンフィナンシャルサービス、いつごろから海外展開というのを始められたんですか。
河原 香港に会社を作ったのが初めてになりますけれども1987年でございます。その後1990年代にタイ、マレーシアに進出をしましてこの3ヶ国ではそれぞれの会社が当地の証券取引所に上場しているというところまで大きくなってきております。今現在10ヶ国に進出しておりまして、我々の営業利益でいいますと50%以上を稼ぐところまで成長してきたというところです。
蟹瀬 成長分野として、これからまださらにポテンシャルがあるということでしょうかね。
河原 そうですね、やはりあのアジアは人口が多いところですし、それぞれやっぱり経済成長を着実に遂げている国々だということで、ビジネスをできているというふうに思っています。
坪井 実際に海外展開をしていくときというのは、具体的にどのように進めていかれるんですか。
河原 それは国ごとにいろいろビジネス機会というものを捉えながら、そこの国の所得水準であったり、お客様とするターゲット層がどこにあるかとか、どういう消費行動をとる国民性の国なのかとか、競合相手、そこで採用できる技術レベルがどういうものがあるのかとか、そういった観点から綿密に計画を立てて、市場参入していくということにしております。
こちらは1992年に責任者としてタイに進出し、マーケットの礎を築いた。現在のイオンフィナンシャルサービスの副社長、当時どのように海外進出を行ったのか話を聞いた。
(インタビュー:取締役副社長 水野 雅夫さん)
水野 当時、イオンフィナンシャルサービスは海外の展開というものが香港にはもうすでにあったんです。次の展開国をどこにするかということで、すでにイオンタイランドがタイでは進出をしてまして、そこに来店されるお客様に対して、こういった分割払いのサービスの提供をやりたいということでした。
坪井 海外で働く中でのやりがいってのどういうところにあると思われますか。
水野 日本の場合はイオンというブランドの中で仕事ができますけれども、海外の場合ですと、1から作り上げていかないといけない。まず、現地の文化も十分に知る必要があります。自分が1から作り上げてきて、その成果っていうものが将来的に見れる。
そういうことをやらせていただけるという、企業文化とか制度っていうものがイオンにはありますので、若い人には海外でのチャレンジをやっていただきたいなというふうに思っています。
蟹瀬 今どこでも企業は社会貢献ということを強調するわけですけれども、私の知る限りこのイオングループは非常に早い時期から社会貢献ということを非常に力入れてらっしゃいますよね。最近ではどういうことを主にやられたんですか。
河原 そうですね、あるフィンテックファンドに投資したときに、あるIoTのデバイスを提供する会社さんと巡り会いまして、フィリピンのトライシクルという三輪タクシーがあるんですけれども、これのドライバー向けローンにできないかということで仕組み作りをしました。
イオンフィナンシャルサービスでは、2017年、IoTデバイスを活用したフィリピンのトライシクルドライバー向けオートローン事業を開始。トライシクルのローン購入希望者に対し、提供する車両にIoTデバイスを搭載。返済の滞留や不正な端末の取り外しが発生した場合、遠隔操作でエンジンを停止させる仕組み。返済状況とエンジンの稼働を連動させることで、これまで銀行口座が持てず、オートローンが組めない人たちのために信用を補完。ローンの提供が可能となることで、トライシクルの購入を支援。結果、就業の機会を創出しているという。
河原 今、SDGsという言葉で括られていますけれども、そもそもビジネスの中に儲ける仕組みを作りながら、社会貢献活動をしていくということが組み込まれていないと、これって多分長続きしないんだろうというふうに思っています。
蟹瀬 まさにサスティナブルかどうかということですね。
河原 そうですね。
イオンでは早くから、グループ全体で環境保全活動、社会貢献活動を実施。イオン環境財団では、世界各国でボランティアとともに植樹活動を行っている。イオンがこれまで植樹してきた本数はおよそ1200万本になるという。イオン1%クラブでは、次代を担う青少年の健全な育成、諸外国との友好親善の促進、地域社会の持続的発展の三つの事業を中心に活動を行っている。
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